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2015年09月24日(木)

知らなきゃ損する相続税の節税方法を税理士が解説

経営ハッカー編集部
知らなきゃ損する相続税の節税方法を税理士が解説

keisann
平成27年1月より相続税の基礎控除が縮小されたことにより、相続税が増税となりました。このニュースは、各メディアでもよく取り上げられており、ご自分の相続に漠然とした不安をお持ちの方も数多くいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、相続税の節税策について解説したいと思います。

 

1)相続税を節税するための基本的な考え方

相続税とは、亡くなった人が、亡くなった時点で所有していた財産を基準として、これを相続する人に対して課税される税金です。ですから、相続税を少なくするためには、課税の対象となる財産を少なくすることが近道です。そしてその方法は、簡単にまとめると以下の4つに大別されます。

1.生前に財産を分散させる
2.課税対象となる財産を、相続税法上の「非課税財産」へ変える
3.課税対象となる財産を、相続税法上の「評価額が低くなる財産」へ変える
4.相続税法上の優遇規定を受けることにより、課税財産の評価額を低くする 5.分割対策

具体的な方法は、次の章から解説します。

2)生前に財産を分散させる

生きているうちに所有財産を減らすという方法です。最も簡単なのは、現金などの金融資産を生前に使ってしまうことですが、家族へ少しでも多くの財産を残してあげたいという気持ちとは相反します。

そこで家族へ生前に財産を分け与える、すなわち贈与することを考えるわけですが、ただ贈与するだけでは贈与税が課税されてしまいます。そこで、次の贈与税に関する規定を活用して、税金のかからない範囲で所有財産を親族に分散するという方法を検討してみてはいかがでしょうか。

1.贈与税の基礎控除

現在の法律では、贈与税の基礎控除は110万円と定められています。したがって、一人あたり年間110万円までの贈与をしても、贈与税は課税されません。この仕組みを利用して、毎年配偶者や子供、孫などへ、110万円の範囲内で贈与を続ければ、相当額の財産を相続の課税対象から除外することができます。

ただし、税法上は、あげる人ともらう人がお互いに「あげた」、「もらった」という認識があり、なおかつ、もらった人がそのお金を自由に使える状況になければ、贈与の事実を認めてもらえません。また、原則として相続開始前3年以内の相続人への贈与は、贈与がなかったものとみなされてしまうので注意が必要です。

2.贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、自宅の家屋または土地の贈与があった場合には、一生に一度に限り、その贈与した財産のうち2,000万円までは贈与税を課税しないという制度があります。
 この規定は、新しく住宅を購入する場合だけでなく、既に住んでいる自宅についても適用が可能ですので、上手に活用することで生前に自身の財産を減少させることができます。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4452.htm

3.その他の贈与税の非課税

1、2以外にも、贈与税が非課税となる規定があります。

(1)子どもや孫が自分の住宅を購入する際に、その購入資金の援助をするために金銭の贈与をした場合について、一定の金額までの贈与は非課税とする「住宅取得等資金の贈与税の非課税」

(2)20歳以上50歳未満の子どもや孫へ、金融機関等を介して、結婚・妊娠・出産・育児等に関する費用に充てるものとして金銭の贈与をした場合には、1,000万円までを非課税とする「結婚、子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」

(3)30歳未満の子どもや孫へ、金融機関等を介して、教育資金に充てるための金銭を贈与した場合には、1,500万円までは非課税とする「教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」
 
これらの規定は、高齢者が所有する財産を早期に若年層へ移転させることで、国内の消費を活発にし、日本の景気振興に役立てようという国の意向を反映して作られた制度です。条件に合致する規定を上手に活用することで、より大きな金額を無税で贈与することができます。

3)課税対象となる財産を、相続税法上の「非課税財産」へ変える

相続税法上の非課税財産とは、主に下記に掲げる財産です。

1.墓地や墓石、仏壇、仏具など
2.相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額 までの部分
3.相続や遺贈によって取得した財産で、相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの

たとえば、亡くなった時点で現金100万円を持っていれば、そのまま相続税の課税対象となりますが、生前にその100万円で仏壇を購入していれば、相続税は課税されません。生前に所有財産をこういった財産へシフトしておくことは、相続税の節税につながります。

また、2にあります生命保険金の非課税も利用しやすいでしょう。これは、相続人が受け取った死亡保険金について、「500万円×法定相続人数の金額」までは非課税とするものです。相続税課税が確実で、生活資金に余裕があり、なおかつ死亡保険金が下りる保険に加入されていない方は、保険を利用することで相続税が少なくなる可能性があります。

4)課税対象となる財産を、相続税法上の「評価額が低くなる財産」へ変える

現金が5,000万円あれば、それは相続税法上も5,000万円の財産として税金の計算をします。しかし、5,000万円で土地や建物などを購入すれば、多くの場合において相続税法上の評価額が5,000万円よりも低い金額となります。

これは、相続税法で定められた財産の評価方法が、一般的な市場での取引価格を上回らないよう「評価の安全性」を重視しているために起こる現象です。この現象により、所有財産を不動産へ変えることが結果として相続税の節税につながる可能性があります。

しかし、資産が不動産に偏り過ぎてしまうと、相続税は少なくなっても納税資金が確保できず、相続人が納税資金の捻出に苦労するという事態を招きかねませんので、注意が必要です。

5)相続税法上の優遇規定を受けることにより、課税財産の評価額を低くする

相続税の節税として、最も有名なのは「小規模宅地の特例」でしょう。たとえば亡くなった人が住んでいた住宅の敷地については、一定条件を満たせば330㎡までは80%の減額を認めています。その他にも、一定の事業用の土地については400㎡までは80%の減額を、貸付事業用の土地については200㎡まで50%の減額を認めています。

たとえば、評価額が4,500万円、面積が220㎡の自宅の土地について、小規模宅地の特例の適用がある場合には、4,500万円×80%=3,600万円が減額され、その土地の評価額は4,500万円-3,600万円=900万円となります。節税効果の大変高い規定であることがお分かりいただけると思います。生前にこの規定の適用を受けるための条件を満たしておくことで、相続税を節税することができます。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm

6)分割対策

相続税対策を考える上で、とても重要となってくるのが「分割対策」です。 分割対策とは、すなわち被相続人の資産を「誰に」「何を」「どのくらい」相続させるのかを事前に決めることです。 そもそも遺産分割は、相続発生後、相続人全員で「遺産分割協議」を行なって決めるのですが、現実的にはなかなか話がまとまらず、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」などの相続税の控除制度を適用できないケースが出てきてしまいます。 そこで、生前に「遺言書」を作成し、遺産分割内容を書き記しておくことで、相続発生後に相続人間で争いが発生するのを防げるとともに、相続税の課税上最も有利となる分割方法をとることができます。 相続税は誰が相続するのかによっても、その金額に違いが出てくるため、この分割対策は非常に重要なのです。

7)まとめ

相続税の節税策についてひと通りご説明しましたが、これらの節税策を講じる前に、まずは自分自身の財産がどのくらいあるのか、おおよそいくらの相続税がかかりそうなのかを把握することをおすすめします。

たとえば、ダイエットを始めることを想像してみてください。最初に自分の体重を把握し、理想の体重になるためにはどの程度の食事制限や運動などの「策」が必要なのかを検討しますよね。相続税の節税についても同じです。まず現状を把握し、どういった節税策を講じるとどれほどのメリットがあるのかを把握することで、より無駄のない節税策を検討できると思います。

須田会計事務所は、東京都武蔵野市・三鷹市を中心に、都内全域及び近隣他県のお客様とお付き合いしています。お客様との出会いは、ホームページをご覧になってのお問い合わせや金融機関等からのご紹介によることもありますが、お客様ご自身から新たなお客様をご紹介いただくケースも少なくありません。また相続税や不動産譲渡のご相談なども、「前回、父の時にお願いしたから」というようにリピーターとしてお問い合わせいただく方もあり、大変ありがたいことと感謝しています。 私たちの仕事は、お客様の命の次に大切な財産に直接関わる、大変重要で責任の重いものです。出会いのチャンスに恵まれたその日から、いずれ生涯のパートナーに選択していただける日が来るよう、継続する仕事の中で信頼を勝ち取る努力を日夜継続しています。
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