保険料控除で節税を|意外と知られていない税金対策
所得税には色々な控除が有ります。給与から天引きされている社会保険料などは、年末調整の時に会社が自動的に控除の対象にしてくれます。しかし会社では把握しきれない、個人で契約し支払っている保険料は各人が会社に申告することで控除の対象となります。もれなく申告して節税をしましょう。
1)「控除証明書」をチェックする
9月の中旬位から生命保険や損害保険等の各保険会社から、保険料の控除証明書が送られてきます。年末調整や確定申告の時に必要になりますので、きちんと保管しておいてください。ご家族が契約者でも保険料を支払っているのが所得者本人でしたら、その分も控除の対象になりますので、忘れずに保管しておきましょう。
生命保険は契約締結日が平成23年12月31日以前か、それ以後かで旧生命保険料と新生命保険料に分かれています。控除証明書に「一般用」「個人年金」などと書かれていますし、適用制度も新制度や旧制度などの記述が有ります。その記述をもとに申告書を書きますので、チェックしておいてください。
2)控除の対象になる生命保険料の範囲は
生命保険料控除の対象となる生命保険料とは、
・一定の生命保険契約 ・年金の給付の定めのある生命保険契約 ・病気や怪我等で入院した時に保険金が支払われる保険契約
で、あなたがその年のうちに支払った生命保険料や掛金を言います。
契約の内容等によって、当てはめる控除額の計算式が変わりますので、保険料の区分をよく確認して、保険料控除申告書の所定の欄に記入します。旧生命保険は一般の生命保険と個人年金保険に分かれていますが、新生命保険はその二つの区分に介護医療保険が加わっています。
3)生命保険料の控除額の計算
保険料控除申告書に記載されている生命保険料の欄は「一般の生命保険料」「介護保険料」「個人年金保険料」の三つに分かれています。1枚の控除証明書の中には。契約内容に応じた証明額と申告額がいくつにも分かれて書かれております。
生命保険料控除証明書をよく確認して、それぞれの欄に申告額の方を記入しましょう。先ほど説明した旧保険料と新保険料にも注意してください。 生命保険料控除の枠組みの下の方に「計算式Ⅰ」と「計算式Ⅱ」が有りますので、当てはまる計算式に基づいて計算します。3種類とも上限額が4万円となっていて、合計の上限額は12万円となっています。
沢山の生命保険に入っていても、それぞれの上限額が決まっていますので、家族に複数の給与所得者がいる場合は、契約者を所得者本人にするなど上手に割り振ることでより節税できます。
4)地震保険料の控除について
生命保険料のほかに地震保険料についても保険料控除が行われます。地震保険の要件としては以下のようになります。
・あなた、またはあなたと生計を一にする親族の家屋で、常時居住していること ・居住している人の生活に通常必要な家財を保険または共済の目的としているもの ・地震もしくは噴火等で直接間接に被害を受けたものを補填する契約のうち、地震等による損害部分の保険 また、損害保険料の控除も平成19年度から制度が変わり、損害保険料のうち地震保険料に関してのみ控除の対象になるようになりました。それまで掛けていた保険については、一部の契約に関して経過措置がとられています。経過措置の取られている損害保険の要件は次のようになります。
・平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約であること ・満期返戻金がある契約のもの ・保険期間が10年以上のもの ・平成19年1月1日以降契約内容の変更をしていないもの
以上の条件に当てはまる契約の本年中に支払った保険料や掛金について経過措置の保険料控除が行われます。
5)地震保険料の控除額の計算
地震保険および長期損害保険料の経過措置分も保険料控除申告書で計算します。地震保険料も証明書の申告額を記入します。地震保険料の金額は計算式なしにそのままの金額になりますが、上限は5万円です。
長期損害保険料の経過措置分の金額は1万円まではそのままの金額で結構ですが、1万円を超えた場合は、申告額の半分に5千円を加えた金額となり、上限額は1万5千円となっています。生命保険料の控除額と違うのは、両方合わせての上限額が5万円であるというところです。
まとめ
保険料の控除は「所得控除」といって、所得金額から支払った保険料額に応じた控除をし、所得税の負担を軽くしましょうという考え方です。
所得税の課税方式が階段式になっているので、所得段階を下げることができれば、なかなかの節税効果が期待できます。生命保険や地震保険を掛けている人はもれなく申告しましょう。