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中小企業がERPを導入することで得られるメリット・デメリット

経営ハッカー編集部
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企業の会計業務を支援するシステムは多数ありますが、その中でも会計分野を一元管理するために効果的なのが「ERP」というシステムです。
ERPとは何か、導入にあたり留意するべきポイントや、中小企業がERPを導入した場合のメリット・デメリットについて解説します。

目次

    ERPとは

     ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で、直訳すれば「企業の資源計画を立てる」ということです。企業全体のヒト・モノ・カネといった経営資源を統合的および多角的視点から管理することで、経営の効率化を図るための手法や概念のことを意味します。

     財務会計をはじめ、人事・生産管理・営業業務などの総合業務をパッケージ化したシステムのことをERPパッケージ(基幹業務システム)と呼びます。様々な業種や形態の企業が共通してベストプラクティス(理想的かつ効率的なビジネスプロセス)を実現できるよう設計されており、導入する企業は自社の状況に応じて必要なカスタマイズをして使用します。ちなみにこのERPという呼称は、生産コストの削減を目的とした概念である資材所要量計画 (MRP:Material Requirements Planning) から派生したとされています。

    中小企業がERPを導入するメリット

     従来では、ERPは大企業が導入するものと見なされてきました。しかし近年はビジネス環境の変化により、中小企業でも導入する会社が増えてきました。

    ここで、中小企業がERPを導入する主なメリットを3つご紹介します。

    1.会計管理情報・業務フローの一元管理が可能

     ERPを導入すれば、業務や部門ごとに別々に管理されていた会計データを統合し、一元管理が可能になります。モノやカネの動きに対して、社内の関連する情報すべてがリアルタイムに連動し更新されることで、部門間の連携および業務管理の効率化が促進されます。

     例えば、商品を販売し出荷する場合は販売実績の更新・在庫数の調整・会計情報の更新など複数の業務分野での情報処理を必要としますが、このような作業をひとつひとつ手動で行うのでは手間がかかり、人為的ミスも生じやすくなります。ERPの導入により、このような部門をまたがる情報もリアルタイムに処理することが可能になるのです。

    2.成功企業の経営ノウハウを実践可能

     多くのERPシステムは、複数の成功企業の業務事例を参照して作成されており、業種ごとに標準的で基準となるビジネスプロセスの知識・ノウハウを一通り備えています。そのため、導入することで、成功企業と同様の標準的経営ノウハウや業務管理手法を取り入れることができます。

    3.状況の可視化により、素早い経営判断が可能

     ERPの統合データベースにより、自社の売上や原価などの数値を様々な分野で多次元に分析することが容易になります。いわば経営状態の可視化です。リアルタイムに自社の最新情報を確認し必要な経営判断を素早く下すことは、目まぐるしく変化する現代のビジネス環境においては必須と言えます。特に、大企業以上に環境変化の影響を受けやすく機動力を求められる中小企業にとっては、ERPが非常に重要な役割を担うこととなります。

    中小企業がERPを導入するデメリット

     では、ERP導入が中小企業にとってデメリットとなり得る場合はあるのでしょうか? 主なものを3つ取り上げます。

    1.自社の業務内容・経営方針に適合しない場合がある

     ERPパッケージが備えているのはあくまで標準的機能であり、多くの企業で共通する業務分野のプロセスです。そのため、自社特有の業務プロセスについては個別に標準化、カスタマイズする必要がありますが、それでも限界がある時もあります。
    導入の前に、ERP導入で自社の業務がどのくらいの範囲まで標準化できるのか、カスタマイズが必要になるとしたらどの程度なのかを検討する必要があります。

    2.導入・保守費用が比較的高価である

     ERPは扱う業務範囲が広いため、システムとしては比較的高価で、ライセンス、サーバー、導入トレーニング、サポート費用なども見積もると、初期費用は安くても数百万円程度かかることが見込まれます。
    また、導入後もライセンス使用料・保守サポート費用や定期的なアップグレードなど、ランニングにもそれなりにコストがかかってきます。

    3.従業員の意識改革と、徹底したデータ管理が必要になる

     統合データベースで企業情報が一元管理できることはERPシステムを導入する大きなメリットです。しかし同時に、自社内でひとまとめになる業務範囲が広がり、それに関わる従業員の手間も増えるということにもなります。この場合、関わる従業員すべてがデータの入力をきちんと行っていないと、ERPシステムが本来の機能を発揮しなくなります。例えば、データ修正の必要が生じた場合は大元のデータにたどり着いて修正しなければならないため、非常に煩雑な作業が必要になります。そのため、間違いのないデータ管理を全従業員に徹底することが重要になります。これは、従業員数が多ければ多いほど難しくなるでしょう。

    ERP導入にあたって留意しておくべきこと

     ERPを導入しても、運用に失敗してしまう例もあります。ここでは、ERP導入で失敗しないために留意するべき主なポイントを2つご紹介します。

    1.導入の目的を明確にし、社内に周知徹底する

     導入に失敗する原因として多いのが、その導入の目的が不明瞭であり、ERP活用に向けて従業員の意識を揃えることができなかったケースです。
    「自社でERPを導入したいのはなぜか」、「どの問題をどのように改善したいのか」など、具体的な目的を意識することがまず必要です。
    そして、導入後に実際にシステムに関わる従業員にもERP導入の意義を明確に認識させることも重要です。従業員の意識がバラバラであったために活用できずに終わった例も多くあります。

    2.最適な運用形態を選択する

     ERPシステムは大きく分けて、「オンプレミス型」と「クラウド型」の2つに分類されます。

     オンプレミス型は、自社内にサーバーを設置し社内でのみデータを運用する従来型のタイプです。月額のサーバー使用料がかからず、外部へのデータ流出のリスクが抑えられるというメリットがあるものの、初期の設備費用が高額であることや、バックアップやバージョンアップを自前で行わなくてはならないなど、費用や作業面ではデメリットも目立つものでした。

     クラウド型は、そんなオンプレミス型のデメリットを解消する存在となっています。システムはネット上にあるため、社内で構築する場合のような費用や維持管理の手間がありません。導入費用が安くスピーディに運用を開始できる点も大きなメリットです。反面、データが社内に留まらないため、セキュリティー面で若干リスクが残るうえ、毎月のランニングコストがかかる点もデメリットと言えます。

    どちらにもメリット、デメリットがあります。自社にとって最適と思われる方法を選択しましょう。

    まとめ

     ERPシステム導入により会計情報を一元管理することで、業務の効率化やスピーディな経営判断など、中小企業にとって多くのメリットが生まれます。
    その一方、ERP導入にはある程度の費用も必要になるため、自社の現状やERPのデメリット、予算についても慎重に考慮して決定しましょう。

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