フリーランスがクランボルツの「計画された偶然」を引き起こすには?

計画的偶発性理論(計画された偶発性理論)という言葉をご存知でしょうか?これは、スタンフォード大学のJ.D.クランボルツ教授が提案した理論です。「個人のキャリアの8割は予期しない偶発的なことによって決定される」ため、「その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていこう」というのが、彼の主張です。
彼は、社会的成功を収めた数百人のビジネスパーソンについてそのキャリアを調査しました。すると、その約8割の人が「自分の現在のキャリアは予期せぬ偶然によるものだ」と答えたのです。このデータをきっかけに構成されたのが上の理論になります。
この理論はビジネスパーソンに限った話ではなく、フリーランスにも当てはまります。私の先輩フリーランスの中にも、この計画的偶発性を設計し、成功を手にしている方がたくさんいます。偶然を計画的に引き起こすポイントは、ただ偶然を待つのではなく、「積極的に行動することによって、自らのキャリアを作っていく」ということ。そして以下の5つの行動特性を持つことです。
- 好奇心を発揮して、あえて未経験分野の仕事を受注する
- 持続性に勝る実績はない
- 柔軟性を持って、自分の立ち位置を切り替える
- 困難をチャンスと捉える楽観性
- 勇気を持ってレールを外れる冒険心
では、ひとつひとつ見ていきましょう。
1.好奇心を発揮して、あえて未経験分野の仕事を受注する
私はブロガーとして、様々なテーマを記事にしてきました。ライターとしても、IT・ガジェット系から経済・会計、ライフハック系と幅広いジャンルの媒体で連載をしてきました。なぜ複数ジャンルの仕事を担当することができたのかというと、やはり様々なテーマに対して興味を持っていたからだと思います。好奇心はフリーランスには必要な要素です。
強制的に興味の範囲を広げるには、あえて「未経験分野の仕事を受注する」のが良いでしょう。なぜなら、たとえ未経験分野でも、仕事にしてしまえばお金に直結するので、否が応でもその分野のことを調べなければなりません。おそらく必死に勉強することになるでしょう。勉強を積み重ねれば、結果としてその仕事を自分の得意分野にすることができるのです。
2.持続性に勝る実績はない
私はフリーランスとしての仕事のほかに個人ブログもやっていたのですが、ブログを書く中で2つの実績を達成しています。1つ目は書評記事100冊超え、2つ目は「ブログ700日連続投稿」です。これらの実績を携えて、ライターとしていくつかの編集部に採用された経験があります。 (詳しくはこちらの記事を参照)
「継続は力なり」は使い古された言葉ですが、やはり究極的には「継続」に勝る実績はないと思っています。と同時に、継続することがいかに大変かということも教えてくれます。
継続することが難しい場合は、その作業を行うハードルを下げるという方法があります。たとえば「歯磨き」は、そもそも作業のハードルが低いので、どんな人でも毎日欠かさず行います。継続したい事柄を、歯磨きレベルまで落として習慣化させることができれば、継続することも苦にならなくなります。作業のハードルを下げるためにも、まずは短い時間でも毎日続けてみてはいかがでしょう?
これら「好奇心」と「持続性」についてですが、孤独な状況に置かれやすいフリーランスが2つの特性を保ち続けるために、どんな工夫ができるでしょう?
私は人脈を広げることを意識していました。仲の良いフリーランス同士の中で人間関係を完結するのではなく、あえてまったく知らないコミュニティに飛び込むのです。何度か知らないコミュニティに参加していると、「自分が知らなかった分野の仕事をしている人」に出会ったり、「1つの分野に特化して長い間仕事をしている人」に遭遇することがあります。
前者は自分の好奇心を搔きたてますし、後者は継続することの大切さを教えてくれます、新しいコミュニティに参加し、良い刺激をうけることは、フリーランスにとって有形無形のメリットがあるのです。
3.柔軟性を持って、自分の立ち位置を切り替える
これは私ができていなかったことです。私は今までのやり方に固執しがちで、いつも同じ仕事の進め方をしてしまいます。結果として、新しい仕事を担当したときに、どうしても臨機応変に対応できませんでした。
私がフリーランスになりたての頃の話ですが、ニュースサイトでの記者経験が長かった私は、別の媒体で「コラム」を編集する仕事もすることになりました。前者は、取材から執筆・編集・校正までを一人で担当することができました。
しかし後者は、コラムニストと何度もメールや電話などでやりとりをすることで原稿を作っていく仕事です。それまで一人で文章を書くことが多かったので、「コラムニストに頼むより、自分で書いてしまった方が早い…」と思ってしまいました。結局その編集者としての仕事は長くは続きませんでした。
「自分でやったほうが早い」と思ってしまうのは、仕事ができない人の特徴の一つでもあります。仕事のゴールは「ライターと編集者が協力して、良い文章をつくる」ことであり、大前提を忘れてしまっていました。
今なら「担当するコラムニストの文章を、もっと多くの人に届けるにはどうすれば良いか」を考えながら、”補佐役”に周ってコラムニストのフォローに徹することができます。フリーランスは、自分の立ち位置を柔軟に切り替えることが求められます。
4.困難をチャンスと捉える楽観性
3.柔軟性に通じるところもありますが、これも私ができなかったことです。
私は2年弱ほど、とあるウェブメディアに在籍していました。それまでの仕事内容に満足していましたし、実績も残していたと思っていました。
しかし、人事異動によって別の編集部に所属することになりました。新しい編集部では仕事のやり方がまったく異なり、自分の今までのやり方が通用しなくなったことで自信をなくしてしまいました。そして、たった3か月で編集部を辞めてしまいました。
今振り返れば、「新しい仕事を覚えるチャンスだ!」と考え、自分はできるんだ!という楽観的な思考で仕事に取り組むべきだったと反省しています。そのほうが、もしかすると今以上に早い段階で次のステップに進めていたかもしれません。このように、楽観的に考えることも「計画的な偶然」を誘発させます。
5.勇気を持ってレールを外れる冒険心
私はもともと大手企業に勤めていたのですが、次の職場を決めずにサクッと退職してしまいました。かなりリスキーな行動でしたが、あのときすぐ決断したことが、その後のライター・編集者としてのキャリアにつながっています。
大学を出て大手企業に入社した人が、退社して別の道を歩むことを「レールを外れる」と揶揄することがあります。レールを外れる=人生のドロップアウトだと思われがちですが、実はレールを外れた先の人生には無限の可能性が待っています。
私はレールを外れてフリーランスになったことで、貴重な経験をたくさん積むことができました。サラリーマン時代には行くことができなかったであろうNHK内部、Google日本法人の内部、楽天の社食などに潜入することができました。
自分の執筆した記事がYahoo!ニュースに載ったり、Ustreamの番組に出演したりすることも会社員のままでは経験できなかったことだろうと思います。何より、自分の仕事に誇りを持って生活できるようになったのが大きいです。
レールを外れることは怖いことです。でも、もし少しでも別の人生を歩んでみたいという気持ちがあれば、勇気を持ってレールを外れてみるのも手です。私個人の見解ですが、「迷っているなら積極的なほうを選べ※」という気持ちでいると、案外うまくいくと思っています。むしろ迷っている時間はもったいないです。どの道を進んでもゴールは同じなのだから、好きな道を選んだ方がいい。私はそう思います。
※「迷ったら積極的なほうを選べ」という言葉は耳慣れない表現かもしれませんが、倉田真由美さんの言葉で私に大きな影響を与えている言葉です。「積極的 = 受け身ではなく主体的に行動する」という意味です。
まとめ
クランボルツ教授の理論は、「偶然」というあいまいな事象を扱っているため、非科学的という意味で異論もあるようです。しかしながら、日々の仕事に対するネガティブな感情をポジティブな気持ちに変えてくれるという意味で、非常に有益な理論だと私は思います。とくに不確定要素の多いフリーランスにとっては、きっと勇気をもらえるはず。これからは、ぜひ上の5つの行動特性を意識しながら仕事を獲得してみてください。