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2016年10月24日(月)

マイナンバー制度で企業が求められていること ~従業員の番号収集&管理、提出書類への記載等について~

経営ハッカー編集部
マイナンバー制度で企業が求められていること ~従業員の番号収集&管理、提出書類への記載等について~

pixta_20690871_s 2016年分から各事業所が提出する給与支払報告書には、マイナンバー記載が必要になります。制度が目指す目的の一つ、税の公平性に向けて大きな一歩が踏み出されるようです。そこで、2015年10月に始まったマイナンバー制度で企業が求められている、従業員などの番号収集と管理、各提出書類への記載などについて、もう一度確認したいと思います。

マイナンバー制度を企業から見ると

マイナンバー制度は住民票を持つすべての人に12桁の番号をつけ、社会保障・税・災害対策に生かすもの的です。各企業では、給与を支払う従業員など必要な人のナンバーを収集し、各種申請・届出書類などに記載して提出します。

新しい制度によって当初は業務が増え、金銭的負担も必要になりますが、国によれば、将来的には行政手続きの際に添付書類が少なくなるなどのメリットがありそうです。また、給付金の不正受給なども少なくなると見込まれることも、社会全体から見ると良い点だと言えそうです。

マイナンバーに関する企業内での業務

では具体的には企業内でどんな手順で業務を進めて行けばいいのでしょうか。国が広報資料で示しているのは次のようなものです。

担当責任者を選ぶ

最初に、マイナンバー担当・責任者を決めます。マイナンバーは将来的には究極の個人情報になるかもしれません。さまざまなデータが結び付けられた番号を他人に知られ悪用されると、大きな損害を招くこともあります。ですから、適切に処理するためにも決まった担当者が必要です。

マイナンバー収集準備

誰から番号を収集する必要があるのかをあらかじめ整理しておく必要があります。簡単に言えば、企業が支払う金銭が所得税や法人税などの対象になる相手すべての番号(法人番号も含む)が必要です。従業員以外にも、業務委託の相手先、会社の株式配当金の支出先などが対象となります。

また、事前に、しっかりと伝わる方法で収集相手に利用目的を伝えなければなりません。税や社会保険関連書類に記載するために使うことを理解して貰えなければ、場合によってはマイナンバー提供を拒否されてしまいます。なお、企業が収集したマイナンバーはたとえ相手が同意したとしても、税・社会保険・災害対策以外の目的で使うことはできません。

本人と扶養家族などのマイナンバーの収集と確認

従業員などと、「給与所得者の扶養控除等申告書」に記載される扶養家族分のマイナンバーの確認と身元確認を行います。

番号の確認は、マイナンバー通知カードやマイナンバーカード、住民票の写しを用い、例えば本人が書いたメモ書きだけ、など間違いが起こりやすい方法は避けましょう。また、本人確認も慎重に行う必要があります。免許証など写真付き証明書か、無ければ二つ以上の証明書によって確かめると良いでしょう。

集めたマイナンバーの保管・管理

繰り返しになりますが、マイナンバーは大切なものですから、万が一にも不適切な使い方をしたり、悪意のある第三者に漏れたりしないように管理することが大切です。紙で保管する場合には、カギの付いた専用棚など場所を決めて、簡単に誰でも利用できないようにします。また、システム上でならウイルス対策などにも十分な配慮が必要です。

もし、税理士事務所などにマイナンバー業務を委託する場合にも、契約書の内容を含め安全性にはくれぐれもご注意ください。マイナンバーが記載された書類についてもしっかりした管理が求められます。

不要なデータの廃棄

従業員の退職や取引先との契約終了などで不要になったデータは、確実に廃棄します。定期的に点検するように、社内規則やマニュアルなどで決めておくことをおすすめします。

従業員などを対象とした研修会でマイナンバー制度を周知

大事だからみだりに他人に見せてはいけない、といわれるマイナンバーを収集するためには相手の理解を得なければなりません。何のために企業がマイナンバーを収集・管理し、どういうふうに使われるのか、知ってもらうことが重要です。収集前に理解してもらえれば、スムーズな提供も期待できます。また、担当者には堅固なセキュリティの必要性などを伝えておくことも必要です。

マイナンバーの記載が必要な書類はどのようなものか

制度開始からそれほど月日を経ていないことなどもあり、マイナンバー記載を要する書類の数・種類は、まだはっきりしていません。当初は記載が必要だったけれど、台帳を備えていればマイナンバー記載無しでOKとなったり、制度上の問題で記載開始が遅れたりしているものもあります。

基本的には、国や市町村などから法令等で求められれば、企業が提出する社会保険・税・災害対策に関する書類に収集済みのマイナンバーを記載します。なお、税務署に提出する源泉徴収票、報酬・料金・契約金及び賞金の支払い調書などは、2016年分から対象となります。

このほか、企業経由ではありませんが、個人が直接税務署に提出する「所得税の確定申告書」なども2016年分から記載が必要です。

もしもマイナンバーが記載できなかったら

最後に、仮に何かの事情でマイナンバーが確認できない従業員がいて、必要な書類に番号が記載できない場合についてです。結論として、空欄のまま書類を提出しても大丈夫です。ただこの際、どのような事情で記載できなかったのか、経緯を残しておくことかが求められます。

企業のマイナンバー業務の未来は?

2015年10月、賑やかに始まったマイナンバー制度は、マイナンバーカードの申請が1割程度からなかなか増えないなど、少し寂しい状況が続いています。時間とともに制度の活用法が増えて便利さが実感でき、企業が担ったマイナンバー収集業務が何らかの形でメリットとして戻ってくるのかどうか…、今はまだ分かりません。

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