入退社シーズン到来!中小企業が今やるべきマイナンバー対応まとめ
この時期にやっておくべきマイナンバー対応って?
マイナンバーの運用が本格的にスタートし、気が付けばもう3月。この時期は一年のうち入退社が最も多く、2017年卒の就活採用情報解禁も重なり中小企業は大忙しかと思います。そのうえ、「マイナンバー対応なんて出来ない!」との声が聞こえてきそうですが、様々な個人情報を扱う機会が多いこの時期だからこそ個人情報関連の書類をしっかりと整理すべきです。事業者に対するマイナンバーの取扱いについての苦情あっせん窓口も個人情報保護委員会に設置されており、ずさんな管理をしていると、もしかしたら勧告がきてしまうかもしれません。
面倒な対応が多そうなマイナンバー管理ですが、実はそこまで構える必要はありません。特に従業員数の少ない中小企業であれば、マイナンバーの収集・保管・廃棄のルールさえ覚えてしまえば、従来の個人情報の管理とほぼ同様です。
1)マイナンバーの収集
まず最初は、マイナンバーを扱う事務担当者を決めます。給与や社会保険を担当されている既存の方がふさわしいでしょう。 次に、従業員に対し「なぜマイナンバーを収集するか?」の利用目的を伝えます。具体的な方法は下記のとおりです。
~「利用目的」を伝える方法~
一般的には紙媒体を回覧または掲示板への貼付、社内メールやイントラネットを利用する方法、就業規則への明示等が考えられます。このとき、「源泉徴収票作成事務」「健康保険・厚生年金保険届出事務」「雇用保険資格取得・喪失届出事務」など複数の目的でマイナンバーを利用することを明示します。
※利用目的が増えた場合は再度通知しなくてはならないため、初めから複数の目的を記載した方が良いと言えます。
そして次はマイナンバーの収集です。収集時には、提出されている番号が「正しい番号であるかどうか」(番号の確認)と、「番号の正しい持ち主かどうか」(身元の確認)を1セットで確認を行うというルールがあります。なお、パートやアルバイト分のマイナンバーも収集が必要です。また、従業員の扶養親族のマイナンバーを取得する場合(国民年金第3被保険者の届出に必要)は、従業員が事業者の代理となり扶養親族に本人確認を行う方法があります。このとき、「事業者が従業員に扶養親族の本人確認の業務を委託した」ということを示す書類等を残すとよいでしょう。また、収集方法は以下の3つがあります。
収集方法1:通知カードと、写真付き身分証明書を使う
収集方法2:マイナンバーが記載された住民票の写しと、写真付き身分証明書を使う
収集方法3:マイナンバーカード(個人番号カード)を利用する
内定者のマイナンバーの収集
また、「内定者」のマイナンバーの収集については、内定者が確実に雇用されることが予測される時点(正式な内定通知、入社の誓約書が交わされた場合等)で、提供してもらうことができます。しかし、採用説明会や採用面接時には不正な番号収集にあたるため提供を求めてはいけません。
2)マイナンバーの保管と廃棄
パソコンでマイナンバーを管理する場合は、ウィルス対策ソフトの更新や、パスワードの設定を行いセキュリティー対策をします。データではなく、紙で帳簿等を管理している場合は、カギがかかる棚や引き出しに保管するなどして担当者以外の人が取り扱わないような工夫が必要です。
従業員が退職などし、その方のマイナンバーが不要になったら、マイナンバーが記載されている書類を細かく裁断し廃棄します。帳簿に保存期間が設けられている場合は、マイナンバーが記載されている部分を塗りつぶすなど見えないようにして保管します。廃棄を前提に、書類を年度ごとにファイリングするなどの工夫も有効です。パソコンで管理している場合はその情報を完全に削除することが必要です。
3)従業員にマイナンバーの提供を拒まれた場合
従業員にマイナンバーの提供を拒まれることも想定されます。その時は、法令で定められた調書等にマイナンバーを記載することは事業所の義務であることを説明し提供を求めてください。それでもなお提供を拒まれたら、提供を求めた日時や経過等を記録、単なる義務違反でないことを明確に残しておいてください。一方、マイナンバーの提供を拒んだ従業員に対して解雇や賃金不払いなどの不当な対応は、労働関係法令違反となる可能性がありますので、注意が必要です。
4)まとめ
民間事業者に対する罰則がありますが、それが適用されるのは“故意に”情報を漏洩させた場合です。また実際には、仮にマイナンバーが他人に知られたとしても何か手続きが出来るわけではなく、直ちに被害が出るものではありません。しかしながら過失での情報漏えいであっても社会や従業員等からの信頼を失墜する恐れもありますので、ルールに則り、事業所内の情報管理に関する対策を見直してみましょう。