中小企業が年内に最低限やっておきたいマイナンバー対応
マイナンバーの通知カードの送付が始まり、2016年1月のマイナンバー制度開始まで残りわずかとなりました。しかしながら、中小企業においては、いまだマイナンバーの対応にまったく着手していないという企業も少なくないようです。そこで今回は、小規模企業において、年内に最低限やっておきたいマイナンバー対応について、5つのポイントを解説します。
1)マイナンバーの担当者を決める
年明け以降、企業は従業員等のマイナンバーを扱うことになりますが、まずはマイナンバー対応を主導し、その後はマイナンバーの管理等を行う担当者を決めなければ対応は進みません。
社内の人間であれば、誰でも他人のマイナンバーを閲覧してよいわけではありませんし、閲覧できる人が多ければ多いほど漏えいのリスクも高まりますので、マイナンバーを閲覧できる担当者はできる限り絞っておくことが重要です。基本的には、総務経理業務を担当している事務担当者数名に絞ることになるでしょう。
2)マイナンバーを取得する手順を決める
市町村ごとに発送時期は異なりますが、既にマイナンバーの通知カードの発送は始まっています。新聞やテレビ等では、連日マイナンバーに関する報道がされているため、中途半端な知識をもった従業員が通知カードを手にするやいなや「マイナンバーを利用するので、会社へ伝えなければいけない」と気を利かせて、各々の方法で会社へマイナンバーを伝えてくる可能性があります。例えば、上司の机の上に通知カードのコピーをそのまま置いていく従業員なども想定されます。
そのような事態を防ぐためには、マイナンバーは大切な番号であるので、会社からの指示がない限りは職場に持ち込まないようにすることを周知し、また、いつどのような方法で回収をするか、従業員にアナウンスしておく必要があります。漏えいリスクが低い回収方法としては、マイナンバー担当者が直接本人に対面で通知カード原本の確認を行い、そのコピーを受領することが考えられます。
また、会社がマイナンバーを取得する際には「利用目的通知」と「本人確認」が必要となります。「利用目的通知」とは、例えば「雇用保険関係届出事務に利用する」など、マイナンバーを利用する目的を本人へ通知することです。
よって、本人に手渡せるよう、利用目的を列挙した通知書面をあらかじめ用意しておくとよいでしょう。なお、本人確認は、通知カードと写真付きの公的身分証明書(運転免許証、パスポート等)を照らし合わせて行います。
3)マイナンバーが記載された書類は鍵付きの金庫などに保管する
「通知カード」または「個人番号カード」のコピーを受領したあとは、その書類をカギ付きの金庫やキャビネット等で保管します。エクセル等で電子ファイル化をする場合には、ウイルス対策ソフトを最新版に更新する等のセキュリティ対策を行っておく必要があります。
小規模企業であれば、アナログではありますが、電子データでの保管は一切せず、紙媒体のみでの保管も有力な選択肢となります。またクラウドの預かりサービスを利用する場合には、セキュリティ面において信頼の置けるサービスを利用することも重要です。
4)マイナンバーを扱う作業時には他の従業員から見られない環境をつくる
取得したマイナンバーは、雇用保険や所得税等に関する行政手続の届出書類に記載し、利用することになります。その届出書類を作成する際、他の従業員から覗き見できる環境にあってはなりません。そこで、事務担当者の机付近に進入禁止エリアを設け、作業時進入禁止と書いた看板を立てたり、作業途中で離席をする際には一旦書類を片付けるなど、ルールを決めて作業時の漏えい対策を講じる必要があります。
5)マイナンバー利用の必要がなくなれば細かく裁断して破棄する
マイナンバーは従業員の退職等により、その利用機会がなくなれば、すみやかに破棄や削除することとされています。
そのため、いつ破棄をするのか管理をしなければならないとともに、破棄の方法を決めておかなければなりません。当然、そのままゴミ箱に捨てるようなことは避けるべきであり、シュレッダーなどで細かく裁断する等して、復元や読み取りができない状態で捨てるようにルールを決めておきましょう。
まとめ
マイナンバー対応については、厳重な管理が必要という漠然とした不安から高額な管理システムの導入をしなければならないのかと、過剰な対応をしてしまいがちですが、目的は情報漏えいをさせないことですから、自社にとっての最善策は何かを考え、それを実行することがよいでしょう。