保険料控除申告書の記入例をわかりやすく解説
今年もやってきます 年末調整!
8月の終わりが近づいてくると、そろそろ年末調整書類の準備の時期だと思う人も多いのではないでしょうか。年末調整書類の準備では、正しく記入することで担当者の負担が軽くなり、また煩雑な手続きを極力しないで済ませることができます。今回は年末調整の書類のうち、保険料控除申告書の記入例についてご説明します。
1)保険料控除申告書って何のために出すの?
「保険料控除申告書」という書類は単独には存在せず、「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」という書面の略称として使われています。
この書面は「社会保険料控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」という3つの所得控除セクションから構成されています。所得控除とは納税者の所得を減らす効果を持つもので、結果として納税額を減額することができます。
給与にかかる所得税については、毎月源泉所得税として納付しますが、年末に実際に納付すべき所得税の金額と、源泉徴収されていた所得税との差額を納付又は還付するのが年末調整です。
納付すべき所得税の金額を計算するには、給与以外のさまざまな情報が必要になります。しかし、会社としては対象者が生命保険に加入しているか、家族構成はどうなっているかといった情報については通常知ることができません。
こうした情報を入手するため、対象者は「保険料控除申告書」「扶養控除申告書」などを提出して会社にその事実を伝え、納付すべき所得税の金額を計算してもらうのです。これらの書面は納税額を減額することができるものなので、必ず期限内に提出するようにしましょう。
2)保険料控除申告書の具体的な記入方法
それでは、実際の記入方法の説明に移りましょう。保険料控除申告書は、以下の書面です。
1. 「生命保険料控除」の欄
この欄は、生命保険料控除の対象となる生命保険料を支払っている場合に記入します。なお、一般の生命保険料では1つの契約の保険料が9,000円を超えるもの、個人年金保険料では、すべての契約について控除証明書を添付しなければなりません。
まず、保険会社名、保険の種類(定期、終身、養老、定期付終身など)、保険期間、契約者名、保険金の受取人の指名及び続柄、新旧の区分、支払った保険料の額を記入します。
次に、支払った保険料の金額から、新旧それぞれの制度についての保険料控除額を下の計算式から算出します。新旧の区分や支払った保険料(12月末までの支払予定額)など、記入にあたって必要な事項については、生命保険会社から送付されてくる控除証明書に記載されておりますので、正しく転記しましょう。
最終的に表の「イ・ロ・ハ」の合計金額(120,000円限度)が控除額となります。
2. 「地震保険料控除」の欄
地震保険料控除の対象となる地震保険料を支払っている場合に記入します。なお、すべての契約について控除証明書を添付しなければなりません。
まず、保険会社名、保険の種類(地震、積立傷害)、保険期間、契約者名、家屋等の居住者名と続柄、地震・旧長期の区分、支払った保険料の額を記入します。
次に、地震保険料の額をB、積立傷害の保険料をCに記入し、BとCの合計額を地震保険料控除の金額として記入します(50,000円限度)。
区分や金額等記入に必要な事項については損害保険会社から送られてくる控除証明書に記載されておりますので、正しく転記しましょう。
3. 「社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除」の欄
社会保険料控除の欄については、給与等から差し引かれる社会保険料等以外に社会保険料を支払っている場合に記入します。その社会保険料が国民年金保険料の場合には、証明書を添付しなければなりません。
小規模企業共済等掛金控除の欄については、小規模企業共済等掛金控除の対象となる掛金を支払っている場合に記入します。こちらはすべての控除について証明書を添付しなければなりません。
4.「配偶者特別控除」の欄
配偶者特別控除の適用を受ける場合に記入します。配偶者の所得金額が38万円から76万円の範囲である場合は控除の対象となります。
ただし、この規定については様々な要件があるので注意が必要です。まず、本人の合計所得金額、配偶者の氏名及び住所、次に配偶者の合計所得金額(所得控除前の合計額)を計算し、早見表から控除される金額を記入します。
まとめ
「保険料控除申告書」の記入例としては以上となります。ポイントとしては、以下の3点が挙げられるでしょう。
- 保険会社から送られてくる控除証明書は保管しておく
- 12月までの支払額を記入する
- 期限内に確実に提出する
また、2015年10月には番号法の施行に伴いマイナンバーが付与されますので、本人及び家族等のマイナンバーが記載された通知カードが送付されてきたらしっかり保管し、各種申告書等に正しく記入しましょう。マイナンバー対応の申告書のひな形については国税庁より発表される予定ですので、気になったらホームページをチェックしてみてください。