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2022年01月18日(火)

決算早期化とは? 実施メリットから改善策まで、月次決算を加速させるためのポイントを紹介

経営ハッカー編集部
決算早期化とは? 実施メリットから改善策まで、月次決算を加速させるためのポイントを紹介

上場を検討する企業が、経営の健全化に向けて実践しておくべきことのひとつが「決算早期化」です。ここでは、決算早期化の概要とメリット、ネックになりやすい要素や改善に向けた方法を一気に解説します。

決算早期化とは?


決算早期化とは、文字通り「決算処理を早期に実施すること」です。

また、決算は実施頻度によって「中間決算」「四半期決算」など数パターンに分けられ、目的や実施義務の有無に違いがあります。

たとえば、毎月実施される「月次決算」は、会社の状況をより短いスパンで把握して経営判断を的確に行うのに役立ちますが、四半期決算や年次決算と比べて頻度が高い分、当然ながら処理業務の負担は大きくなります。そのため、企業によっては業務フローの属人化とそれに伴う工数の膨大化が問題視されていたり、早期化への意識や意義が組織内に浸透していなかったりするケースも少なくありません。

 

月次決算の目的


ではなぜ、月次決算を行うのか。決算早期化の重要性を理解するにためには「月次決算を実施する目的」を知る必要があります。月次決算は、中間決算や年次決算と異なり、必ず行わないといけないものではありません。それでも多くの会社が実施するのは次の3つの目的があるからです。

  • 現状把握と今後の経営判断
  • 年次決算・中間決算の準備負担の軽減
  • 金融機関への資料提出がスムーズになる

月次決算を行うことで、経営目標に対する予測と実態の乖離を速やかに把握し、健全な企業経営を維持することができます。加えて、収支や資金繰りの状況を細かに確認することになるため、節税対策を検討する際にも役立つでしょう。

また、四半期決算や年次決算といった中長期の決算資料や投資家・銀行向けの報告書類を作成する負担が軽減されるのも月次決算を実施する利点です。金融機関に融資などを申し込む場合、直近の経営状態を開示するよう求められる場合がありますが、月次決算をしっかり行っていれば、求められた段階で書類を提出でき、焦らずに済みます。

 

決算早期化を実施するメリット


月次決算を行う目的や必要性を踏まえて、月次決算を早期化する4つのメリットについて考えます。

現状把握と対策の検討が速やかにできる 

前述のとおり、経営状況の把握から改善策検討、実施までを経営陣が迅速に決定できる点が最大の利点として挙げられます。いくら月次決算を実施していても、経営改善策を検討したいタイミングで必要な情報がなければ意味がありません。情報は早ければ早いほど価値を持ちます。鮮度の良い情報を得るためにも、決算早期化は重要です。

また、月次決算が安定して実施されれば、キャッシュフローや損益の実態、各部門間の業績理解などについて、年間計画とズレが生じていないかを含めて常に把握できます。

現状の決算業務を見直すきっかけになる

決算早期化は、決算業務を見直すきっかけにもなります。 決算を迅速に進めるには、ボトルネックとなっている要素を把握し、業務の無駄を排除する必要があるからです。 これは結果として社員の負担軽減につながるだけでなく、業務フローの明確化と人的ミスの早期発見にも効果を期待できるでしょう。

外部機関からの信用・評価につながる

金融機関など、外部に融資を申し込んだ際に速やかに月次決算を提出できれば、財務管理体制が健全であることをアピールでき、 与信判断において良い印象を与えられます。投資家に向けた信頼性のある情報を発信する方法としても有用です。

無駄な業務を失くし、必要以上の人件費を削減

決算を早期化するためには、現状の無駄な業務を減らし、実務者の作業工数を軽減しなくてはなりません。業務速度がアップすれば、残業代や必要以上の人件費などを削減できます。
これは言い換えれば、人件費にかかる予算を据え置いたまま業務時間を圧縮することで、従業員の働きやすさや生産性向上への意欲を喚起させることができるとも言えるでしょう。

 

決算早期化のネックになりがちな3つの要素


月次決算を迅速かつ効率的に行うメリットを理解していても、なかなか早期化を実現できないという企業は少なくありません。これらの企業は「社内」「組織体制」「部署」のどこかに問題を抱えている可能性があります。

社内のネック:請求書のやり取り

社内でネックになっている可能性があるのは「請求書関連のやり取り」です。

経理部へ請求書が遅れて届く、取引先からの請求書を各部門が期限までに回収できないなどの理由で会計処理がスムーズに進まないケースは多々あるのでります。決算に関わらない人からすると、「請求書1枚ぐらい遅れても……」という認識になりがちなため、月次決算の重要性をこまめに周知しましょう。

組織体制のネック:業務システムと申請プロセス

決算早期化の阻害要因が組織体制にある場合、「業務システム」「申請プロセス」を確認しましょう。

営業関係の部署と経理部門で共有のツールがない場合、システム的に余計な手間が発生してしまいます。また、決済までの承認数が多く、経理に上がってくるまで時間がかかるといった、申請プロセスの問題も少なくありません。部署によっては決算を早く出すことへの意識が低いケースもあるため、「経営戦略の一環として重要であること」を日々発信する必要があります。

担当部署内のネック:月末に集中するアナログで属人的な業務

実務を行う担当部署内でありがちな問題は「アナログで属人的な業務進行」です。

決算業務の特性上、特定の時期に仕事が集中するため、その期間だけ部署内の人材が足りなくなります。また、ツールのデジタル化が進んでいない場合、アナログな業務を実施しているケースが少なくありません。これでは工数が増加するだけです。

そして、こうした場合はほとんど業務が属人化しているため、他の人に応援を頼むことも難しいのです。まずは、ネックとなっている担当者の業務から見直し、フローを改善できないか考えてみましょう。

 

決算早期化のために今日からできる5つの改善策


決算早期化に踏み出すために、今日から始められる5つの改善策を紹介します。どれも身近なところから着手できる方法のため、現在の社内の状態に必要、かつ最も大きなインパクトを与えられる内容から挑戦することをおすすめします。

現状業務の棚卸し

まず着手すべきなのは、担当者の「現状業務の棚卸し」です。もちろん部門単位で行うのが理想ですが、前述のとおり、まずはネックとなっている担当者の業務を見直してみてください。ざっとで構わないので、その内容を紙に書き出し、かつ工数の予実を記録しましょう。所要時間とセットで業務を洗い出すと、決算業務に現状かかっている工数を具体的に可視化されます。

業務プロセスの見直し

現状業務の棚卸しを行った段階で取り組むいのが「業務プロセスの見直し」です。月次決算だけでなく、定常自業務も含めて包括的に確認し、実施しなくても差し支えなさそうな工程をいくつかピックアップしましょう。完璧に検証できていなくとも、ある程度ざっくりと工程を削ることで業務がどうなるかを確認するだけでも、今後の改善に向けた第一歩となります。

締切日の設定・申請しやすい仕組みづくり

請求書など、書類提出の締切日を設定しましょう。これまでの締め切りを見直すのもよいと思います。業務の棚卸しやプロセスの見直しから「いつまでに何の書類があればよいのか?」を逆算し、提案する方法も有効です。
早期の会計処理には、経理だけでなく各部門の意識改善が重要になります。各部門と連携しながら、申請しやすいルールづくりやフローの整理も並行して求められます。

スピード重視で見積り計上をする

決算関係の処理は慎重さが求められますが、スピードの求められる月次決算では、適宜見積りを計上するというのも有効です。請求が遅れている場合には、減価償却費を概算値で計上する方法もあります。作業が集中する時期の負担を低減するためにも、仕事を小分けにすることを意識してはいかがでしょうか。

たとえば、その日のうちに処理が可能な作業や照合は実施時間をあらかじめ決めておき、その時間内に終わらせるようにスケジュールを組むことで、業務が集中する期間の負担を多少なりとも分散することができます。

会計システムの導入や変更

業務効率化のシステムを導入することもひとつの選択肢です。単純作業を自動化し、ミスを軽減することで効率化を図ることができます。部門ごとに個別最適化しているケースでは、システムごとに互換性のある範囲が異なるため、データのインポートや加工に工数が取られにくいシステム、もしくは統合型のツール導入を検討しましょう。

 

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