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2014年11月21日(金)

退職給付に関する会計基準|会計初心者でもわかる改訂前後でみる退職給付

経営ハッカー編集部
退職給付に関する会計基準|会計初心者でもわかる改訂前後でみる退職給付

改訂前後でみる退職給付に関する会計基準とは?

会計 皆さんは、会計についてどの程度知識をお持ちでしょうか?会計も法令に乗っ取るものであるために、法令の変更とともに会計基準が変わります。会計に関しては、それほど深い知識は必要ありません。但し、知っておくべき最低限の知識はきちんと押さえておきましょう。今回は退職給付金と会計基準についてまとめてみました。自分がもらう退職金がどのように会計上で処理されているか、是非覚えておきましょう。

[目次] ■1)退職給付に関わる会計基準とは? ■2)法令の改正によって何が変わったのか? ■3)変更に伴い何をすべきか?

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■1)退職給付に関わる会計基準とは?

退職給付について理解するためには、まず退職給付会計基準について理解を深めることが不可欠です。日本の退職給付会計基準導入の歴史は、今から20年以上前にさかのぼります。当時はバブル崩壊直後であった為、運用市場の低迷および、超低金利が長期化したことにより、年金資産は予定の運用利回り達成できずにいました。その結果、年金の積み立て不足が今日の様に大きな問題として認識されるようになりました。

こういった国が抱える問題に対応するために、平成10 年に、「退職給付に係る会計基準の設定に関する意見書」等が公表され、退職給付会計基準が導入されるようになりました。それまでの日本においては、企業年金制度では、年金掛金を費用計上する現金ベースの会計処理を行い、退職一時金制度では法人税法に準拠した方法で引当金を計上するという処理を行っていました。今までバラバラであった企業年金制度と退職金制度の会計処理方法をその後に統一しました。

代行返上の実現や、確定拠出年金制度(DC)の導入など、制度を変更した場合の取扱いや前提条件等の設定方法の見直し等、個別事象への対応についてのものが主体でした。しかし、平成24 年に国際会計基準(IFRS)との基準共有化を目的とした「即時認識」の導入等、企業に大きなインパクトを与えることが予想される大改正が行われ、平成26年3月期以降の決算期から適用されることになりました。

■2)法令の改正によって何が変わったのか?

今回の改正の最大のポイントは「即時認識」という概念の導入です。改正前の退職給付会計では「遅延認識」であったため、退職給付制度の積立状態がB/Sの数値からはわからず、財務諸表の注記欄に記載されている退職給付に関する資産・債務の変動額のうちの未処理金額や費用の内訳などを併せてみないと状況がわかりませんでした。今回の改正により「即時認識」が導入されることにより、従来は遅延認識のためにB/S に反映されていなかった数理計算上の差異が、今まで以上に明らかになります。「わかりやすさ」という観点からは投資家にとって良いことといえます。

しかしながら、従来反映されていなかった金額をB/S に計上するため、数理計算上の差異金額分だけ企業の資本勘定が変動することになります。また会計基準変更時以降も市場環境に変化を受けて資産・負債が変動するため、その影響を受けて資本が毎期変動する可能性が高まることになります。つまり、市場環境の変動が退職給付会計を通じて、企業の財務数値に大きなインパクトを与え、企業の財政状態が不安定化する可能性が高まるようになったのです。

■3)変更に伴い何をすべきか?

各企業は財務インパクト拡大に対して取れる対策として、以下3つが考えられる ・1)制度設計施策の実施 具体的には、退職金水準の引き下げや、終身年金の廃止や給付利率の引き下げといった年金支給条件の見直しを行うことにより、退職給付債務の削減や退職給付費用・掛金負担を軽減する。

・2)運用施策の実施 確定拠出年金制度を導入することにより、退職給付債務を消滅させ負債変動リスク・資産運用リスクを削減する。

・3)積立施策の実施 通常、給付見込額が不変であるために割引率の低下によって退職給付債務は増加するが、キャッシュバランスプランを導入することにより、金利低下により給付見込額が減少することから、割引率が低下したときの退職給付債務の増加幅を抑制することができる。

■ポイントをおさらい

もう一度おさらいの意味でポイントをまとめますと

・当時はバブル崩壊直後であった為、年金資産は予定の運用利回り達成できずにいました。その結果、年金の積み立て不足が今日の様に大きな問題として認識されるようになりました。国が抱える問題に対応するために、退職給付会計基準が導入されるようになりました。しかし、平成24 年に国際会計基準(IFRS)との基準共有化を目的とした「即時認識」の導入等、企業に大きなインパクトを与えることが予想される大改正が行われ、平成26 年3月期以降の決算期から適用されることになりました。

・改正により「即時認識」が導入されることにより、従来は遅延認識のためにB/S に反映されていなかった数理計算上の差異が、今まで以上に明らかになります。「わかりやすさ」という観点からは投資家にとって良いことといえます。しかしながら、市場環境の変動が退職給付会計を通じて、企業の財務数値に大きなインパクトを与え、企業の財政状態が不安定化する可能性が高まるようになったのです。

・具体的対策 1)退職金水準の引き下げや、終身年金の廃止や給付利率の引き下げといった年金支給条件の見直しを行うことにより、退職給付債務の削減や退職給付費用・掛金負担を軽減する。 2)確定拠出年金制度を導入することにより、退職給付債務を消滅させ負債変動リスク・資産運用リスクを削減する。 3)通常、給付見込額が不変であるために割引率の低下によって退職給付債務は増加するが、キャッシュバランスプランを導入することにより、金利低下により給付見込額が減少することから、割引率が低下したときの退職給付債務の増加幅にヘッジをかける。

といったようなことになります。

年金給付と会計制度の関係は少し難しいいですが、お分かりいただけましたでしょうか。基本的にはバブル崩壊が引き金になったことから始まり、グローバル化に伴い新しくできた会計基準を世界標準に変える必要が出てきたということです。

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