コアタイムなどのルールは必要?フレックスタイム制の勤怠管理
「労働基準法等の一部を改正する法律案」のなかで、多様で柔軟な働き方を実現するために、フレックスタイム制の「清算期間」の上限を1か月から2か月に延長する改正法案が審議されています。
本記事では、フレックスタイム制の改正も見据え、フレックスタイム制での基本的な勤怠管理の方法と、コアタイムなどのルールをどう設定するかについて記載したいと思います。
1)フレックスタイム制ってなに?
フレックスタイム制とは、労使協定に基づき、労働者が各自の始業時刻と終業時刻を原則として自由に決められる制度です。
始業・終業が自由に決められるため、1日・1週の労働時間の制約に代えて、清算期間における労働時間の合計によって時間外労働の有無を判断します。
例えば、清算期間が4週間、総労働時間が180時間の場合、法定労働時間は週40時間ですから、清算期間の法定労働時間の総枠の計算は40時間×4週=160時間となり、180-160=20時間を時間外労働として清算期間で清算することになります。
改正法案では、この清算期間の上限を4週間(1か月)から12週間(3か月)に広げることを検討しています。そうすると、例えば、最初の月は180時間、2か月目は、早く帰れたので140時間、3か月目は160時間とした場合に、合計は480時間となりますが、清算期間の法定労働時間の総枠の計算は40時間×12週=480時間となり、現状より長いスパンで労働時間を調整することができます。
2)フレックスタイム制度の現状と課題
フレックスタイム制度は現状どの程度の企業で導入されているのでしょうか?こちらの資料の25ページにある通り、1000人以上の企業では、30%近くの企業が導入しています。
表をご覧いただければわかるとおり、大企業ほど導入しており、業種別では情報通信業での導入がすすんでいます。 <参考>裁量労働制の新たな枠組み、 フレックスタイム制の見直しについて
フレックスタイム制度の現状の課題は、さきほどの資料の30ページ目にあるとおり、特に問題がないとする意見が過半数近くを占める一方で、従業員の時間意識がルーズになるという声も上がっています。 <参考>裁量労働制の新たな枠組み、 フレックスタイム制の見直しについて 上記の結果を見ると、コアタイムを設定することで、従業員の時間への意識が高まるというのは一定程度の合理性があるといえるでしょう。
多くの企業では、コアタイムが設定されており、概ね10時から15時に設定する場合が多いようです。注意しなければならないのは、例えば9時から16時までをコアタイムとするなど、一日の労働時間のうち、ほとんどをコアタイムに含める場合です。
この場合は、そもそもフレックスタイム制度の定義に該当しないため、フレックスタイム制とは認められません。よって、1日の労働時間のうち半分以下の時間をコアタイムとして設定するにとどめる方がよいでしょう。
例えば、私が以前勤めていた金融サービス業の会社(5000人規模)では、本社部門のみフレックスタイム制度が設定されており、コールセンターなどは変形労働時間制度を採用し、部門特性に応じた人事制度を導入していました。
フレックスタイム制度の運用面においても、各社員が帰社する際には翌日の出社時間をホワイトボードに記載し、部門内で勤怠の情報を見える形で共有できるように工夫していました。
まとめ
ここでは、フレックスタイム制について紹介しました。フレックスタイム制を導入する場合に気を付けるべきポイントとして、以下のような点に工夫を凝らし、従業員の勤怠管理をきちんとできるルールを整備するのがよいでしょう。
・合理的なコアタイムを設定する ・部門特性、業界特性に応じてフレックスタイム制度を導入する(一律にしない) ・通常の勤怠管理とは別に、各人の勤怠が顧客や社内に見える形で共有できるようにする(見える化)
いかがでしょうか?この記事がフレックスタイム制度の導入を検討するみなさまのお役にたてれば幸いです。
寄稿事務所:合同会社UKトラストグループ