経営ハッカー | 「経営 × テクノロジー」の最先端を切り拓くメディア
2022年02月04日(金)

コスト削減にもつながる決算早期化 ツールを選ぶ3つのポイントは?

経営ハッカー編集部
コスト削減にもつながる決算早期化 ツールを選ぶ3つのポイントは?

決算早期化は業務を効率化するだけでなく「コスト削減の手段」にもなることをご存知でしょうか。今回は決算早期化を実施するメリットを振り返りながら、ツールを選ぶためのポイントをご説明します。決算早期化をツールでシステム化する意義を理解し、上場企業で運用する中で効率的な業務方法を見極めていきましょう。

決算早期化とは?

決算早期化というのは、一言で言うと「決算処理を早期に実施すること」です。特に、月次決算は的確な経営判断を行うためにも非常に重要です。自社の状況をより短いスパンで迅速に把握するためにも、四半期決算や年次決算と比べ、より短期間での処理が求められます。

一方で、企業によっては社内フローが属人化しているために工数が膨大化していたり、早期化への意識や意義が組織内に浸透してなかったりするケースが少なくありません。
 

月次決算の目的

決算早期化をシステム化する重要性を理解するためにも、「月次決算が果たす目的」を知る必要があります。月次決算は、年次決算とは異なり、必ず行わないといけないものではありません。しかし、各社がそれでも月次決算を実施するのは次の目的があるからです。

 

  • 現状把握と今後の経営判断
  • 年次決算の準備負担の軽減
  • 金融機関への資料提出がスムーズになる

月次決算を通し、自社の経営目標に対する予測とその乖離を速やかに把握でき、会社の経営状態を健全に保つことができます。四半期決算や年次決算といった、ロングスパンの決算を作成する負担が軽減されるのも月次決算を実施する利点です。節税対策の検討にも活用できます。

また、金融機関に融資などを申し込む場合、直近の経営状態を開示するよう求められる場合があります。月次決算をしっかり行っていれば、外部から求められた段階で書類を提出でき、会社としても焦らずにすみます。
 

決算早期化を実施する4大メリット

ここからは、月次決算を早期化する4つのメリットについて「コスト削減ツール」としての意味合いも交えながら考えていきます。
 

現状把握と対策の検討が速やかにできる

やはり一番は、経営状況の把握から改善策検討、実施までを経営陣が迅速に決定できることです。いくら月次決算を実施していても、検討したいタイミングで情報がなければ意味はありません。情報は早ければ早いほど、価値を持ちます。鮮度の良い情報を届けるためにも、決算早期化は重要です。

また月次決算が安定して実施されれば、キャッシュフローと損益の実態や各部門間の業績理解など、年間計画とズレが生じていないか含め、常に把握できます。

昨今は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、部署に関係なく業務のオンライン化が求められています。経営判断が滞らないよう、決算業務を円滑に進めるためにも、ツールを用いた時間の節約は一考の余地があります。
 

現状の決算業務を見直すきっかけになる

決算早期化は、決算業務を見直すきっかけにもなります。 迅速に進めるためには、ボトルネックとなる要素を把握し、業務の無駄を排除する必要があるからです。 これは結果として社員の負担軽減にもつながります。また、業務のフロー化は、人的ミスの早期発見にもつながります。

特に手作業などマンパワーに頼るアナログな手法で業務を行っている場合、ツールを取り入れることによって、担当者の労力とコストが大幅に削減できる可能性があります。業務の選択と集中を進めるためにも有用です。


<h3>外部機関からの信用・評価につながる</h3>
金融機関など、外部に融資を申し込んだ時、速やかに月次決算を提出できれば、財務管理体制が健全であることをアピールができます。 行動から伝わる安心感は、与信判断で良い印象を与えることにもつながります。投資家向けに信頼性のある情報を発信する方法としても有用です。

特に昨今は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、決算業務が滞る企業も少なくありません。ツールの導入によって、遅滞なくシームレスに業務が進められることは、それだけで外部から好印象を持たれる可能性があります。
 

無駄な業務を失くし、必要以上のコストを削減

月次決算を早期化するためには、現状の無駄な業務を減らす必要があります。それは、業務だけでなく、実務者の作業軽減にもつながります。業務速度がアップすれば、残業代の削減や必要以上の人件費など、コスト削減も可能です。しかし、ただ業務をツールに置き換えただけでは、得られる効果は限られます。どの業務をどれだけ置き換えると良いかを必ず検討しましょう。
 

決算早期化はツールで効率的に

迅速さが求められる一方、業務量が常に増加傾向にあるのが決算です。上場企業では、他業務と並行業務になるため、システム化は決算早期化に向けた大事な検討事項とも言えます。

他部門の業務効率化においても有用です。特に取引先と接点を持つフロント部門の中には、アナログ手法による会計処理や紙ベースによる申請フローを実施しているケースが少なくありません。ツールを導入するだけでも、業務は効率的になります。
 

決算を早期化できるツールを選ぶ3つのポイント

では、どのようなポイントを意識した上でツールを検討したらいいのでしょうか。ここでは、大きく3つの内容をご説明します。
 

フロント部門のワークフロー効率化が行える

まず確認したいのが、「フロント部門のワークフロー効率化が可能かどうか」です。スタート地点の土台を固めることで、決算早期化はより効果的に実施できます。そのために重要なのが、経理業務に不慣れなフロント部門の社員にも使いやすいツールであることです。請求書発行や支払依頼、経費精算のワークフローを効率化し、素早く各取引の証明を経理部門に集約できる体制づくりを進めるためにも、使いやすさは外せません。

昨今はテレワークが浸透してきたこともあり、利便性を考慮したツールがより一層求められるようになりました。社外申請はもちろん、スマートフォンやPCなどツールに関係なく申請・承認ができること、年齢を選ばずに使えるUI/UXなども加味して判断しましょう。
 

利用するツールの数を減らせる

導入にあたり、利用するツール数を減らせるかどうかも重要です。ワークフローの効率化を進めるにあたり、新ツールの導入によって業務工数が増加しては、元もこうもありません。

特にツールを複数利用している場合、同じ情報を何度も入力するケースが多々存在します。これは、人的ミスが発生する確率を増やします。結果として内容の確認などに担当者が追われ、決算処理の遅れにつながるケースも多々報告されます。そのため、できる限りツールを一元化管理できないか、もしくは相互互換性がないかも含め、確認する必要があります。
 

ツール間のデータを連携させる

昨今、営業業務の効率化のためにCRM(顧客管理)やSFA(営業支援システム)を利用している企業が増えています。一方、営業データと管理部門のツールに互換性がないために、情報が分断されるケースが少なくありません。つまり、ツール間の連携がないために決算早期化の障害になっているのです。

検討時には、既存ツールとのデータ連携を自動で行えるかを始め、現在対応していない場合でも将来的に互換性を持つ可能性があるかどうかを、販売企業へ確認しましょう。

 

この記事の関連キーワード

関連する事例記事

  • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
    上場準備2022年03月15日経営ハッカー編集部

    【公式雛形あり】上場企業の決算期変更メリットから手順までを網羅的に紹介

  • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
    上場準備2022年03月11日経営ハッカー編集部

    上場企業なら知っておきたい! 決算書の開示義務とその対象

  • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
    上場準備2022年02月25日経営ハッカー編集部

    連結決算が義務となる上場企業とその条件

  • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
    上場準備2022年02月24日経営ハッカー編集部

    決算業務の効率化に向けて上場企業の担当者が考えたい4大ポイント

  • 資本金・資本準備金・資本余剰金の違いとそれぞれの役割を徹底解説
    上場準備2022年02月18日経営ハッカー編集部

    【チェックリスト付】決算早期化を効率的に実施するための10項目

関連記事一覧