源泉所得税額の計算方法は?源泉所得税のキホンをわかりやすく解説します
みなさん、源泉所得税という言葉は聞いたことがある方も多いかと思います。しかし「なぜ給料からお金が差し引かれるのか?」「どのようにしてその金額が決められているのか?」などについてまでご存知の方はあまりいらっしゃらないと思います。
今回は、源泉所得税についての基本的な考え方をわかりやすく解説していきます。
1)源泉所得税とは
よく聞く源泉徴収とは、給与や報酬などの支払者が、支払いにあたって給与や報酬等の金額から所得税などを差し引いて支払う制度で、いわゆる『天引き』と言われるものです。この天引きされた所得税が「源泉所得税」として国に納付されることになります。
2)源泉徴収の意義
では、なぜ源泉徴収されるのでしょうか?これには2つのメリットがあります。
まず1つ目は、納税と徴収という作業を効率よく進めていくことができるという点です。申告をするということは、納税者にとっても申告書を作成しなければならず、また税務署にとってもその業務量が増加するなど、両者にとって煩雑な作業が増えてしまうことになります。そのため、所得税法では源泉徴収をすることによって納税の手続を簡便化しています。
次に2つ目は、確実に税金を徴収することができるという点にあります。これは給与などその所得が正確に把握できるものについて、効果的に徴収できます。なお余談になりますが、この源泉徴収制度は、納税者が税金を納めているという感覚を鈍らせてしまい、政治に対しての関心を薄れさせてしまうというデメリットもあります。
3)源泉徴収されるものには何があるの?
源泉徴収されるものついては、給与だけでなく、個人が支払を受ける報酬についても徴収されます。その報酬の範囲については、以下に列挙したものなどが挙げられます。また、これら以外にも利子や配当についても源泉徴収されます。
- 原稿料や講演料など
- 弁護士、公認会計士、税理士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロ野球選手などのプロスポーツ選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
- 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- ホテルなどで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うコンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
- プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
4)源泉所得税はどのように計算されているの?
毎月、給料をもらっているサラリーマンの方たちは、どのように計算されて金額が差し引かれているのか、特に意識されたことがないことも多いのではないでしょうか?ここでは、特に給与に関して一体どのようにして源泉徴収されているのかを具体的に説明していきます。
毎年、国税庁から源泉徴収税額表が公表されておりこれを使用して源泉徴収される金額を算出していきます。
それでは、具体的な数字を基に計算してみましょう。計算するために必要となる情報は以下の3点です。
- 給与の金額(月額)
- 社会保険料
- 扶養親族等の数
この3点の情報を使って源泉徴収税額表から源泉徴収される金額を算出します。
5)計算例
給与の金額(月額):350,000円 社会保険料:42,120円 扶養親族等の数:2人
税額の計算 源泉徴収税額を求めるためには、まず『給与の金額』から『社会保険料』を差引く必要があります。そのため、『社会保険料等控除後の給与等の金額』は、307,880円(=350,000円-42,120円)となります。
この金額を元に以下の源泉徴収税額表を使って、扶養親族等の数2人の欄(縦軸)と307,880円(横軸)が交わる部分を探します。今回の例題でいきますと、赤枠で囲った5,370円が源泉徴収されることになります。
※社会保険料は、全国健康保険協会ホームページを参照
国税庁の源泉徴収税額表を一部抜粋
まとめ
みなさん給料が支給された時に手取金額ばかりに目がいきがちではないでしょうか?実は私もその一人です。給料が支給されたら、給与明細に目を通して一度計算してみてください。そうすれば源泉徴収についての理解も進み、税金を納めているのだという自覚もより一層深くなると思います。
寄稿事務所:合同会社UKトラストグループ