個人事業主なら知っておきたい福利厚生費のルール〜事業主のスポーツクラブ費用は福利厚生費になる?〜
「従業員のモチベーションアップのために社員旅行したんだけど...」 こんなときに使うのが福利厚生費です。
福利厚生は、経費として扱われるので活用したいところですが、一方で様々なルールがあるので注意が必要です。
今日は、スポーツクラブの会費を題材に福利厚生について紹介。福利厚生をマスターして、活用してください。
*日本実業出版社の「経費で落ちるレシート・落ちないレシート」から抜粋・編集を行ったものです。
福利厚生の目的とは
簡単にいうと、従業員のモチベーション向上のために、社員旅行をはじめ非金銭報酬を行った際に使う経費科目(勘定科目)をいいます。
事業主のスポーツクラブ費は、福利厚生費(経費)にならない
福利厚生費とは、「従業員のために支出した費用」を言います。 1人会社の場合はどうなるのかとか、いろいろむずかしい問題ではありますが、基本的には事業主(経営者、役員)に福利厚生費という概念はありません。 ただ、本当に小さい会社や個人事業主の場合、経営者兼従業員のような側面もありますよね。実際に中小零細企業では、「取締役営業部長」といったように、いわゆる「使用人兼務役員」の人も少なくないです。 とはいえ、残念ながら、事業主に福利厚生費(経費)は認められないのが原則なのです。
まとめると、福利厚生費は、従業員のために支出した費用です。事業主に福利厚生費は原則的に認められません。
さて、スポーツクラブも同様で、事業主に福利厚生費は適応されません。 従業員が何人かいて、法人会員という形でスポーツクラブに入会するなら経費に認められるでしょうが、社長、奥さん、従業員1人、の3人がそれぞれ個人会員で入会しているような場合は、判断が微妙になります。おそらく社長と奥さんの部分は、必要経費にならないでしょう。
まして、入会者が社長だけという場合は、まず無理。福利厚生費は「全従業員一律に」という決まりがある上、福利厚生はそもそも役員にはない概念だからです。
それでもスポーツクラブを福利厚生(経費)にしたい⇒難しいです
「個人事業主やフリーターの場合、病気で倒れたら収入もストップするし、スポーツクラブで健康管理するのは結果的に売上に結びつくと言ってもいいのでは?」
こういった意見もあると思いますが、実際のところ難しいでしょう。フリーランスの場合はどんなに甘めに認められても5割程度でしょうか。
そもそも健康管理は誰でもやることですし、スポーツクラブでの健康管理が仕事に貢献しているという因果関係を考えること自体、難しいですよね。なので原則的に事業主には難しいです。
福利厚生費=従業員みんなが享受できる非金銭報酬です
法人の場合は入会するなら最低限、法人会員にすること。福利厚生費は、従業員がみんな享受できるものでないと認められません。 なので、厳密にいうと、社員旅行などは、よほどの不都合がある人以外は、全員参加して初めて福利厚生費になるんです。 また、社員全員に参加資格があることが前提になります。だからこれも厳密にいうと、部署の懇親会は全社的イベントではないので福利厚生とは言えないわけです。
ただ、全社で一度に行うことが物理的にむずかしいために部署単位で実施していたり、参加者は限られるが全社的な目的のために行われているイベントなら、認められる可能性もあります。