担当者なら導入前に知っておくべき、ERPシステムの基本知識とタイプ別の特徴とは
パソコンやインターネットが普及したことで「情報化社会」と言われて久しいですが、最近ではそれがさらに進展し「高度情報化社会」と言われるようになりました。
今企業に求められるのは、企業が有する「情報という名の経営資源」を最大限のパフォーマンスで活かすことで、企業の業績アップに直結するといわれています。
このような社会状況の中、今注目を集めているのが、「ERP」と呼ばれる非常に画期的なシステムです。きっと初めて耳にした方も多いことと思います。そこで今回は、ERPシステムの基本知識と、タイプ別の特徴についてわかりやすく解説します。
ERPシステムとは何か
ERPシステムの概念
ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で、日本語で表現すると「統合基幹業務システム」です。ERPシステムを導入していない企業の多くは、営業部、管理部、業務部、経理部など部署ごとに、それぞれ独自に業績データを管理しているケースが多い傾向にあります。
本来であれば営業部のデータとそれに対応する経理部のデータは一致するはずなのですが、データベースが部署ごとに異なるため、同じタイミングで両方のデータに照会をかけても、出てくる情報に差異が生じてしまうことがあります。
ERPシステムの基本概念は、これら社内におけるデータベースを一つに統合し「一元管理」することで、社内での情報のブレをなくすとともに、情報という重要な経営資源を有効活用しようという点にあります。
リアルタイムの連携
ERPシステムのもう一つの特徴、それは「リアルタイムの連携」です。社内の情報を一元管理するということは、社員全員が同じ情報を閲覧することになるため、その情報自体の正確性を担保する必要があります。
ERPシステムは、社内のどこかの部署で情報が更新されると、それに関連する全てのデータがリアルタイムで自動的に更新され、社員全員に対して常に最新の正確な情報が行き届きます。このように、統合した基幹データの正確性と一貫性が担保されることが、ERPシステムの大きなメリットです。
ERPシステムのタイプ別の特徴について
ERPシステムはその運用方法の違いによって、「オンプレミス型」と「クラウド型」の2つに分類されます。
オンプレミス型
ERPシステムによって一元管理している情報を「社内」で全て管理運用するタイプです。ERPシステムができた当初からのオーソドックスなタイプで、クラウド型が登場するまではこのオンプレミス型がスタンダードでした。
【メリット】
- ・社内にシステムを設置するため、システム利用料などのランニングコストが発生しない
- ・情報を社内のサーバーのみで保管・管理するため、データが社外を通過することがなく、セキュリティ面で安心である
【デメリット】
- ERPシステムを管理するためのネットワークやサーバーを全て社内で賄う必要があるため、サーバー本体のみならず、バックアップ体制や温度管理、その他「設備投資」に多額の費用がかかる
- バージョンアップの際に、費用や作業がその都度発生する可能性がある
クラウド型
従来のオンプレミス型のデメリットを解消するのがクラウド型の特徴です。
データベースをインターネットを介して社外のサーバーで管理する点で、オンプレミス型とは大きく異なります。
【メリット】
- ERPシステム用のサーバーやネットワークなどを社内で構築する必要がないため、初期費用が圧倒的に抑えられる
- 導入までスムーズで、かつスピーディーである
- 情報をクラウド上で管理するため、外出先からスマホなどで情報にアクセスできる
【デメリット】
- 情報を社外のサーバーで保管・管理するため、セキュリティ面に不安が残る
- 毎月のランニングコストがかかる
まとめ
ERPシステムを導入することで、社内の情報管理体制は一変します。情報を一元管理することで、業務の効率化や情報のリアルタイム化などが実現できるとともに、その情報の活用により、スピーディーな経営判断や、各部署間の連携にもつながります。
ただ、どのタイプのERPシステムを導入するのかについては、各社の導入の目的や予算などによって変わってきますので、自社の目的に合ったERPシステムを選定することが、重要なポイントであるといえるでしょう。