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2019年04月05日(金)

持株会とは?持株会の詳細とメリットについて分かりやすく解説

経営ハッカー編集部
持株会とは?持株会の詳細とメリットについて分かりやすく解説

上場する際は、企業には様々な準備が必要です。中には持株会を設置する企業もありますが、みなさんは持株会という存在をご存知でしょうか?

今回は、持株会の詳細と設置するメリットについて解説していきます。

持株会とは

持株会とは、持ち株制度によって株式を取得する会のことです。持ち株制度とは従業員の給料から天引きして、共同で勤務会社の株を購入した後に天引きした額に応じて再分配するというものです。

中には、福利厚生の一環として導入している企業もあります。上場会社の場合には、市場の価格に連動して自分の資産の増加が期待できるほか、未上場の会社の場合にも上場の際に大幅な利益が期待できます。

しかし、これだけでは、持株会に参加した方がいいのかどうなのか判断しづらいでしょう。そこで、持株会の具体的なメリットと注意点について見ていきましょう。

従業員が持株会に加入するメリットとは

持株会に加入することによる従業員の主なメリットとして、以下の6つが挙げられます。

・奨励金を貰うことができる
・配当金を貰うことができる
・キャピタルゲインが得られる
・天引きなので簡単に購入できる
・少ない資金でも購入できる
・財形貯蓄よりも扱いやすい

■奨励金を貰うことができる


持株会に加入して自社株を購入すると、会社から奨励金が出るのが一般的です。5~30%の範囲で奨励金が貰えるケースが多く、毎月一定額を銀行に預金することを心がけているのであれば、持株会で株を購入した時の利回りの方が高いと言えるでしょう。

■配当金を貰うことができる


持株会でも通常発行されている株式と同様、配当金を貰うことができます。持株会で得られる配当金は、そのまま再投資されることによって、保有している株式をどんどん増やすことにつなげられるため、複利効果でさらに利益を増やすことができるでしょう。

■キャピタルゲインが得られる


上場している株式の場合には価格変動が生じるため、価格差による利益を得ることができます。未上場企業の場合には増資などで多少の利益が生じますが、上場した時に大きな利益が得られる可能性があるため、すぐに手放さず長期的な目線で保有した方が得策と言えるでしょう。

■天引きなので簡単に購入できる


「お金があると使ってしまってなかなか貯蓄できない」という方でも、持株会は給与からの天引きであるため、簡単に貯蓄できます。持株会で購入する株式の量は変えることができるため、無理のない範囲で貯蓄しましょう。

■少ない資金でも購入できる


通常株式を購入する際は、取引の最小単位である「単元」という単位で取引を行いますが、持株会では一定の金額ずつ購入できるので、少ない金額でも十分投資を行うことができます。

■財形貯蓄よりも扱いやすい


同じように会社が給料から天引きで行うものに財形貯蓄があります。しかし、財形貯蓄では、金額の変更が年1~2回に限られていることが多い、積立期間が3年以上と長い、積み立てを開始してから1年以内は引き出せないといった点に注意する必要があります。

以上を踏まえると、資産運用を行うことを前提として考えるのであれば、持株会に加入するメリットは大きいと言えるでしょう。

従業員が持株会に加入するデメリットとは

持株会に加入することで、従業員は少ない資金を効率良く資産運用できるといったメリットがありましたが、何かデメリットはあるのでしょうか?持株会に加入することによる従業員の主なデメリットとして、以下の3つが挙げられます。

・その会社での収入の全てが会社に依存する
・株主優待は貰うことができない
・売却は単元単位になってしまう

■その会社での収入の全てが会社に依存する


持株会で自社株を購入して利益を得ることと、毎月の給料を得ることは、両方とも会社の影響力を強く受けていることが分かります。会社の経営が不安定になれば、給料が減少するだけでなく、最悪の場合には上場廃止になって、価値が0円になってしまう可能性もあるので注意してください。

■株主優待は貰うことができない


通常株式を購入する際は、発行している会社の商品や商品券などの株主優待を貰うことができますが、持株会の場合には貰うことができません。株主優待が目当てだったという人は、持株会で取得した株式では株主優待を貰うことができない点に注意しましょう。

■売却は単元単位になってしまう


また、持株会で購入する時は単元に関係なく購入できましたが、売却する時は単元単位での売却が原則です。解約時に持株会に買い取ってもらうという選択もありますが、一度解約すると再加入できないケースもあるのでよく確認してから解約しましょう。

会社にとってのメリットとデメリットとは

ここまでで従業員にとっての持株会に対するメリット/デメリットについて見てきました。それでは、一方で会社にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか?会社は株式を上場することによって運用資金を得ますが、積極的に売買が行われていると価格変動が大きくなるため安定した資金を確保できません。

持株会を設置することで、従業員が株を購入して長期間保有してくれると流動性が低くなるため、安定した資金を確保できるようになります。また、会社の業績と株価が連動するため、社員のモチベーションを上げることができるのも大きなメリットと言えるでしょう。

一方で、持株会を設置するということは、奨励金を負担することになるため、会社の業績を圧迫する要因にもなります。未上場企業の場合などには、安定した経営基盤を築けるようになるまでは、設置を控えた方が良いと言えるでしょう。

まとめ

持株会とは、持ち株制度によって株式を取得する会のことです。持ち株制度とは、従業員の給料から天引きして、共同で勤務会社の株を購入した後に天引きした額に応じて再分配するというものです。

会社の従業員にとっては安定した資産運用を行うことができるほか、会社にとっても安定した運用資金の確保につなげることができるというメリットがあります。

しかし、双方にとってデメリットとなる部分もあるため、メリットとデメリットをよく考えた上で持株会を設置するか、そして参加するかを決めるようにしましょう。

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