仕事が失くなる5年後、10年後への準備を今すぐ始めよう…『ゼロ秒思考』のA4メモ書きで問題把握・解決力をつける
AI・ロボットの技術発達によって10年後には多くの仕事が失くなると言われています。今せっかくスキルを磨いてキャリアを築いても、その仕事自体が失くなってしまう可能性も……。
5年後10年後を見通し、備えるためにはどうすればいいのでしょう?大きな変化が訪れる前に身に着けておきたいスキルについて、経営コンサルタントの赤羽雄二氏にインタビューをしました。
目次
5年後、10年後に失くなる仕事とは
問題把握・解決力をつける世界一簡単な方法とは?
毎朝・晩30分ずつの情報収集で感度を高める
プロフィール
5年後、10年後に失くなる仕事とは
佐藤:今後、日本は10年でどんな変化を迎えるのでしょう?
今後5〜10年の間に、仕事の種類はガラリと変わります。AI、ロボット、自動運転、EV(電気自動車)、ブロックチェーン、IoT、ビッグデータなどの発展で、多くの仕事が失くなっていくでしょう。電話交換手(電話の取次業務)や受付の仕事が大きく減ったように、今後は様々な領域で仕事が減少していきます。
例えばブロックチェーンの広がりにより、ガソリンスタンドに着いて給油したら、自動で会計が終わっている、企業の経理・会計業務の大半は、ブロックチェーンをベースとしたスマートコントラクトが自動的に処理してしまう、弁護士の仕事も定型業務からなくなっていく、などの変化が予想されます。
佐藤:具体的にはどんな仕事がなくなってしまうのでしょう?
運転や機械操作、倉庫作業、レジ打ちなどの肉体労働の大半が失くなるでしょう。また、肉体労働だけではなく、受付、秘書、管理、経理、会計など事務の仕事の多くも消えるはず。これはAIやロボット、ブロックチェーンが単純作業を代替してくれるためです。
高度な専門職と言われた医師、弁護士、税理士、会計士の仕事も大きく変化し、減っていくと思います。このため、今後何が起きるのか真剣に考え、一刻も早く自分の競争力を上げるためのアクションを起こすことが重要です。今の仕事、同一職種の中で上位1/3に入るレベルのスキルがあれば、すぐに仕事を失ってしまうことはたぶん避けられるからです。
佐藤:5年、10年後…未来を予想をするのは、とても難しいのでは?
「未来を予想する」というとむずかしく聞こえますし、誰にもできません。なので、技術自体を予想しようとするのではなく、またそれがいつかを厳密に予想しようとするのではなく、この流れでいけば起こりそうなことは何なのか、そのなかにどんなリスクとチャンスがあるのか?を考えるようにしてみてください。何に着目しておけば変化をキャッチしやすいか考えることは十分可能ですし、お勧めです。
私個人としては、AI・ロボットの圧倒的進化と普及、自動運転・EV(電気自動車)の普及、ドローン、IoTやウェアラブルの進展、ビッグデータの本格活用を予測しており、大きな変化を迎えると思っています。 このため、これらの分野での情報収集は毎日必ず行うようにしています。 情報収集方法に関してはこちらの記事で後述します。集めた情報からの未来の予測方法のポイントについては、『3年後に結果を出すための最速成長』に詳しくまとめております。
問題把握・解決力をつける世界一簡単な方法とは?
佐藤:そのような変化を迎えるために、また現在の仕事や領域で上位1/3に入るために必要なスキルや心構えはありますか?
最も大切なのは、問題把握・解決力です。今後は、いまある仕事の何割かが失われる時代。何から失われるのか、自分はいつ頃まで仕事を続けていられるのか、失われた仕事を補う新しい仕事が何なのか、全体の構造を理解して、適切なアクションを取れるかどうか、ですね。
また、変化のスピードも、従来よりかなり速くなると覚悟しておいたほうが良いでしょう。ポケベルから携帯、携帯からスマホへの変化のスピードよりも何倍も速くなります。インターネットが完全に普及し、情報が一気に広がり、変化を加速するインフラが整備されてしまったからです。
佐藤:「問題把握・解決力」とは、具体的にどういう力でしょうか?
一言に「問題把握・解決力」と言ってもわかりにくいかもしれません。「問題把握・解決力」とは、問題の本質をすぐに見抜き、全く新しい角度からもっとも適切な解決策を立案し、実行する力です。
佐藤:どうすれば問題把握・解決力が身につくのでしょう?
ぜひともやっていただきたいのは、頭の中で考えているのではなく実際に書き出してみることです。頭の中でいくら考えても、考えているつもりになって考えはまとまりませんし、深まることもありません。
空でできるのは、プロの棋士や優秀な数学者、物理学者など常人を超えた人だけです。散歩しているときや入浴中によいアイデアを思いつくことが多い、という方もいらっしゃると思いますが、そのまま思考をどんどん深めていくことは決して簡単ではありません。
私を含む普通の人にとっては、書くことに優るものはありません。私が『ゼロ秒思考』で提唱したA4メモを毎日10~20ページ書くと、頭がすっきりし、何が問題でどうすべきかよくわかり、素早く行動できるようになります。
佐藤:A4メモ書きは私もtodoの書き出しや考えをまとめるために活用していますが、たしかに頭がすっきりしますし、思いがけないアイデアが生まれます。
頭のなかで考えるだけでは、思考はまとまりません。口頭での議論も同様です。書かないと堂々巡りしてしまい、くどくどと言い続けたりもします。それを防ぐには、A4用紙に書いた上で、それを見ながら議論するようにすると、最も効果的な進め方ができるようになります。
毎朝・晩30分ずつの情報収集で感度を高める
佐藤:20代、30代、40代…世代ごとにアドバイスなどありますか?
今お話したことは、世代や職種、立場に関わらず影響があることなので、皆さん共通して「問題把握・解決力」を身につけることが必要です。仕事ができると自負されている方も、仕事の枠を少し超えて視野を広く持っておくことが欠かせません。できると思っていた仕事そのものが、徐々にあるいはかなり急激になくなっていくかもしれませんから。
仕事にそこまで自信がない人はなおさらです。
問題把握・解決力を強化する上で欠かせないことの一つとして、情報力があります。今何が問題なのか、顧客はどのくらい困っているのか、根本的な解決策にはどういうものがあるのか、注目されている技術は何か、競合企業はどういう動きをしているか、コンソーシアムやフォーラムにはどういうものがあり、どう参加したり、リードしたりできるのか、などを常に知っておき、考えておく必要があります。
佐藤:目の前の仕事に忙殺されて、情報収集を怠りがちな方が多いように感じます。お勧めの情報収集法はありますか?
Googleアラートの活用をお勧めします。キーワードを登録するだけで、毎朝指定した時間にそのキーワードを含む過去24時間の記事がすべて送られてきます。普通は30~50個登録しておき、送られてきた記事の中から特に気になる記事数十を毎朝・晩30分ずつ読むようにすると、状況判断をスムーズに行うことができます。突然の変化に対応できなかったり、議論の内容についていけなかったりがなくなります。
毎朝・晩30分ずつ、というのは、面白い記事は無数にありますので、時間を決めないときりがない上、情報収集にばかり時間を取られてしまうからです。また急いで記事を読み進めていけば、合計1時間もあれば相当数読めるからです。
例えば、AIに関してであれば
- AI
- ロボット
- 機械学習
- 深層学習
- AlphaGO
などです。
佐藤:時間を決めて朝晩30分、毎日1時間、情報収集に充てることができれば、かなりの情報を得られる気がします。
何かを理解したりアクションを取ったりできないのは、向き不向きや頭の良し悪しではなく、予備知識の不足が大きく影響します。そこで足を引っ張られたりしないために、Googleアラートの活用をお勧めします。キュレーションアプリやメーリングマガジンだとキーワード指定で最新の記事を漏らさず把握することなどはできないからです。
A4メモ書きに関しては定期的にダイヤモンド社と共同でセミナーを行っておりますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。 >>セミナー情報はこちら
また、AI・ロボット、ブロックチェーンなど今後起こる変化に関してはオンラインサロン上で議論や情報交換も行っております。皆さんが仕事でお持ちの悩みにもお答えしておりますので、ご興味のある方はご覧になってみてください。
佐藤:メモ書きは私も『ゼロ秒思考』を拝読して2年ほど続けています。赤羽さんが仰る通り、たしかに思考を整理するのにおすすめです。今後、大きな変化が起こることを念頭に、情報収集も怠らないようにしていきたいです。