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2019年05月29日(水)

ワークフローシステム導入の際に検討しておきたい 3つのポイントとは

経営ハッカー編集部

「ワークフロー」と「ワークフローシステム」の違い

「ワークフロー」とは、簡単に説明すると業務に関わる作業の流れを図式化したものです。通常どんなものであれ、業務とは役割分担があり、それに伴う各々の作業があり進められていきます。

作業の流れを図によって可視化することにより業務全体の流れを把握できるようになり、各々の業務の進捗状況やプロセスを円滑に進めることが可能になります。また、作業全体を可視化することによって、問題点をすぐに見つけ、早急な改善をすることもできるようになります。

そしてこのように、ワークフローで図式化された業務全体の仕組みをコンピューターに組み込んだものを「ワークフローシステム」といいます。

ワークフローシステムのメリット

ワークフローシステムのメリット

ワークフローシステムを導入することによるメリットとしては、「仕事が効率化される」「書類・伝票などが不要になる」などが挙げられます。システムの導入後は、業務が図式化され、可視化できる状態になっており、全体を把握することができるので計画的に業務を進められるようになっています。さらにどの業務がどこまで進んでいるのかという進捗状況を確認することが可能ですので、問題があった場合は、作業の見直しを行うなどすぐに対応・対策を採り、無駄な作業を廃止することで仕事の効率化にもつながります。

また、ワークフローシステムの導入にあたり、書類はデータベースで管理することになるので紙が必要なくなり、ペーパーレス化が実現できます。これにより、紙代・印刷代などの費用が必要なくなりコストカットにつながるというメリットもありますし、書類の整理・保管をする必要がなくなることにより、重要な書類の紛失というリスクを避けることも可能になります。

一番のメリットは、業務の手続きや作業手順、そして問題点が可視化されることによって改善・対策を採りやすくなることです。可視化の結果、改善・対策が重ねられ、業務の無駄が削減されることによって、作業効率化・社内ルールが確立されていくので、これは企業の内部統制においても効果的です。

内部統制におけるワークフロー

既存の経理システム 業務を可視化することのできるワークフローは、内部統制のなかでも特に稟議・届出申請・報告書などの申請書類や帳票において有効です。通常これらの書類は、上長の承認を得て業務を進めていくものですが、この承認までの業務に関して、前項でメリットとして紹介した「仕事が効率化される」「書類・伝票などが不要になる」ということ重要な役割を果たすのです。

仕事が効率化されるということは、すなわち時間のミス・無駄を省くことです。ワークフローシステムを導入することにより、各々の作業の過程を把握することができるようになり、ミスをしにくくなると同時に、万一ミスがあった場合も早期発見につながります。
さらに、印鑑を必要とする従来通りの書面による承認ルートの場合、「印鑑の位置や順番」に関することで無駄な時間が必要な場合もよくあります。これは例えば、役職の順番や社長の印鑑は最後でないといけない、などという「役職・立場」を考えての印鑑の位置関係等のことです。

業務を行う際、考える必要のある作業とそうでない作業がありますが、書類の印鑑の位置や順番を考えるという作業は間違いなく後者のほうでしょう。細かいことですが、特に日本の企業においてはこのような何気ない無駄は、挙げればきりがないくらいに起こっています。

ペーパーレス化されることによってのメリットは、経費の削減はもちろんですが、内部統制において必要書類の保管の必要がなくなるということも大きいと思います。社内外に提出する書類は自らデータとして保存してあるので、その都度、プリントアウトしたり、ファイリングしたりしなくても、検索すればいつでも取り出すことができます。
これらのように現代の企業の内部統制において、ワークフローシステムは必要不可欠な存在となってきています。

ワークフロー導入における3つのポイント

最後にワークフローシステム導入検討にあたり、以下の3つのポイントを検討事項として考慮しておくことをおすすめします。

業種、業態に合っているものを導入する。

ワークフローシステムが自社の業種や業務内容、業務形態に合っているかどうかを確認し、導入にかかるコストだけで判断するのは避けるようにしましょう。
例えば、営業社員が多く外出先で利用することが多いのにも関わらず、モバイル・スマートフォンに未対応のシステムを選んでも、それでは充分な効果が発揮されません。

中小企業こそ、導入のメリットがある。

自社の従業員規模を考えることも大切です。ワークフローシステムは比較的小規模から使用できますが、最大でも500人程度までが一番メリットが出ます。

一見、このようなシステムは中小企業にとってはメリットがないように思われますが、むしろ中小企業のほうが、社内の情報統制が取られていないことが多いので、これらの導入によってもたらされる恩恵は大きいと考えます。柔軟な仕組み作りができる、将来性のある中小企業こそワークフローシステムの導入を進めるべきです。

インストール型とクラウド型の特長

システムの導入にあたり、その提供タイプについても検討する必要があります。
提供タイプは次の2種類に分類できます。

1.インストール型
インストール型は、パソコン1台1台に専用ソフトをインストールしていくものです。具体的には、システム提供会社のサイトからソフトをダウンロードしてインストールするか、システムを購入した際に配布されたソフトをCD-ROMなどで直接インストールするかのどちらかです。
2.クラウド型
クラウド型はインストールの必要がなく、契約後ユーザーID・パスワードを入力するだけで利用することができます。インストール型はPCで利用することに特化していますが、クラウド型はインターネット環境さえあれば、スマートフォンや携帯電話からでも利用できるというのが特長です。

料金に関しては、インストール型はソフトの購入費用のほかに、ソフトのバージョンアップ時には別途費用が必要となります。これに対しクラウド型は、それらもすべて含んで概ね月額制となっています。

まとめ

ワークフローの導入によって、企業の保有している経営資源を今以上に効率的に活用できるようになります。インストール型とクラウド型、どちらが自社のニーズに合っているのかを比較検討して、より適しているシステムを導入するよう心がけましょう。

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