コインロッカーを変革する27歳の起業家の人間関係と事業の未来
スタートアップイベントsproutの18回目特別版で見事トリプル受賞を果たしたecbo株式会社の工藤慎一さん。「賞をもらうのは小学生の時のベイブレード大会ぶり」という工藤さんに、サービスと、優勝に至るまでの経緯について聞きました。 (聞き手: freee株式会社 新設法人事業 木本俊光)
――人に一番苦労した一方で、紹介など沢山の人に支えられているんですね。
そうですね。お金の話は、税理士法人シリウスさんに昔からお世話になっていますね。それもベンチャーの知り合いから、ベンチャーに強い税理士さんということで紹介してもらいました。
freeeの導入するときも相談したり、Facebookで気軽に相談も受けてくれたりと、手厚いサポートをしていただいています。
――その他にもサポートしてくれる人は?
投資家の方の存在が非常に大きいです。いままで2回資金調達しているのですが、去年6月に佐俣アンリさんから投資いただいたのは大きな転機でした。そのころ、資金調達のために20社ぐらいのVCと会っていたのですが、そんな中、佐俣アンリさんと会ったときに5分で「投資する」と言ってくれたんですよ。
それまではとにかく投資を受けようと必死だったので、いざ投資を受けて初めて、事業について考え直せるようになり、良い転機になりました。実はそのあと、佐俣アンリさんに当時の話を聞いたのですが、「何言ってるんだって思ったけど、楽しそうだったからまあいいか」と投資することにしたらしいです(笑)
――それはすごい意思決定ですね..。2回目の調達はどのように進めたんですか?
2回目はecbo cloakを思いついてからです。それも人の紹介で話をしまくりました。前回の経験から、VCを選ぶ基準としてビジョンに共感してくれる投資家と会うようにしていました。
その結果、ゼクシィを立ち上げた渡瀬ひろみさんは、「よくその市場を見つけてくれた」と言ってくれました。この言葉を聞けて、僕も非常に嬉しかったですね。
エンジェル投資家の千葉さんは創業経験があり、インバウンドに力を入れようとしていたので、話をしにいきました。その時は「面白いね」と言われましてこちらも非常に嬉しかったです。
お二方とも、「人に投資する」というスタンスの方で、当時の僕にとって非常に救われていると感じてます。
――昔からそんなに活発に人と接する人だったのでしょうか?
根っこは寂しくてかまって欲しい人なんですよね。でも、実は学生のころに、自分の意見を主張するのを我慢していて、中高生の時はすごくストレスが溜まっていました。
小学生のときには大丈夫だったんですけどね。ベイブレードの大会に出て20回ほど優勝したり、遊戯王のカード売買で儲けてましたね。
――ベイブレード再び(笑)。商売もその頃から始めていたんですね。
はい。日本で1枚10円で売っているものを中国で1枚100円で売っていました。父が1万円出資してくれて、それを元手に14万円ほど儲けました。
――すごい。
その後も色んな商売はしてきたのですが、失敗も多かったです。ただ、その経験のおかげで需要と供給のアンテナが見えたり、トレンドとかも無意識で考えられるようになりました。
ただ、中学のとき、クリスマス会に一人500円ぐらい集めてパーティをしたのですが、当時の先生に商売になるからとすごく叱られて中止になったんです。
――確かに先生が聞いたらストップしそうですね。
家族は全然理解してくれるんですよね。そのときも「価値提供しているので良いでしょ」という考えでした。ただ、そのときは自分の意見もはっきりしていないから、先生や周りの人が正しいと思っていたんです。それをきっかけに高校生まで縛られたような感覚が続きました。今思えば暗黒時代でしたね。
でも、大学生の時に自分らしさを大事にしようと思って、そこから経営者視点の人と話すように心がけましたね。ちょうどその頃uberの日本発表前に話を聞きに行って、学生時代にインターンとしてjoinをして、シェアリングエコノミーの可能性に気づき、起業の準備を進めました。
――今後、どういうことを考えていますか?
預けた荷物を空港に自動的に送られるような仕組みはいずれ構築したいと思っています。良いコインロッカー見つけても、そこまでの移動やコインロッカーを預けるという体験も「暖かくない」んですよね。そのプロセスを省略できたら非常に良い体験になるかなと思っています。
――たしかに、運ぶまでは大変ですもんね。
利便性だけではなく、人と接する暖かさも感じてほしいなと思っています。10秒で預けられたあと、荷物体験を通じて現地の人と温かいコミュニケーションが生まれるんですよ。
実際に初期に導入してくれたfactoryさんに荷物を預けた就活生から、「店舗で就活のアドバイスをしてくれて非常にうれしかった」と感謝されました。
他の店舗では、店舗の方がお客様の感謝の声が届いて、横の韓国人の客に勧めてくれました。
――それは提供者として感動しますね。僕も感謝の言葉を見ると非常に心が踊ります。
――今後は、どういうところに参加してほしいと思いますか?
基本的にはスタッフが常駐していて、少しでも荷物を預かれそうなところには声をかけてほしいと思っています。強いて言えば、特に都市圏など人が集まるところにある店舗が好ましいですね。
お店のアイドルタイムを有効活用したい店舗、国際色豊かなお客様との接点を増やしたい店舗にはぜひ参加して欲しいと思います。
――多くの店舗が場所をシェアする未来を楽しみにしています。ありがとうございました。
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