国民健康保険料の月額はいくら?計算方法まとめ
自営業や年金所得者の方が主に加入している国民健康保険ですが、仕組みや保険料の計算が分かりづらいということをよく耳にします。そのような声にお応えすべく、国民健康保険料の仕組みや保険料の計算方法について分かりやすく解説していきます。
1)国民健康保険の仕組み
「国民健康保険」とは、国民健康保険法に基づく公的な医療保険制度です。会社などの健康保険等に加入していない方は全て国民健康保険に加入しなければなりません。
主な運営主体は市町村単位の自治体で、各自治体が国民健康保険用の特別会計を設けて管理・運営を行っています。また、運営に関する費用は加入者から徴収する保険料と国による国庫負担金、都道府県や市町村による公費負担により賄われています。 国民健康保険の加入者が支払う保険料は、加入している市町村により計算方法や保険料率が異なります。また、計算の詳細については各市町村のホームページでも確認することはできますが、基本的に以下の3項目に分けて保険料総額の計算を行います。
①医療分保険料 ②後期高齢者支援金分保険料 ③介護分保険料
それぞれの項目の保険料は、所得に応じて計算される所得割と被保険者の人数で計算される「均等割」、世帯当たりで賦課される「平等割」の合計額で算出されます。
2)具体的な計算例
ここからは具体的な計算例を見ていきましょう。今回は西日本の主要都市、大阪市の国民健康保険料について計算してみます。
前提条件
夫40歳、妻38歳、子10歳の3人家族で、夫は自営業で前年の所得金額が350万円、妻は専業主婦で収入がないものとします。また、扶養控除以外の特別控除等に関する項目は一切考慮しません。
大阪市における所得割の保険料率や均等割、平等割額については大阪市のホームページで確認することができます。
算定基礎所得金額:350万円‐33万円=317万円
①医療分保険料 A所得割額:317万円×7.94%=251,698円 B均等割額:19,879×3(被保険者数)=59,637円 C平等割額:32,949円 医療分保険料=A+B+C=344,284円
②後期高齢者支援金分保険料 A所得割額:317万円×2.87%=90,979円 B均等割額:7,038×3(被保険者数)=21,114円 C平等割額:11,665円 後期高齢者支援金分保険料=A+B+C=123,758円
③介護分保険料 介護分保険料のみ上記①②と異なり、被保険者の中に40歳から64歳の介護保険第2号被保険者がいる世帯にかかります。
A所得割額:317万円×2.49%=78,933円 B均等割額:7,975×1(介護保険第2号被保険者数)=7,975円 C平等割額:9,525円 介護分保険料=A+B+C=96,433円
年間保険料合計額=①+②+③=564,475円
年間保険料は564,475円となり、月額約47,093円の保険料支払いとなります。本来①②③の計算結果で発生する保険料は自治体によって10円未満、または100円未満の端数を切り捨てますが、計算過程をわかり易く紹介するために今回は端数処理をしていませんのでご了承ください。
また、大阪市ではそれぞれに計算を行う①②③の保険料には下記のような上限金額が設けられており、年間保険料85万円、月額70,833円が支払保険料の上限となっています。
①医療分保険料 52万円 ②後期高齢者支援金分保険料 17万円 ③介護分保険料 16万円
3)主要都市の保険料
上記計算例は大阪市でしたが、その他の主要都市では同条件で計算すると以下のような保険料が算出されます。
主要な都市間でもかなり年間保険料に差があることがわかると思います。これは各自治体により保険料率が異なることが原因です。
また、自治体によって計算方法も異なり、中には世帯あたりに賦課される平等割がない自治体も存在しています。所得の金額や控除条件によっては異なる計算結果が出てきますので、あくまでもこちらの計算結果は参考までに捉えてください。
4)居住している自治体と所得によって変わる保険料
ここまで国民健康保険料の仕組みと計算方法を見てきましたがいかがでしょうか。保険料を決定するポイントは居住地のある自治体と所得の金額で、特に居住している自治体によっては保険料に大きな差が出ます。
また、家族構成や年齢によっても保険料が大きく異なりますので注意が必要です。詳細な国民健康保険料の計算を行いたい方は居住地自治体のホームページに計算方法や保険料率が記載されていますので、参考にしてみてはどうでしょうか。