個人年金保険料控除の申請方法をわかりやすく解説
「個人年金保険料控除」とは生命保険料控除の一項目で、所得計算の際に所得の額から差し引くことができる控除項目です。つまり、個人年金保険料控除が適用される保険料を支払うことで、一定額を上限として、所得税額や住民税額が安くなります。
ここでは、個人年金保険料控除の仕組みとメリット、申請方法をわかりやすく解説します。
1)個人年金保険料控除の仕組み
個人年金保険料控除は生命保険料控除の一項目です。生命保険料控除とは、一定の生命保険料などを支払った場合に一定の所得控除を受けられる制度です。つまり、生命保険料控除に該当する保険料を支払った場合には、所得税が一定額安くなります。
まず、生命保険料控除には以下の3点の控除項目があります。
1.生命保険料控除(死亡保障の生命保険や医療保険、ガン保険など) 2.介護医療保険料控除(介護保障保険など) 3.個人年金保険料控除(個人年金保険など)
どの控除項目に該当する保険なのかは保険会社から送付されてくる保険料控除の証明書で確認することが可能です。また、支払保険料に対する控除額は以下の表のように定められています。
(参考:国税庁ホームページより)
個人年金保険料控除だけで年間の支払保険料が8万円を超える場合は、4万円の所得控除が受けられる仕組みです。上記1から3までの控除項目に対してそれぞれ4万円の上限が設けられ、最大で3項目合わせて12万円の所得控除を受けることができます。
2)個人年金保険料控除のメリット
これまで個人年金保険料の仕組みを見てきましたが、ここからは具体的に個人年金保険料をいくら払うとどのくらい所得税が安くなるか考えてみましょう。
(参考:国税庁ホームページより)
上の表は所得税の速算表です。所得金額とは収入から様々な控除項目を差し引いた金額で、その金額に税率を乗じて所得税額を求めます。
それでは、所得金額が500万円の方で個人年金保険料における上限4万円の控除がある場合とない場合を考えてみましょう。
控除がない場合の所得税額:500万円×20%-427,500=572,500 控除がある場合の所得税額:(500万円-4万円)×20%-427,500=564,500
所得税は572,500-564,500=8,000円安くなる計算になります。所得金額が300万円の方では4,000円、800万円の方では9,200円安くなります。
さらに個人年金保険料控除は他の生命保険料控除と同様に住民税で最大28,000円の保険料控除がありますので、住民税と合わせると年間1万円以上税金を少なくすることができるのです。最大の控除額が4万円(支払保険料8万円超)と上限はありますが、会社員の方にとっては所得税の控除を受けながら将来の年金積立てに利用できるメリットの大きな制度です。
3)個人年金保険料控除の申請方法
個人年金保険料控除の申請方法ですが、会社員の方は年末調整時に、自営業の方などは確定申告時に行います。ここでは会社員の方の年末調整にポイントをあてて確認してみましょう。
年末になると、会社から「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」の提出を求められます。個人年金保険料の申請にはこちらの申告書の他に、保険会社から毎年10月頃に送付される保険料の控除証明書が必要です。
まずは、保険料控除の申告書に「一般の生命保険料」、「介護医療保険料」、「個人年金保険料」の保険種別ごとに控除金額を計算します。保険会社より届く控除明細には必ず保険契約ごとに保険種別が記載されていますので、該当する保険契約ごとに必要項目を記入してください。
ここで、1点ポイントがあります。保険料控除の明細を保険種別ごとに支払い金額が多い順番で並べてみてください。前述のように、保険料控除には控除限度額がありますので、支払金額が8万円を超える明細は記載しても控除を受けることができません。つまり、保険種別ごとに並べた順番で8万円を超えた明細は記載する必要がありませんので覚えておいてください。
保険料控除の申告書については内容を記載したうえで、保険料控除証明書を添付して会社に提出すれば年末調整で保険料控除を受けることができます。
まとめ
個人年金保険料控除はその年に支払った保険料があれば保険料控除を受けることができます。万が一、会社の年末調整時に出し忘れていた保険料控除がある場合は確定申告で保険料控除の申請を行うことができます。すでに支払った保険料で所得税や住民税が安くなりますので、利用してみてはいかがでしょうか。