個人事業主向けの健康保険4種を徹底比較|あなたに合う健康保険はどれ?
これから個人事業主やフリーランスとして活動していこうと考えている方の中で、健康保険をどうすべきか不安に思っている方も多いのではないでしょうか?
個人事業者が健康保険について考慮する順序は以下になります。
(1)個人事業主が入れる健康保険は、原則が国民健康保険です。 (2)会社に勤務していた方で、その会社で健康保険(政府管掌または組合管掌)(以下被用者保険といいます)に加入していた場合は、任意継続被保険者を選択することができます。 (3)事業の業種、地域によっては、健康保険組合を選択することができます。 (4)個人事業として収益が低い場合は、被用者保険に加入されている方の扶養になることができます。
今回は以上4つの健康保険に関して、毛満 勝彦 税理士に解説していただきました。
1)国民健康保険に加入
個人事業主の方に一番利用されているのは国民健康保険です。特に他の健康保険を選択しなければ、この保険に加入することになります。
国民健康保険の保険料は前年の所得に応じて算定されます。算定方法については、各市区町村によって多少の違いがありますが、簡単に説明しますと、
前年度の家族全体の所得×保険料率+一世帯当たりの平等割額+被保険者数×均等割額
で算出されます。
所得だけでなく、被保険者数(扶養)によっても金額が異なります。所得に応じた保険料になりますが、所得が低ければ減額があったり、所得が高くても上限額があります。
被用者保険は被保険者数に応じて保険料が変わることはありませんので、大家族は(2)の任意継続の方が保険料の負担を低く抑えられるかもしれません。
<参考>国民健康保険料の計算方法をわかりやすく解説|知っておきたい税の基本
2)任意継続被保険者を選択
任意継続とは、被用者保険に加入していた方が、会社を退職した後も被用者保険に加入し続ける方法です。
任意継続は、退職後2年間継続することができます。2年経過後は、(1)の国民健康保険または(3)の特定の健康保険組合に加入することになります。
任意継続のメリットは、被用者保険が続きますので扶養人数に関係なく保険料を負担することです。一般的には、退職後最初の一年間は任意継続の方が保険料の負担が軽くなることが多いようです。 任意継続のデメリットとしては、会社に勤めていた間、会社が負担してくれていた約半額の保険料を自分で支払わなくてはいけないことが挙げられます。したがって任意継続の場合、保険料の支払い額は、会社勤め時代のおよそ2倍になります。
保険料の算定基礎となる標準報酬月額は、辞める前の給与に対する標準報酬月額または、前年度の平均標準報酬月額のいずれか低い金額になります。
3)特定の健康保険組合に加入
地域限定の健康保険組合や、職種に応じて加入することができる健康保険組合があります。有名なものでは、建設国保(建設連合国民健康保険組合)や文芸国保(文芸美術国民健康保険組合)、税理士国保(税理士国民健康保険組合)、などが挙げられます。
健康保険組合によっては、人間ドッグ補助金のある組合や、一年間保険料を使わなければ一定額還付される組合もあります。健康保険組合は、所得に関係なく一定額で保険料が決定されるものが多いため、所得によっては、保険料負担額を低く抑えることができる場合があります。
しかし、最初に紹介した国民健康保険は最高限度額があるので、組合健康保険より保険料負担額が低い場合もあります。
4)被用者保険の扶養に入る
両親や配偶者、兄弟姉妹などが被用者保険に加入している場合に、その方の家族の扶養になる方法です。扶養家族になると、保険料を負担することなく健康保険に加入することができます。
扶養になる要件としては主に 1.収入が130万円未満であること 2.扶養してくれる家族の所得の1/2であること 3.生計を一にしている(同一の財布で生活している)こと などの条件があります。
5)まとめ
個人事業主は上記4種類の健康保険のいずれかに加入することになります。保険料については、収入金額や家族構成、住んでいる地域や職種によって違います。
まずは自分が加入できる保険の種類ごとにいくらになるのか計算し、比較してみてはいかがでしょうか。その時は、保険料だけでなく、保険毎のメリット、デメリットも合わせて考慮して下さい。