マイナンバー制度が来秋から導入開始。ところで企業に与える影響とは?
マイナンバー制度導入直後は各方面での対応に追われる
<画像:内閣官房HPより抜粋>
マイナンバーが来秋に通知され、2016年1月より行政手続きにはマイナンバーが必要になります。この制度の導入直後は行政機関はもちろんのこと、民間企業もその対応に追われることになるでしょう。以下ではどのような状況になるかを見ていきます。
[目次] ■1)マイナンバーの管理体制作りに追われる ■2)地方自治体がシステム変更に追われる ■3)ブラック企業が社会保険手続きに追われる ■まとめ|大きく変わると書いて「大変」
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■1)マイナンバーの管理体制作りに追われる
この制度が導入されると、経理・人事関係者はマイナンバーを管理する体制をしっかりと整備しておかなければ、あっという間に法律の罰則対象になってしまいます。というのもマイナンバーを他人に教えたり、その情報を漏らしたりすると、法律によって罰せられるようになっているのです。
それもそのはず、ありとあらゆる個人情報を引き出すキーナンバーがマイナンバーなのですから、国としてもこれを簡単に漏えいしてしまうような環境に置かせるわけにはいかないからです。しかし経理・人事ともなると源泉徴収票、支払調書、健康保険に、厚生年金保険被保険者資格所得届など、膨大な種類の書類全てにマイナンバーを使用するため、もちろん漏えいの機会も他の部署よりも格段に多いのです。
例えば、保険関係の書類はAさん、給与関係の書類はBさんというようにして担当を分けていれば、Cさんのマイナンバーを知り得る人間の数が増えていくので、その分情報がどこからか流れていくリスクもさらに増えていきます。各担当者のセキュリティ意識徹底はもちろんのこと、各社のシステム上のセキュリティ対策もしっかりと取っておかなければいけなくなります。
■2)地方自治体がシステム変更に追われる
既に地方自治体はこの状況に追われているでしょう。というのも大きな自治体であればシステム変更のためにシステムエンジニアをたくさんの人件費をかけて雇い入れることもできますが、地方自治体にはそのような人材も予算もなかなか調達できないのが現実だからです。そして、何と言っても現在の日本のシステムエンジニア不足は深刻な問題です。
現在ですら数万人規模の人手不足にもかかわらず、みずほ銀行のシステムを一新するプロジェクトなども動き出していく今からは、より一層の人手不足になっていくでしょう。システムエンジニアは、つまるところ経験の仕事です。いくら知識が豊富でも、実際にプロジェクトに当たってみなければどうにもならないケースが多いのです。
したがって実力のある人材はどんどんお金のあるところへ流れていき、まだまだ経験の浅い人材ばかりがあぶれてしまうという状況です。そのあぶれた人材から地方自治体は血税を使って雇い入れるわけですから、かなりの苦境にあることがわかるはずです。
■3)ブラック企業が社会保険手続きに追われる
法人は従業員の社会保険料と厚生年金を負担する必要があります。これは企業のコストに対してかなり大きな割合を占めるので、いわゆる「ブラック企業」と呼ばれる会社や一部の人間の利益のためなら従業員の生活なんて関係ないという企業にとってはなんとも邪魔な費用です。
そこでブラック企業は社会保険に加入せず、各従業員に自分で国民年金や国民健康保険に加入させるという方法をとろうとします。残念ながら現在の日本ではこのような違法企業が少なくありません。またこのような企業に勤めている人の多くは、自ら年金や国保の手続きをしているような余裕はないので、どちらも未納になるケースが多いのです。
こうなってくると問題は一人の従業員、一つの企業の問題ではなく、年金システムが崩れつつある現在の日本全体の問題になってきます。その意味で、今回のマイナンバー制度の導入は、非常に効果的なものとなるでしょう。というのも、マイナンバー制度によって個人の情報が一元化されれば、社会保険未加入事業者が一目瞭然になるからです。
もちろん社会保険未加入のまま事業を継続することは許されませんから、ブラック企業の事業者は社会保険に加入するか、事業をたたむかどちらかにしなくてはいけません。
■まとめ|大きく変わると書いて「大変」
マイナンバー制度への対応は企業も、自治体も、違法者も、それぞれ対応に追われ、大変な思いをすることでしょう。違法者が大変になるのは自業自得としても、他の2つはお金も手間も時間もかかります。しかしこの大きな変化は必ずや日本の行政サービス、あるいは行政機関における情報管理に良い効果をもたらすはずです。
今までばらばらに管理することで生まれていた作業の重複や、重複からのズレ、それをもう一度照合する時間、手間、人件費など、ありとあらゆる無駄が大幅に削られるからです。確かにさまざまな管理番号や手続きを設けたほうが、セキュリティ面においては有効かもしれません。場合によってはチェック機能が働いてミスが減るかもしれません。
しかしそんなに悠長に情報を処理していては、現代のスピードにはついていけないのです。もちろんスピードだけで行政処理をされては危険ですが、確実性を追求しながらもスピーディな処理を心掛ける、そのようなシビアな姿勢が今の日本の行政には求められているのです。その実現のための第一歩としてこのマイナンバー制度はあるのです。
また、マイナンバーは非常に厳密な個人情報であるため、「収集して、保管して、利用する」という作業だけでも非常に面倒です。
そんな場合に、マイナンバー管理サービスを使うと、経営者や税理士の方は、顧客や従業員とマイナンバーのやりとりをしたり、自社内で保管したりする手間を省くことができます。
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