派遣社員のマイナンバーの管理は必要? 知っておくべき基礎知識
いよいよ平成28年1月からスタートするマイナンバー制度。事業主のみなさん、準備は着々と進んでいますでしょうか? 早いもので今年も残すところあとわずか。年末調整に向けてマイナンバーの収集業務に追われている事業者の方も多いでしょう。そこで今回のテーマは派遣社員を雇用している場合のマイナンバーの取り扱いについてお話ししようと思います。
1)そもそも派遣社員の雇い主は誰?
「派遣社員の雇用」という言葉を見て、事業者のみなさんはどちらの立場が頭に浮かびましたでしょうか? 派遣会社から派遣社員を受け入れている事業者(以後「派遣先」といいます。)、自社の従業員を派遣先に派遣することを事業としているいわゆる派遣事業者(以後「派遣元」といいます。)が多くの場合、思い浮かぶでしょう。
派遣社員は派遣元である会社と雇用契約を結び、派遣元の会社に雇われています。つまり、派遣元会社においては一般企業の社員と同じく、普通の社員です。
この派遣元の社員の方は派遣先へ出向いて、派遣先の社員と同様に、派遣先の通常業務をこなします。そのため派遣先の事業者の方からすると、外見的には自社の社員と変わらないことが多く、「派遣社員もマイナンバーの管理が必要なのでは?」という疑問に直面することかと思います。
しかし派遣先と派遣元の会社では、マイナンバーにおける取り扱いが大きく異なるため、次章において2つを比較しながら解説したいと思います。
2)派遣先会社と派遣元会社のマイナンバーの取り扱い
前章のとおり、派遣社員の雇い主はあくまで派遣元会社(派遣事業者)です。つまり、派遣元会社においては他の事業の普通の社員となんら変わりありませんから、年末調整や社会保険手続きを行うためにマイナンバーの収集、管理が必要となります。
一方、派遣先の会社ではどうでしょうか?派遣先の会社でもマイナンバーを収集、管理しなければならないのでしょうか?答えは「ノー」です。
派遣先の会社においては、受け入れた派遣社員の方に仕事をしてもらった対価は派遣元に外注費として支払います。派遣社員に対するお給料ではありませんので、年末調整の対象となりません。
また、自社の社員ではないので派遣先の会社において社会保険に加入することもありません。つまりマイナンバーを使用することがなく、使用しないマイナンバーを無意味に収集、管理することはできません。
まとめると、派遣社員のマイナンバーを収集、管理しなければいけないのは派遣元の派遣事業者であり、派遣先の会社は何もする必要はありません。
3)まとめ
いよいよマイナンバーの通知カードが郵送されてきて、マイナンバーを収集し始めている会社も多いことかと思います。マイナンバー制度の概要や管理の仕方など準備万端と思っていても、いざ実務になると「これはどうなの?」と思うこともあるはずです。
派遣先の事業者の方においては「必要かわからないけど、とりあえずマイナンバーを収集しておこう」と安易に収集してはいけません。大切な個人情報であることを自覚して、正しい取り扱いを心がけましょう。