社会保険料の決定方法は?定時決定と随時改定を徹底解説
社会保険料の定時決定と随時改定について知っておきましょう
社会保険に加入している場合、毎月の給料に社会保険料がかかり、労働者と雇用主がほぼ同額ずつを負担しています。今回は、社会保険料の決め方やタイミングを解説します。
1) 社会保険とは
社会保険とは一般に、厚生年金と健康保険を合わせたものを指します。40歳から65歳の方には、介護保険料も一部負担します。
社会保険料は、給料の月額から一定のルールで決められます。毎月の給料支払い時に天引きされ、雇用主が労働者から天引きして預かった分と雇用主負担分を併せて、日本年金機構や、その他年金・健康保険の運営者(協会けんぽ等)に納付します。それらの保険料が、年金受給者が受け取る年金や、医療費の負担などに用いられる仕組みです。
負担する金額は、従業員それぞれに「標準報酬月額」を決め、それに保険料率をかけて決定されます。標準報酬月額は、標準報酬月額表を見て判定します。例えば、報酬が165,000円から175,000円の方は標準報酬月額が170,000円、330,000円から350,000円の方は340,000円、という具合に決まっています。ここでいう「報酬」には、基本給に加えて、残業代、手当、通勤費なども含まれます。ただし、退職手当や結婚祝、出張日当などは含まれません。
それでは、この標準報酬月額はいつ、どのように決まるのでしょうか。
2) 社会保険料の定時決定
標準報酬月額の決め方には2つ、「定時決定」と「随時改定」があります。定時決定は、7月10日を納期として「算定基礎届」を提出することで行われます。決定された標準報酬月額は9月から翌年の8月まで適用されます。
定時決定には、以下4つのパターンが考えられます。
・当年の3月以前より雇用されていて、7月1日に被保険者である場合
4月、5月、6月の支給額の合計を支給月数で割った金額を、標準報酬月額表に照らして決定します。例えば、4月206,000円、5月210,000円、6月223,000円だった場合、
206,000+210,000+223,000=639,000 639,000円÷3か月=213,000
標準報酬月額表によると、210,000円~230,000円は標準報酬月額220,000円となります。
ここで、毎月の支払基礎日数が17日未満の月は除きます。支払基礎日数とは、月給ならば暦日(土日や祝日も含む日数)、日給ならば出勤日数と考えてください。
・当年の4月又は5月に新たに雇用されて社会保険に加入した場合
4月から6月までに支給を受けた金額と月数で算定します。例えば4月は支給がなく、5月と6月に支給された金額がある場合、それらを足して2で割った金額を用います。
ここでも、支払基礎日数が17日未満の月は除きます。支払基礎日数が17日以上の月が6月だけの場合、6月分だけ用いることもありえます。
・当年の6月に社会保険に加入した場合
資格取得時に見込み報酬を用いて標準報酬月額を算定していますので、翌年8月までそれを用います。
・当年の7月以降に雇用された場合や、以下にみる「随時改定」がなされた場合
その際に決定した標準報酬月額を用います。
3) 社会保険料の随時改定
毎年9月に標準報酬月額を決定して一年間使用しますが、途中で報酬が大きく変動したり、報酬の決め方が変わった場合、見直しがされることがあります。これを随時改定といい、「月額変更届」を提出する必要があります。月額変更を略して「げっぺん」と言ったりします。
随時改定がなされるのは3つの要件があります。 ・基本給などの固定的賃金が昇給や降給で変動すること ・変動月から3か月連続で支払基礎日数が17日以上あること ・変動月から3か月の平均による標準報酬月額表の等級が、従来の等級より2以上変動すること これらを満たした場合、随時改定となり、通常9月の定時決定とは別のタイミングで標準報酬月額が変わることになります。
固定的賃金の変更には、日給から月給の変更や、歩合給の歩合率の変更、住宅手当や役付手当の支給額変更なども含まれます。なお、残業が増えて報酬が大きく変わったとしても、随時改定はなされません。上記の要件の固定的賃金の変動がないためです。
4) まとめ
いかがでしたでしょうか。社会保険料は毎月の報酬に基づいて9月に決定されること、それを一年間使用すること、途中で固定的賃金が変わった場合には途中でも変わる可能性があることをおさえておきましょう。