【パラグアイで起業した日本人】~起業の夢が生み出した数奇な運命~(第1話)
私は現在、パラグアイという南米の国でビジネスをしている、ある日本人です。これからご紹介する話は、私の学生時代の話から、起業して、現在に至るまでの事を書いていこう思います。
書き出しから引っかかる単語がありますが、皆さんはパラグアイという国をご存知ですか?私は小学生の頃にはすでに知っていました。その理由は父がパラグアイという国に戦後、移住していたからです。
そして、父がパラグアイから日本に帰って私が生まれましたので、自分自身は日本生まれ日本育ちなんですけど、パラグアイの話は幼い頃からよく聞いていました。そういった生い立ちも含めて、私はとてもパラグアイに縁のある人間なのです。
さて、冒頭の挨拶を続けます。誰か一般人の人生を垣間見る機会は余りありません。偉人などであればテレビで紹介されるでしょうが、それは自分とはかけ離れていて「すごいなー」で終わり。
しかし、私はその他大勢と変わらない普通の人です。そんな私が「起業する」という夢を抱き、行動した話は少なくとも偉人よりは参考になるかもしれません。そんな話なので起業を考えている方、海外で生活してみたい方、人生の目標を見つけたいと思っている方に読んでいただけるとうれしいです。
自分のやりたい事、やってみたい事を実行に移すのはとても勇気のいる事です。その為に払う犠牲も大きくて、なかなか最初の一歩が踏み出せないという人。とても多いと思います。しかし安定していても不安定でも、人生において一番大切なのは夢を叶える事だと私は思います。それがお母さんになりたい、子どもがたくさん欲しい、毎日のんびり暮らす生活がしたい。 そういった事も一つの大切な夢ですよね。
ただし、私の場合、その夢が少し人よりも大きく、突飛だったかもしれません。では、私が起業するという夢を見つけた話をしましょう。私の起業家人生は浪人生の時に幕を開けました。しかし、いきなりこの頃の話から始めても、お分かりいただけないと思いますので、浪人生からもう少し遡って、学生時代の話から始めましょう。
夢なんてそんなにすぐ見つかるの?
私は「起業」という夢を見つけるまで、将来の夢というものを持っていませんでした。幼い頃から学校の先生に「将来の夢はなに?」と聞かれると、スポーツ選手、画家、保育士、医者、宇宙飛行士、といつも違った回答をしていたのを覚えています。
当時の私は、全く「夢」というものが現実的に見れず、どうやってみんなは夢を見つけたのか?と疑問に感じていました。 その為、小学校の頃に家族で北海道を旅行した時、クラーク博士の像に私は語りかけました「少年よ。大志を抱け」「いえ、クラーク博士、大志の抱き方がわからないんですけど?」もちろんクラーク博士は答えてくれません。だから、大志の抱き方はわからないままです。
ちょっと、大人びて聞こえますね。実際は「少年よ。大志を抱け」「は?え?たいし?」です(笑)。夢がないからとは言いませんが、学生時代の私は勉強というモノの必要性もいまいちわからずに小・中・高とあまり勤勉とは言えない学生生活を送りました。
そうして大学受験が訪れました。日々のテストや中間・期末のテストを一夜漬けで乗り切っていた私は「勉強の仕方」というものが全くわかりませんでした。詳しく言うと大学受験という「長期的に膨大な量を暗記する」勉強方法が、です。また現役の時は「よくわからないけど、みんな良い大学に行きたがっているから自分も目指そう」ぐらいの気持ちでしたので、勉強にも身が入らず、入りたい学部も決まらずに「入れたらどこでもいいや~~」と思っていました。
そんな状態なので、今では笑い話ですが、私は英語の単語帳と熟語帳「だけ」を勉強して現役時の受験に望みました。嘘ではありません。マジです!なぜそんな事になってしまったかというと、ある日読んだ本に「現役生は勢いがある!」と書いてあったし、塾の先生も学校の友達もそう言っていたからです。
それを都合のいいように解釈してたわけですね。。。つまり、あの時の私には「勢い(しか!)」なかった訳です。どうですか?すごいでしょう?(笑)。
周りのみんなは、そう言いつつもちゃんと勉強していたし「現役生の勢い」というのは勉強の勢いがある。という意味なのに、私は、、、なんでしょうね。「おらぁぁあああああ!かかって来いや!!受験!!」という意味の勢いですね。その結果は見るも無残なものです。いま思い出してみればその状態でよくも、もしかしたら、どこかに受かっているかも!という淡い期待を持てたなと関心しますけれど、、。
そうして、恐らくかすりもしなかった私の現役時代の受験は幕を閉じるわけですが、そこで晴天の霹靂が起こります。
さすがに焦った!まさかの事態!!
私と同じく英語の単語と熟語「だけ」勉強したはずの友人が、ある大学に合格したのです。その知らせを聞いた時は、冷や汗をかいた。というよりも焦りと不安で脇の下びちゃびちゃでしたね。その頃にはすでに、私と友人は浪人しようと話し合っていたのですが、私には全く合格する気配が見られず、さすがに焦りました。いえ、あの感覚は恐怖に近いものでした。
それからは周りも目を見張るほど勉強に集中しました。しかし、それまでに勉強というものをしてこなかった私は、中々成績が上がらずに苦しい浪人時代を過ごすことになります。
人間のやる気というものはとても分かりやすいモノです。成績が上がればもっと勉強したいと思えますが、上がらなければ勉強し続ける事は難しいです。けれど、そんな苦しみの中でも、勉強の手を止めるわけには行きません。そして、私は次第に考えるようになりました。
なぜ、こんなに勉強しなくてはいけないのだろうか?自分は何がしたいのか?何の為に勉強しているのか?人間の行動心理学を学んだ今の私なら、この時の自分の気持ちがよく理解できます。これは勉強に対する「動機付け(モチベーション管理)」をしたかったのだと分析できます。必死に自分で自分を鼓舞していたわけですね。またモチベーションが管理できないだけでなく、この時の私には圧倒的に勉強に対しての「成功体験」が不足していたといえます。
自分を作っている経験
少し話が飛びますが、皆さんはどのようにして「自分」というものが出来上がっているか、考えた事はありますか?人間というものはすべからく「体験」から出来上がっています。今のあなたを作っているのは過去の「体験」なのです。例えば小さい頃に、自分が面白い事を言うと両親が笑ってくれたとしましょう。するとあなたは、なるほどこうすれば人は笑ってくれるんだな。と学びます。
サッカーの練習でシュート練習を50本から100本に増やしたら得点する事ができた!なるほどこうすればサッカーが上手くなるのか……などなど。こういった「成功体験」がポジティブなあなたを作り、告白してフラれた、人に嫌われた、転んで笑われて恥ずかしい思いをした。こういった「失敗体験」がネガティブなあなたを作ります。
勉強だけでなく、仕事や営業成績なども同じ事です。つまり、売れる営業と呼ばれる人達は売れた成功体験を持っているのです。これをサッカーの練習に言い換えると、試合で得点したい!じゃー、あの時のようにシュート練習をしよう。という風に得点するための心得を持っていることになります。しかし成功体験がなければ何をしてよいかわからないので、試合で得点することに本当に結びつく練習が出来ないわけです。
夢を見つけるまでの工程
さて、話を本筋に戻しましょう。
前述の通り、勉強に対しての動機付けをする過程で、私は自分について考え、夢を見つけることになりました。色々な葛藤はありましたが、考え始めると結論は比較的あっさりと出ました。私は「なんでもいいから会社を起こしたい!その為に勉強しよう!」と強く思ったのです。
その時の思考プロセスはこんな感じです。
勉強しなくちゃだめだよ!
↓
もう疲れた、なんの為に勉強するの?
↓
将来の為だよ
↓
将来なにするの?
↓
うーん、、なんだろうね。
↓
別にやりたい事なければ高卒でもよくない?
↓
そうだな。。でもさ、将来の夢とか見つけて、その時に学歴が無くて諦めなきゃいけなくなったら悔しくない?一応、大学は行こうよ。
↓
でも、将来の夢とかないでしょ?
↓
ないけどさー、、何かしたいことあるかな。。。別にないな。あえていうなら友達といるのはやっぱり楽しいよね。
↓
海に行く計画立てて、一泊した時もすごい楽しかったし、冗談言ってるのも好きだし、ふざけて写真撮るのも好きだし、腹がよじれるぐらい笑うのも好きだし。
↓
なるほど、自分は人生、ずーっと笑っていたいのか。だから、毎日笑ってられる職業がいいな。ただ、両親はうるさかったから。もっともっと自由に、毎日爆笑していたい。
↓
そうなると、、職業は何になるんだ?事務?うーん、、座ってるのはつまらん。営業?うーん、ノルマが大変って聞く、雑誌とか作るのは?それは、おもしろそうだけど、俺に出来るのかな?じゃーテレビ業界!うーん、、テレビ業界もお もしろそうだけど、多分入れないでしょ。
↓
じゃー何にする?
↓
あっ!これどうよ!?社長!!響きもカッコいいし、自分のしたい事できるし、自分の好きな人を選んで採用したら楽しいんじゃない??
↓
文化祭でリーダーやって、みんなをまとめてさ、一生懸命やって成功した時、すごい楽しかったじゃない?あんな感じで仕事すればいいんでしょ?
↓
いいねーー!!決まった!将来の夢は「社長!」でも、いきなり社長はなれないな、だから自分で会社を起こしたらいいわけだ
という事で「起業したい」と思ったわけですね。今思えば、浅はかな思考ではありますが、私の夢はこんな風に決まりました。
初めに思い描いた起業の形
起業という大層な夢は見つけましたが、皆さん、思い出してください。私は「あの!」単語・熟語「だけ!」勉強して受験に望んだ程の短絡思考の持ち主ですよ?もちろん、どのようなビジネスをしたいのか?というのはまだこの時点では出来上がっていません。
有名な企業家の方達はおそらくこの時点で「こんな会社を起こしたい!」という青写真が浮かんでいる事でしょうが、浅はかですねーー。まぁ、そんなありさまなので、私が一番初めに思ったのは「友達みんな集めて一つの会社を経営したら絶対に楽しいだろう!」という事でした。つまり「起業」の目的が「友達といる事」だったのです。
もちろん現実は厳しく、現在でも一番最初に思い描いた通りにはなっていません。起業を考える人は皆、同じ出発点を必ず通ると私は思います。それが「夢見る事」です。金持ちになって、幸せな暮らしをして、格好良く部下に指示を出す自分がいて、部下に慕われる自分がいて、、、。そんな風に考えますが、現実は「怖くて」「不安で」「金にならなくて」「重圧に圧し掛かられる」ことの方が多くあります。自分の思い通りに行くほうが少ないです。
今の私がその夢を聞けば、その友達一人一人にはどんなスキルがあるの?と質問してしまう事でしょう。その友達を会社に招き入れるという事は少なくとも、自分の給料の何倍もの収益を稼げる人でないと価値がないよ?と厳しくいってしまうかもしれません。
また皆さんの中にも、そのようにお考えになる方がいると思いますが、ここは19歳の男の子が思い描く夢物語ですので暖かい目で読んでいただければと思います。
まとめ 受験勉強をしている時に見つけた人生の夢
幼い頃には、人生の立派な夢も目標も持てず、怠惰な学生時代を過ごした私ですが、受験戦争が始まり、友人の大学合格を契機に本気で勉強に取り組みました。しかしその茨の道は長く、険しく、モチベーションの管理をする為には自分が目指す場所の正体を見極める必要がありました。
短絡思考の私は「楽しく、笑いながら」人生を歩むには自分の好きなように、そして好きな人達と仕事をしたらいいのでは?と思い立ち「起業する」ことを人生の目標としました。紆余曲折しながらその夢は現実のものとなります。夢を決めた当時の私は喜ぶかもしれません、その道は、他のどんな道よりも、受験勉強よりも長く、険しい事を知らずに。