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2019年03月08日(金)

出産したときの給付手続きについて

経営ハッカー編集部
出産したときの給付手続きについて

子どもが生まれ、家族が増えることは大きな喜びですが、なにかとお金がかかるのも事実です。また、経済的事情から子どもの誕生を諦めなければならない方もいるかもしれません。そんな時に頼りにしたいのが、保険組合などからの給付金です。今回は、出産したときの給付手続きを紹介します。

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「出産育児一時金」(「家族出産育児一時金」)とは?

健康保険に加入している被保険者が出産したときは「出産育児一時金」、配偶者が保険に加入している被扶養者が出産したときは「家族出産育児一時金」が支給されます。

一時金の支給額は、1児あたり42万円です。双子や三つ子の場合は、子どもの人数分支給されます。なお、正常な分娩がされなかったとしても、妊娠85日(4ヵ月)以後の早産、死産(流産)、人工妊娠中絶は出産と見なされるため、一時金の支給対象です。

出産育児一時金は出産する医療機関を通じて申請する

基本的に「出産育児一時金」(「家族出産育児一時金」)は、出産する医療機関を通じて、加入している健康保険組合や国民健康保険であれば各自治体に申請します。もし、出産費用が一時金より下回った場合は、差額を受け取れ、上回った場合は超過分を支払います。

差額がない場合は、ご自身で健康保険組合などに交渉することはありません。差額を受け取る場合は、医療機関で手続きをした後に、健康保険組合などへ差額の還付申請を行います。

出産で退職したら給付資格はどうなる?

資格喪失の日の前日(退職日など)まで継続して1年以上の被保険者期間がある方が、資格喪失日から6ヵ月以内に出産したときは、出産育児一時金が支給されます。女性の被保険者が退職して被扶養者になった場合は、「出産育児一時金」か「家族出産育児一時金」のどちらかしか支給されません。

なお、被保険者が資格を喪失した後に被扶養者が出産した場合は、家族出産育児一時金を受け取ることができません。

お金の心配をせずに出産できるように整えられた制度

お産にかかる費用は決して少なくありません。しかし、「出産育児一時金」を利用すると、出産にかかる費用に出産育児一時金を充てるよう、健康保険組合から医療機関に直接支払いがされる仕組みになっています。そのため、出産にあたり多額の費用を用意する必要がなくなるのです。

また、一時金の支給期間までに出産費用に充てる費用が必要な場合は、出産育児一時金の8割相当額を限度に、資金を無利子で貸し付ける制度もあります。こうした制度は、お金の心配をせずに安心して出産できるように整えられた制度です。

(出典:全国健康保険協会「子どもが生まれたとき」

出産手当金とは?

出産育児一時金と混同されやすいのが、この「出産手当金」です。こちらは、女性の労働者が出産のために仕事を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合に、その穴埋めをする制度です。妊娠判明の日から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、仕事を休んだ日が対象になります。

平成28年4月1日以降の申請期間における支給額は、以下のように計算します。

・支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × (2/3)

もし、会社の規定で産休期間も給与が全額もしくは一部支払われる場合は、出産手当金との差額が支給されます。なお、正常な分娩ができなかった場合でも、妊娠が4ヶ月(85日)以上継続していれば、出産一時金が支払われます。

(出典:全日本健康保険協会 「傷病手当金・出産手当金の計算方法が平成28年4月から変わります。」

出産手当金の申請書作成の流れ

出産手当金の申請書(健康保険出産手当金支給申請書)には、医師(助産師)、事業所(勤務先)の記入欄もあります。書類作成の流れは、以下の通りです。

1. 出産予定日が判明したら、勤務先に手当金の受給資格があるかを確認する

2. 産休前に勤務先で申請書(健康保険出産手当金支給申請書)を受け取る

3. 入院するときに、申請書を持参して医師に記入してもらう

4. 出産後、勤務先に申請書を提出する

5. 勤務先の担当者が保険組合に申請する

6. 2週間~2ヶ月後をめどに出産手当金が振り込まれる

申請書は所轄の社会保険事務所にもあるので、退職などで勤務先から申請書を受け取れなかった場合は、社会保険事務所でも入手することができます。医師に記入を依頼する場合は、書類の作成手数料が請求されることもあるため、医療機関に確認をしましょう。

なお、申請を忘れていた場合も、過去2年間にさかのぼって全額の申請が可能なので、諦める必要はありません。

出産前に退職した場合は、出産手当金を受けられる?

出産前に退職した場合は、出産手当金を受けられるのでしょうか。以下の条件を満たしている場合、退職していても出産手当金を受けられます。

・出産日から42日以内に退職している

・退職日に出勤していない

・退職日まで被保険者期間が1年以上ある

・退職前に支給条件を満たしている、現に出産手当金を受けている

(出典:全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき」

帝王切開で出産するなら「高額医療費制度」を利用しよう

帝王切開で出産する場合は、保険の3割負担が適用されます。

この金額が高額になった場合には、「高額医療費制度」を利用しましょう。負担限度額を超過した分は、払い戻しを受けることができます。病院の担当者もしくは、自治体の窓口に問い合わせてみてください。

子どもが生まれたら5日以内に扶養の手続きを

子どもが生まれたら、両親いずれかの健康保険の扶養に入れる必要があります。

また、子どもに限らず、扶養家族が増えた場合には、被扶養者になる事実が発生した日から原則5日以内に、勤務先へ「被扶養者(異動)届」を提出しなくてはなりません。そして、雇用主は提出された書類を日本年金機構に提出する必要があります。

夫婦が共働きの場合、どちらの扶養に入れる?

夫婦が共働きの場合、どちらの扶養に入れるか迷うかもしれませんが、一般的には「収入が多い方の扶養に入れる」とされています。夫婦の収入差が50~100万円程度異なれば多い方に、となりますが、それほど差がない場合は、父親の扶養に入れることが多いようです。

もし、父親が自営業で国民健康保険、母親が会社員で健康保険に加入している場合は、母親の扶養に入れたほうが金銭的な負担が抑えられます。これは、国民健康保険の場合、1世帯あたりの加入人数が多いと保険料が高くなるためです。ただし、「収入が多い方の扶養に入れる」という原則があるため、自営業の父親の収入が母親より多かった場合には、父親の扶養に入れることになります。

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