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2017年06月30日(金)

なぜ「働き方改革」で人事評価制度が注目されているのか ~採用難の時代を生き抜く人事評価制度のポイント~

経営ハッカー編集部
なぜ「働き方改革」で人事評価制度が注目されているのか ~採用難の時代を生き抜く人事評価制度のポイント~

2017年4月1日に、厚生労働省が助成金の新設を発表しました。その名も、「人事評価改善等助成金」。その名称のとおり、生産性向上に資する人事評価制度と賃金制度を整備することを通じて、生産性の向上、賃金アップ及び離職率の低下を図る事業主に対して助成するものであり、「人材不足の解消」を目的としています。

本助成金は(1)制度整備助成、(2)目標達成助成の2段階に分かれており、最大で130万円を受給できます。

人事評価改善等助成金は、社労士などの間で「制度整備助成は受けられても、目標達成助成を受けるのは難しい」と言われています。それは、評価制度の体裁を作ることはできても、それを適切に運用し、「生産性の向上」「賃金の増加」「離職率の低下」という成果を出すことが困難だと考えられているからです。労力をかけて評価制度を作っても、使いこなすことができずに無駄になってしまっては本末転倒です。

そこで、これまで全国1,000社を超える企業に導入してきた、「生産性の向上」「採用力の向上」「離職率の軽減」「管理職の育成」を実現させてきた「あしたの人事評価」のノウハウの一部をご紹介します。

Point1 最終成果だけでなく、プロセスを適切に評価する

評価において大切なのは、会社が社員に求めていることをきちんと給与に紐づく評価項目として落とし込むことです。間違っても、「定められた目標に向かって結果を出したのに、評価されない」というダブルスタンダード状態になってはいけません。

目標項目は、「数値目標」と「行動目標」の2軸で設定してブレイクダウンしていきます。「数値目標」は、営業でいえば売上のような数字で測れる目標のことです。「行動目標」は、その業務のプロセスに対する評価で、仕事ができる人の行動特性である「コンピテンシー」に沿って、具体的な行動レベルに落とし込みます。

みなさんは、こんな行動目標を見たことはありませんか?「相手の立場に立ったやりとりで、業務を円滑に効果的に進める」、「自身に必要な知識を習得し、業務に活かす」……一見、耳障りもよく、良い目標のように思えます。

さて、ここで、あなたが部下を持つ評価者になったとしましょう。先ほどの評価項目で、適切にS、A、Bなどの判断をできるでしょうか。何をもってSなのか、Aなのか、部下に納得がいくように説明責任を果たせますか?いざ評価のタイミングになって、部下は「この項目はよくできたからSだ!」と思ったとしても、上司から見たらBかもしれません。このような差が生じたら、それはもう悲劇です。言うまでもなく、部下には不満が募ります。

そこで、「目標を自己設定する」ことを我々は推奨しています。例えば、ある営業職の社員は、「プレゼンテーション力」という項目に対して次のように目標設定をしました。

会議でメーカー様のプレゼンを聞いたときに、声の大きさや視線、資料、どこに力を入れているかをメモする。自分が新規営業に行く際に、そのメモを参考にし、事前にポイントをまとめて話す練習をしてから訪問をする。

いかがでしょうか。評価者は、自分の部下がどのような行動をしたら何点をつければよいかがわかりやすくなりました。このように行動目標を自己設定する際に、初めのうちは目標を具体的に書くことに慣れていないために、先に示したような耳障りのよい抽象的な言葉を並べてしまう社員が多く出ることが想定されます。そこで、目標設定においての「NGワード」も一覧にしています。(表1参照)ご自身の目標で「NGワード」が使われていないか、是非チェックしてみてください。

Point2 プロセスを5段階で評価してはいけない!

子どもの頃に学校の通信簿で5段階評価を経験し、その後も何かと5段階評価に慣れ親しんでいる方も多いのではないでしょうか。しかし、行動目標は5段階評価はしません。4段階で評価するのです。そうすることで「普通」をなくすことができます。評価に悩んだときに真ん中の3点に集中してしまった・・・思い当たる方もいるのではないでしょうか。

4段階評価では、4点は「行動が習慣化できていて指摘する点もない状態」、3点は「及第点」、2点は「行動はみられたがまだ習慣化できておらず、変化に気づかれない状態」、1点は「まったく行動に起こせていない状態」となります。実際に、5段階評価では1点と5点はあまり出ません。しかし、4段階評価だと1点と4点は出るようになるので、きちんと差がついて社員の納得感も高まるのです。

Point3 給与査定は10段階で行う!

多くの企業で給与査定が形骸化してしまっているのは、「SABCD」の5段階で査定をしようとしているからです。100点満点で評価点を算出したとして、それを5段階の評価ランクに当てはめると、表2-1のようになります。15点の差があっても、同じランクになりかねない。70点を取っても56点でも、給与の増減は同じ、それで本当に社員のやる気は醸成できるのでしょうか。

私たちが推奨している10段階の評価ランク(表2-2)には、マイナス評価も組み込まれます。「マイナス評価をすると、社員が辞めてしまうのではないか」とおっしゃる経営者もいます。しかし、辞めてほしくない優秀な社員が辞めた理由のアンケート結果によると、最も多い回答は「評価と報酬が連動しないこと」でした。1点の重みを大切にし、差をつける評価制度を導入するのは、優秀な人材にとって魅力的な企業になることなのです。

興銀リース、プリモ・ジャパンを経て、2008年あしたのチームを設立。全国1,000社以上の中小ベンチャー企業に対して人事評価制度の構築・運用の経験を持つ。

人事労務freee

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