日本企業における生産性の低さを徹底解明!アナタの会社の人事評価制度は、大丈夫?
現在、日本では「働き方改革」が注目され、各メディアでは「仕事の生産性を高める対策」が多く取り上げられています。会社の生産性をあげるための対策を考えている経営者も多いでしょう。
人事評価制度を正しく運用することによって、生産性を上げられるポイントをお伝えします。
「人事評価制度があるだけ」では、生産性は高くならない
「人事評価制度があることで生産性が上がる」と言われても、納得できない経営者の方もいるのではないでしょうか?また、人事評価制度のある会社に働かれていても、生産性が低いと感じている社員の方もいると思います。
90年代後半以降、日本の大企業はアメリカ型成果主義を導入し、人事制度を変えようとしてきました。しかし、<表1>での世界との比較をご覧ください。このように「人事評価制度を取り入れるだけ」では、日本の会社の生産性は全く上がらなかったのです。その理由は、「人事評価制度を正しく運用してこなかった」からです。
みなさんの会社の人事評価を想像してみてください。上司は、本音では評価や査定を面倒くさがっていないでしょうか。人事イベントが年2回あるだけで、核となる目標設定は形骸化されていないでしょうか。そのような運用をしている限り、終身雇用・年功序列を前提として企業の本質は変えることはできないのです。
<表1>生産性における日本と世界の比較表
生産性向上につながらない人事評価制度とは?
では、人事評価制度を取り入れていても、社員のモチベーションUP(=生産性向上)につながっていない理由を考えてみましょう。それは、評価と賃金がしっかりと連動されていないからです。
多くの会社の人事評価制度は、<表2>のような5段階評価です。この評価制度には、落とし穴があります。それは15点もの差がある社員が、ひとつのランクに入っていることです。70点の社員は、56点の社員と同じ評価をされてしまいます。このままでは、結果的に成果主義にはなっておらず、社員が「仕事の生産性を向上させよう」という気持ちにはなりません。
<表2>日本企業によくある、人事評価制度の5段階評価表例
生産性向上の秘訣は、「経営者と社員、お互いのニーズを紐付ける事」
前述した人事評価制度が生産性向上につながらなかった根本要因は、社員のニーズが叶えられていないからだといえます。そこで、生産性向上の対策を考える上で、経営者と社員両者のニーズを考えてみたいと思います。
まずは社員のニーズ。一般的に人間は、承認欲求と自己実現欲求をもっているといわれています。それに当てはめて考えると、社員にとっての承認欲求とは、「成長して褒められること」です。そして自己実現欲求とは、「成長が認められて給料が上がること」だと考えられます。
次に、経営者が社員に求めていることについて。企業が働き方改革を求められている昨今、日本の経営者が社員に求めているのは、「正しいプロセスで成果を出し、一人ひとりの生産性をあげていくこと」といえるでしょう。では、これらの両者のニーズをつなげられるものは何でしょうか。
お気づきの方も多いと思いますが、それは企業制度において「人事評価制度」しかありません。すでに言及したように、正しく運用されていなければ意味のないものになってしまいます。ですが、しっかりと経営陣と社員のニーズが紐づく人事評価制度を運用できれば、生産性を向上させることができるのです。
生産性があがる人事評価制度とは?
上記のことから、経営陣が社員に求めていることを、人事評価制度やインセンティブ設計にきちんと連動させていくことが重要になってきます。
たとえば「残業削減」を社員に求めるとしたら、上司の評価項目に「部下の残業時間」を入れればよいのです。自分の痛みが入ってこなければ、人は動きません。これまで「部下の残業を減らせ」といい続けていても減らなかった残業が、「残業を減らさなければ評価が落ちる」、「さらにその評価が賃金に直結する」という仕組みを作るだけで変わります。なぜなら評価の上下は、社員の生活や人生に影響を及ぼすことになるからです。そうなれば、評価を下げることを選択する人はいません。
好循環サイクルを生む人事評価制度を取り入れよう!
結論をまとめますと、好循環サイクルを生む人事評価制度のポイントは3つあります。
⦁ 目標を明確に設定し、 ⦁ 評価サイクルも早め、 ⦁ 人材育成という視点や企業防衛という視点を持って、きちんと給与に反映させていく
みなさんの勤務先の人事評価制度は、なんとなくの目標で、なんとなく点数を出して、なんとなく賃金に反映させていませんか。もったいないことになる前に、人事評価制度の見直しをお勧めいたします。