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【公式雛形あり】上場企業の決算期変更メリットから手順までを網羅的に紹介

経営ハッカー編集部
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上場企業の中には、自社の事業成長に合わせ、決算期を変更するケースがあります。本記事では、決算期の決め方から決算期変更の仕方まで一挙に解説します。後半では、日本取引所グループが記載する公式手順や雛形を交えながら説明しておりますので、検討中のご担当者は特に必見です。

目次

    決算とは?

    企業は自社の成長を、年に一度「決算」として社外へ報告します。この時に使われるのが決算書です。1年間記録してきた帳簿を貸借対照表、損益計算書などにまとめます。なお、正式名称は決算報告書ですが、一般的に決算書と呼ばれる方が多いです。自社の成長を社外へアピールすることで、投資家や他社への事業成長を印象付ける目的があります。
     

    決算期の決め方

    決算を行う決算期は、企業側で決められます。日本の場合、3月、12月を決算期にする企業が多いです。3月を決算期とする企業が多いのは、公的機関の会計年度や税制改正の時期を意識した結果と言われます。

    また、グローバルで活躍する、もしくは視野に入れている企業の場合、決算期を国際財務報告基準(IFRS)に合わせた12月に設定することがあります。最近は日本企業のグローバル化が進み、決算期を12月へ変更、統一化する動きが出てきました。

     

    決算期の変更とは?

    企業によっては、事業転換や方針の変更から決算期を変更するケースがあります。なお上場企業が決算を変更する場合、「株主総会の開催」「定款の変更」「異動届の提出」「変更内容の開示」の4つの手続きが必要です。
     

    株主総会の開催

    決算期を変更する場合、株主総会の特別決議で承認を得る必要があります。併せて附則に、変更後の事業年度がいつまでかを明確に記載すること(事業年度変更にかかる経過措置の記載)をおすすめします。それは、「今期の事業はいつまでだっけ?」というトラブルが防げるからです。しかし、附則の削除も特別決議が必要となるため、事業年度が切り替わったタイミングで自動的に記載が削除されるような表記にしておくと、運用上便利です。
     

    定款の変更

    株主総会の承認に伴い、定款の記載内容も変更します。決算日を変更する場合のみ、定款変更後の最初の事業年度を最大1年6か月まで設定することが可能です。
     

    税務署へ「異動事項に関する届出(異動届出書)」を提出

    決算期の移動が決定したら、税務署に異動届出書という書類を提出します。今回のような事業年度等の変更をはじめ、納税地の変更や代表者の変更などでも使用する書類です。以下から異動届出書の雛形がダウンロードできますので、必要に応じご利用ください。

    【参考】

     

    変更内容の開示

    取締役会といった、上場会社の業務執行を決定する機関が決算期の変更実施を決定した場合、直ちにその内容を開示することが義務付けられています。併せて、東京証券取引所にも指定書類を送付する必要があります。詳しい手順は「決算変更の開示に向けた3ステップ」で解説します。

     

    決算期変更のメリット

    では、決算期変更にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、2つの観点からご説明します。
     

    海外子会社との円滑な決算の実施

    決算期変更は海外子会社との円滑な決算を進める上で有用です。通常、連結決算を実施する場合、親会社と子会社の決算期を統一しなくてはなりません。国内のみで事業を進めている場合は特に問題ありませんが、欧米やアジアに現地法人を持つ企業だと、この点がネックとなります。

    もし日本基準で決算を行う場合、決算特例を利用して決算期のズレを調整することは可能です。しかし、国際財務報告基準(IFRS)では、実務上不可能な場合に限ってのみ適用を認めています。こうした背景から、海外子会社を多く持つ企業の中には、円滑な決算を実施するためにも日本側の決算期を変更した方がメリットが大きいと判断し、変更したケースは少なくありません。


    事業成長に合わせ、資金繰りを考慮した調整が可能

    事業成長に合わせ、資金繰りを考慮した調整を行いたい場合にも有効です。一般的に法人税の申告と納付は決算日の2か月後までに行う必要があります。タイミングによっては多額のキャッシュが一度に支払われることとなるため、他事業の兼ね合いや賞与等の支払いタイミングなどを考慮し、決算を変更することで、資金繰りを調整することが可能です。事業の成長に合わせ、自社にとって一番効率の良いタイミングで法人税が納付できるようにしましょう。

     

    決算期変更の注意点

    メリットがある一方で、変更にあたって注意してほしい点もあります。
     

    前年度との成長比較が難しくなる

    決算期を切り替えることによって、前年の事業と単純な比較が困難となります。決算期間が異なるため、もし前年度と比較したい場合には、単純な金額ではなく、事業成長率などの%で比べる必要があります。
     

    変更手続きに時間と手間がかかる

    決算期の変更は、取締役会での話し合いや株主総会、定款の変更など所定の手続きを踏んで実施する必要があります。そのため、変更手続きには一定の時間と手間がかかります。上場企業においては、決算期は数年に一度のペースで変更するものではなく、事業変化に合わせ慎重に調整していくことが求められます。

     

    決算変更の開示に向けた3ステップ

    では、上場企業が決算変更を決定した場合、開示に向けてどのような手順が必要になるのでしょうか。日本取引所グループが公開している情報を参考に、決算期変更で行う実務者の業務を3つのステップをご紹介します。

    【参考】
    日本取引所グループ 決算期変更(事業年度の末日の変更)
     

    ステップ1:開示基準のチェック

    決算期変更は投資家の判断に対し、大きな影響を及ぼすため、軽微基準は設定されておらず、重要事項から除外できません。決定後、直ぐに開示の準備に入りましょう。

    ステップ2:開示に向けた注意事項を確認

    日本取引所グループが公開している開示に向けた注意点を引用しながら、後半で内容を解説します(※1)。

    (開示にむけた注意事項)

    1. 開示を行う際には、本項目の内容と併せて「適時開示に関する実務要領」も確認してください。
    2. 「決算期変更」(事業年度の末日の変更)について決定した場合には、「定款の変更」としての開示も必要となります。
    3. 決算期変更後の最初の事業年度(連結会計年度)が通常と異なる期間(変則決算)となる場合において、上場会社が当該変則決算となった連結会計年度に係る業績予想を公表している場合には、原則として、公表された予想値に対して「業績予想の修正等」の開示を行ってください。なお、上場会社が変則決算となった連結会計年度に係る業績予想を公表していないときは、前連結会計年度における実績値(変則決算となった連結会計年度に対応する期間の実績値を公表している場合には、当該期間の実績値)を基準として、「業績予想の修正等」の開示を行うことが考えられます。
    4. 決算期変更後の事業年度が、法令上四半期報告書の作成が義務付けられる場合(*)については、四半期決算短信の作成が必要です。なお法令上四半期報告書の作成義務は生じない場合(例えば、4か月決算)についても、可能な限り四半期決算短信を開示するようにしてください。

    (*)『企業内容等の開示に関する留意事項について』(企業内容等開示ガイドライン)(抜粋)

    【引用元】
    日本取引所グループ 決算期変更(事業年度の末日の変更) 開示にむけた注意事項を確認する

    1で求められているのは、「適時開示に関する実務要領」を参考に開示スケジュールや必要な資料、手続きを把握することです。進め方を理解することで、開示業務が円滑に進められます。2では、定款の変更が必要となるため、並行して準備を進めるようにと促しています。

    3では、最初の事業年度が通常と異なる期間となる場合、もし予め業績予想が公表されているなら、業績予想の修正と開示を行うよう求めています。4.では決算期を変更した場合でも、法令上、作成義務が生じる場合には四半期決算短信を作成してくださいと説明しています。

    併せて、東京証券取引所まで「取締役会決議通知書」「変更後の定款(変更があれば)」を提出する必要があります。詳しい提出内容は内国株式関係の提出書類一覧 P16 10.定款変更関係(1)事業年度の末日(決算期)の変更をご確認ください。

    【参考】
    日本取引所グループ 内国株式関係の提出書類一覧
     

    ステップ3:開示資料を作成する

    日本取引所グループが公開している決算期変更に関する記載要領をもとに、開示資料を作成します。

    記載要領として作成する必要があるのは以下4点です(※2)。

    a.変更の理由
    b.変更の内容
    c.株主総会において定款変更が承認されることが条件である旨
    d.その他投資者が会社情報を適切に理解・判断するために必要な事項

    同グループから公開されている記載例の雛形に情報を入れたら、開示資料は完成です。資料は以下引用元よりダウンロードできますので、ぜひ一度本ページをご確認ください。

    【引用元】
    日本取引所グループ 決算期変更(事業年度の末日の変更) 開示資料を作成する (記載要領)決算期変更(事業年度の末日の変更)

     

    まとめ

    日本取引所グループの情報を用いながら、上場企業の決算期変更の流れをご説明しました。決算期は各社が、事業戦略に合わせ、適宜変更しています。ぜひ事業が効率的に進められるよう、貴社も必要に応じ決算期の変更を検討してはいかがでしょうか。

     

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