給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは?概要と書き方まとめ
年末調整に必要な書類の一つである「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」。
そもそも扶養控除等(異動)申告書とは?という基本的な知識から扶養控除等(異動)申告書の書き方まで、ご紹介します。提出の〆切になって間近に慌てないように、余裕を持って準備しましょう。
目次
1)扶養控除等(異動)申告書とは
そもそも年末調整は、1年間の給与所得および源泉徴収した所得税について、年末に会社が再計算して過不足を調整する、確定申告の簡易版を指します。年末調整を行うことで、会社の給料から天引きされて、払いすぎていた所得税の還付金を受けられます。年末調整の際に従業員が記入する主な書類として、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「保険料控除兼配偶者特別控除申告書」があります。
中でも給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは、扶養している家族に関して申告を行ない、個々の事情に合わせて税金を軽減するための申告書のことです。 会社から給与所得を受けている人が、配偶者控除や扶養控除、障害者控除(特別障害者含む)、寡婦控除(特定の寡夫含む)、寡夫控除、勤労学生控除などの控除を受けられます。 主な対象として、配偶者のいる人や子供のいる人、親の面倒をみている人があげられます。
2)扶養控除等(異動)申告書の提出は義務なのか
「扶養控除等(異動)申告書」は、給与の支払いを受けた人は提出する義務があります。扶養親族がいなかったり、自信が障害者や寡婦/寡夫、勤労学生に当てはまらなかったりしても、その旨を会社に報告する書類でもありますので、きちんと記入して提出しましょう。
3)年末調整で対象となる所得控除
年末調整では、通常の確定申告で対象となる14種類の所得控除のうち、雑損控除・医療費控除・寄附金控除を除いた11種類の所得控除に関して申告することができます。その中でも「扶養控除等(異動)申告書」では、主に扶養控除を中心とした人的控除について記載します。以下は、対象となる控除の一例です。
配偶者控除
合計所得金額が38万円以下の配偶者に対する控除。
扶養控除
合計所得金額が38万円以下の扶養親族に対する控除。
障害者控除
身体障害者手帳・精神障害者手帳などの交付を受けている、控除対象配偶者や扶養親族にたいする控除。
寡婦控除
夫と死別または離婚後に再婚せずに扶養親族がおり、合計所得金額が500万円以下の人に対する控除。
寡夫控除
妻と死別または離婚後に再婚せずに生計を共にする子がおり、合計所得金額が500万円以下の人に対する控除。
勤労学生控除
所得者本人が児童、生徒、学生または訓練生で、合計所得金額が65万円以下で給与所得以外の所得金額が10万円以下の場合。
4)「扶養控除等(異動)申告書」の書き方
それでは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書類を記入する際の注意点について見てみましょう。ここでは、記入される方の多い「基本情報」「配偶者控除」「扶養控除」の記載について見ていきます。
基本情報
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書類を受け取ったなら、上から会社名や会社所在地、自分の名前、個人番号、住所、生年月日、世帯主名と続柄を記入します。また、配偶者の有無も忘れずに○で囲みましょう。
自身のマイナンバーがわからない場合には、マイナンバーの通知カードを発行するか、マイナンバー付きの住民票の写しを発行するなどして把握するようにします。
控除対象配偶者や扶養親族などがおらず、自身が障害者などに当てはまらない場合、この基本情報の欄に記入して提出するだけで問題ありません。
扶養対象配偶者
扶養対象配偶者がいる場合は、その情報を記載していきます。ここでのポイントは「所得」の欄です。
「所得」欄は、その年に配偶者が稼いだ収入ではなく、来年の収入を予想してその想定額を記載します。なお、記載する金額は、給与収入額から給与所得控除額である65万円を差し引いた金額を記載しましょう。
「103万円(給与収入) − 65万円(給与所得控除額)= 38万円(合計所得額)」 が一般の配偶者控除額となります。 差し引き後の金額が38万円を超える場合は、そもそも配偶者控除の対象とならないため、注意してください。
なお、控除対象配偶者のうち、その年12月31日時点で70歳以上の場合は、老人控除対象配偶者となり、48万円が控除額となります。
扶養対象扶養親族
扶養対象扶養親族がいる場合は、その情報を記載していきます。年少扶養控除が廃止されたため、年齢16歳以上の人だけが扶養控除の対象です。扶養控除額は、親族の年齢と同居しているかで控除額が変わってきます。
控除額 | |
---|---|
一般の控除対象扶養親族(年齢が16歳以上の扶養親族) | 38万円 |
特定扶養親族(年齢が19歳以上23歳未満の扶養親族) | 63万円 |
老人扶養親族(年齢が70歳以上の扶養親族)で同居老親*など | 58万円 |
老人扶養親族(年齢が70歳以上の扶養親族)で同居老親*以外 | 47万円 |
1 年齢は、その年12月31日時点で判断します。 2 同居老親とは、年齢が70歳以上の扶養親族のうち、納税者またはその配偶者の父母・祖父母などで、納税者またはその配偶者と常に同居している方を指します。
5. まとめ
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、年末調整の際に、扶養家族に関して申告を行ない、個々の状況に応じて税金を軽減するための申告書です。「扶養控除(異動)申告書」を提出すると、1年間に給料から天引きされた所得税の過不足を調整し、家族の事情を考慮して所得税の控除が受けられます。
年末調整は12月の給与計算に必要ですから、年末に慌てることのないように、前もって準備をしておくとよいでしょう。
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