2019年04月08日(月)1ブックマーク

上場企業の適時開示と法定開示とは? 両者について分かりやすく解説

経営ハッカー編集部
シェア0
ツイート
ブックマーク0
後で読む

上場企業は、投資家が正しい情報に基づいて取引を行えるように、広くタイムリーに情報を発信しなければなりません。

上場企業に求められている開示には適時開示と法定開示がありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。

目次

    適時開示とは

    適時開示とは、証券取引所に上場している企業が、投資家の投資判断に重大な影響を及ぼすような事項を決定した場合や重大な影響を与えるという事実が発生した場合に、東京証券取引所の上場規定に基づいて、これらの情報を速やかに開示する義務のことです。

    これらの情報は、東京証券取引所が管理しているTDnetという電子開示システムを通じて提出されるほか、インターネットを通じて報道機関や投資家に伝えられます。

    法定開示とは

    証券取引所に上場している企業は、財務内容や事業・営業の概要を記載した有価証券報告書、四半期報告書等を内閣総理大臣に電子媒体によって提出することが義務付けられています。これが法定開示です。

    これらの情報は閉鎖的に管理されるのではなく、提出された有価証券報告書等は、金融庁が管理しているEDINETという電子開示システムを通じて提出されるほか、インターネットを通じて広く公衆が閲覧できる状態になっています。

    流通市場における開示制度とは

    投資家が合理的な判断に基づいて証券投資を行うためには、有価証券の価値を判断する際に必要な情報が正確なだけでなく、公平かつ適時に開示されている必要があります。そこで、投資家が安心して取引できる環境を整える、投資家を保護する制度が必要であるという判断から現在の開示制度が誕生しました。

    開示制度は金融商品取引法に基づく法定開示と金融商品取引所における適時開示が併存しています。法定開示は定期的にまとめて報告されるものなので、タイムリーな情報が得られなく、投資家を保護するディスクロージャーの観点からすると、情報が不足しています。そこで、投資家が安心して合理的な判断を行うためにも、タイムリーに情報発信を行う適時開示が求められるようになりました。

    適時開示で求められる会社情報とは

    適時開示で求められるのは、投資家の投資判断に重大な影響を与えると考えられる会社の業務や運営または業績等に関する事項です。

    大きく分類すると以下のような項目に分かれます。

    ~上場会社の情報~
    ・上場会社の決定事実(40項目)
    ・上場会社の発生事実(27項目)
    ・上場会社の決算情報(2項目)
    ・上場会社の業績予想、配当予想の修正等(2項目)
    ・その他の情報(7項目)

    ~子会社等の情報~
    ・子会社等の決定事実(15項目)
    ・子会社等の発生事実(12項目)
    ・子会社等の業績の修正等(子会社等の業績予想の修正、予想値と決算値との差異等)

    上場会社の決定事実の代表的なものには、株式の分割や併合、新株予約権の発行、業務上の提携や提携の解消、上場廃止申請、破産手続き開始などがあります。

    また、上場会社の発生事実の代表的なものは、訴訟の提起や判決等、取引先との取引停止、資源の発見、保有有価証券の含み損などです。

    適時開示が求められる会社情報の数は多いため、上場を検討している場合にはあらかじめどのような情報を開示する必要があるか確認しておきましょう。

    開示の適正性の確保

    適時開示は、何でも企業に関する情報を公表すればいいというものではありません。重要な会社情報の開示については以下の観点から行うことが求められています。

    ・開示の時期が適切か
    ・開示された情報の内容に虚偽はないか
    ・開示された情報に投資判断上重要と認められる情報が欠けていないか
    ・開示された情報が投資判断上誤解を生じさせるようなものではないか
    ・その他開示の適正性に欠けていないか

    東京証券取引所が必要と認めて、上場会社に照会を行った場合には、上場会社は直ちに照会事項について正確に報告することが義務付けられています。

    東京証券取引所のほか、東京証券取引所から自主規制業務の受託を受けた日本取引所自主規制法人も同様に照会を行います。上場会社は、この場合にも直ちに照会事項について正確に報告することが義務付けられています。

    これらのルールに基づいて適切に適時開示を行っていない場合や照会事項に対する報告がきちんと行われていない場合には、上場廃止等のペナルティを課される可能性もあるため、しっかりとルールを遵守して、適切な対応を行うようにしましょう。

    まとめ

    企業が資金を集めるための選択肢の1つとして株式上場が挙げられます。株式上場を行うと、投資家にとって常に合理的な判断ができる状況を整えるために、法定開示や適時開示の義務を負うことになります。

    特に適時開示は、投資家の投資判断に重大な影響を与えると考えられる会社の業務や運営または業績等に関するタイムリーなものです。決められたルールに基づいて適切に情報が開示されない場合や照会事項に対する報告がきちんとなされない場合には、上場廃止等のペナルティを課される可能性があります。

    上場廃止になると、資金調達手段が限られる、取引先等に対する説明に追われる、持株会に参加している社員の士気が下がるなど、大きな問題に発展するリスクがあるので、十分気を付けながら適時開示を行うようにしましょう。

    シェア0
    ツイート
    ブックマーク0
    後で読む

    この記事の関連キーワード

    ボタンをクリックすると、キーワードをフォローできます。

    関連する事例記事

    • 上場準備10月03日経営ハッカー編集部

      ショートレビューとは?上場準備のショートレビューのタイミングと内容、費用、チェックリストについて詳しく解説

      3ブックマーク
    • 上場準備09月19日経営ハッカー編集部

      東証マザーズ市場上場企業の動向を見る~業種から見た特徴は?

      1ブックマーク
    • 上場準備06月24日industry-co-creation

      スタートアップ経営者こそ「オーナーシップ」ではなく「業績」により信任を勝ち取るべし | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

      0ブックマーク
    • 上場準備06月11日経営ハッカー編集部

      主幹事証券とは?主幹事証券の選び方と引受審査対応について詳しく解説

      1ブックマーク
    • 上場準備06月11日経営ハッカー編集部

      コーポレートガバナンスとは?IPO後に企業が負うべき公器としての責任

      1ブックマーク
    関連記事一覧