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2016年12月13日(火)

NPOの仕事は半分以上が発信すること?! 発信上手なNPOに学ぶ6つの広報施策

経営ハッカー編集部
NPOの仕事は半分以上が発信すること?! 発信上手なNPOに学ぶ6つの広報施策

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※本記事は、「NPO法人二枚目の名刺」様のご寄稿です。

NPOの活動において大切なことは何でしょう? 社会の課題を解決するために、 地に足のついた活動を地道に続けていくこと? 活動資金を得るために寄付を募ること?

たくさんのNPOが、真面目に素晴らしい活動をしています。でも、NPOの存在意義は、ただ愚直に現場で活動することだけではなく、社会の課題を多くの人に知ってもらい、関心を持ってもらうこと。つまり「発信」や「広報」こそが、社会の課題を解決するための“始めの一歩”として重要なのではないでしょうか。

NPO法人二枚目の名刺・代表の廣、そして二枚目の名刺WEBマガジン・編集長の安東が、「発信」することで多くの仲間を集め、活動の幅を広げてきた2つのNPO法人に、“広報の秘訣”を聞いてきました。

NPO法人チャリティーサンタ・清輔夏輝さんの場合

チャリティーサンタ」は、クリスマスイブの夜にサンタクロースに扮したボランティアが、日本の子どもに“プレゼントと夢”を届けること。そして各家庭からの寄付金により、世界中の困難な状況にある子どもに“支援と未来”を届けることを主な活動としています。

2008年に活動をスタートし、それから約8年の間に10,109人がサンタになり、17,377人の子どもたちに感動体験を届け、なんと21都道府県・28支部にまで活動が広がっています。

チャリティーサンタがここまで人を巻き込み、広がってきている理由は何なのか。清輔さんへのインタビューの中に、3つのヒントがありました。

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ヒント1.事業を通じた感動を体験してもらえる“物語”を用意する

チャリティーサンタには、あるプレゼン大会に参加するために作った評判のよい映像があるそうです。

「プレゼン映像には、数字を出してはいけない、説明説得をしてはいけないという制作上のルールがありました。その結果、自分たちの事業内容を“物語”で伝えなければならならなかったのです。でも、物語仕立てにしたことで、観てくれた方に事業を通じた感動や共感を体験してもらい、関心を抱いていただくことができるようになりました」(清輔さん)。

NPOの取り組みについて何も知らない個人や企業の方に、はじめから淡々と社会課題を訴えかけるのではなく、物語を使って感情を揺さぶることで、自然と活動に興味を持ってもらえるのだといいます。

「僕たちの事業には、“カジュアルさ”という武器があるので、特にこの手法が生きると思うんです。サンタという誰もが知っている扉があるからこそ、より物語がスッと頭の中に入ってくる。そんな扉があることは強みだと思います」(清輔さん)

チャリティーサンタのように、賛同してくれる人たちが共通の原体験を持つ事業ばかりではないでしょう。しかし、自分たちの事業の先にある感動や共感を気軽に体験できる“物語”があれば、これまで目の前を素通りしていた人たちの興味や関心を呼び起こし、その物語が扉になるのかもしれません。

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ヒント2.皆が同じ方向を向いて活動できるよう、コンセプトの共有を徹底する

「すべての子どもたちにサンタクロースとの特別な体験を届けたい」という想いをもとに、日本各地に支部を設置しているチャリティーサンタ。順調に地域展開できている理由には、新しく仲間に加わるスタッフに対するコンセプトの共有をしっかりと行っていることにもありそうです。

「僕らの活動に参加していただく方には必ず見ていただくスライドと台本があるんです。それを見ると、僕らの活動がどう展開してきたか、日本や途上国の現状がわかる。スライドにして100枚くらいあるので、全部を見ると1時間以上かかります。会場の都合などで難しい時のために、削ってもいいものと必ず見てもらいたいものを決めておき、それを支部ごとにアレンジしながらプレゼンしてもらっています」(清輔さん)

どの地域にも事業の思いや熱意が同じクオリティで届けられることは活動を広げていくうえでの必須条件。そのため、スライドの内容も毎年必ずバージョンアップさせているのだといいます。

「発信」というと外にばかり目が行き、内部に向けたものは後回しになりがちですが、活動するメンバー一人ひとりが“歩く広告塔”。スタッフを介した活動の広がりも決して無視できないのです。

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ヒント3.スタッフ自身が魅力的な経験をすることで、アンバサダーになってもらう

チャリティーサンタでは、運営スタッフが入ると、なるべく早い段階で“サンタ体験”をするなど、まずは自身で体験してもらうことを大切にしているといいます。

「この活動は、“参加者が主人公になる活動”だと思っているんです。サンタに変身して、いつもの自分じゃない自分になって、ピンポ~ンガチャっと知らないお家に入るわけですから、真剣に向き合わなくちゃいけない。経験した後には、体験した本人だけのストーリーができているんです。そういう経験談を参加者の皆さんがまわりの人に話すことで、活動紹介をしてくれた結果が今の形になっています」(清輔さん)

スタッフ自身が「サンタ」という主人公になり、知らない家にプレゼントを届ける。こうした圧倒的に濃い経験が、スタッフ自身にとっての“最高の物語”となり、まわりの人に伝達されていく。これこそが最大の広報になっているのではないでしょうか。参加したスタッフの口コミで伝わっていく言葉にはワクワクが乗っているはずだから。

バイリンガル・バイカルチュラルろう教育センター(BBED)・玉田雅己さん、玉田さとみさんの場合

ろう児に対するバイリンガル(日本手話及び日本語)、バイカルチュラル(ろう文化と聴文化)教育の支援や研究活動、教材開発などを行うなど、ろう児を取り巻く環境の改善を目指して活動している「BBED」。

代表の雅己さん、ディレクターのさとみさんは、ひたすら足で稼いで強い絆を作る広報と、大きな相乗効果を生む効率のよい広報の両輪で活動を展開してきたことを話してくれました。

支援者を集め、ろう者が手話で学べる日本で初めて、そして唯一の学校「明晴学園」を設立したBBEDの広報からも、3つのポイントを紹介します。

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ポイント1.幾重もの広がりを生むメディアを選んで発信する

メディア発信を活用し、さまざまな広がりを生んできたBBED。こうした発信方法の持つ大きな効果に気付いたのが、子育てエッセイで「こども未来賞」を受賞した時。日本一の部数を誇る読売新聞にエッセイが掲載され、大きな反響を得たことだったといいます。

「メディアで紹介されるということは、ある意味“第三者評価”が付くことでもあるんです。特に新聞で取り上げていただいたことは大きかったですね。活動に対する信用度を増すことができて、お話をさせていただく相手の方の最初の警戒心がなくなることが目に見えてわかりました」(さとみさん)

また、まだ一般的ではなかった時期からブログを始め、寄付の状況を日々こつこつと発信し、日本財団のブログ大賞を受賞した時にもメディアの影響力の大きさを感じたそう。

「賞をいただいたことで、二度も日本財団のサイト上で取り上げてもらうことができました。このことで一回りも二回りも読者の輪が大きくなりましたね。さらに受賞者はエンブレムのようなマークをブログに貼れるので、信用度も増すんです。人が少ない、時間がないのなら、一石二鳥じゃなくて三、四鳥といった具合で次につながることを考えないといけないと考え、これまでやってきました」(さとみさん)

ブログを始める時も、あえて「CANPAN」という日本財団が提供する公益事業コミュニティサイトを選んだのだといいます。

もちろん、こども未来賞もブログ大賞も狙って受賞できるものではありません。たまたまだったかもしれませんが、将来の展開に備えて環境を整えておくことがとても重要なのだということがわかります。

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ポイント2.「1分プレゼン」で支援につながる種をまく

雅己さんとさとみさんは、4年間に1000を超える講演会やシンポジウムなどに参加し、そこに集う人々に自分たちの取り組みを知ってもらい、一緒に活動してくれそうな人との関係を築いていくことを行ってきました。

「講演会だったら最後に質問時間があります。まずは自分の身分を伝え、日本に手話を学べる学校がないこと、アメリカや北欧では手話が主流であること、その状況をなんとかしたくて勉強に来たことなどを話します。僕はそれを“1分プレゼン”と呼んでいるんですが、そうすると終わったあとに興味を持ってくださった方が来てくださる。そうしてつながった方々の中で、我々の活動を理解し、一緒に活動してくれそうな方と親交を深めていきました」(雅己さん)。

“とにかく活動を知ってもらわなければ始まらない”と、たくさんの人がいる場所に積極的に出かけ、自ら発信する機会を作り、サポートにつながる種をまく。こうした地道な努力を続けてきたことが、活動を共にしてくれる仲間たちとの出会いを生んだのです。

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ポイント3.相手に届くよう、話す内容をアレンジする

メディアでの発信や1分プレゼンで活動に興味を持ってくれた人でも、一人ひとり温度感が違います。そうした中で、一人でも多くの人にサポーターになってもらうために、さとみさんが意識していたことがあるといいます。

「相手の方が、私の言葉にどうリアクションをしてくださるのかを注視していました。もちろん私たちの考えに賛同できないという方もいらっしゃいます。そんな場合は、その方が何について“違う”と思っているのかを探るのに、少しずつ色を変えるような感じで話し、その方に合わせた内容の膨らませ方をするようにしてきました」(さとみさん)。

さとみさんが“一つとして同じ発信はなかった”と振り返るように、対面で相手の考え方を感じながら丁寧なコミュニケーションを取る。その積み重ねの中で、彼らのファンになり、活動を応援してくれる人が増えていったようです。

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課題を“自分ごと”として捉えてもらえるような発信をしよう!

チャリティーサンタとBBEDの広報活動から学び取れるのは、いかに多くの人たちに“共感”してもらい、“自分ごと”に感じてもらえるかがNPOの広報にとって重要なポイントになるということではないでしょうか。

NPOは、持続的に丁寧な発信を続けることで、社会の目を変えていく可能性を秘めています。だからこそ、もっと自分たちの活動を多くの人に知ってもらい、関心を持ってもらう必要がある。それが社会的な使命を達成することを目的にしたNPOの大きな役割の一つなのかもしれません。

関連記事

2枚目の名刺Webマガジン」のインタビュー記事で、チャリティーサンタとBBEDの広報施策をより詳しく紹介しています。

「サービス届けたい相手に情報を届ける」ためにチャリティーサンタが取った方法とは?

「自分たちの夢に、相手が参加しやすい環境を作る」BBEDが大切にしている方法とは?

公式サイトはこちら

チャリティーサンタBBED

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