国税庁が通達「タワーマンションを使った過度な節税はNG」
国税庁は、タワーマンションの購入による相続税の節税に関して、課税を強化する通達を各国税局に出しました。今回は、このタワーマンションを使った節税のメカニズムと、なぜ課税が強化されたのかその経緯を紹介します。
1)タワーマンションを使って節税のナゾ
まず気になるのは。一体どのようにしてタワーマンションを使って節税が行われていたのかということではないでしょうか。相続税の仕組みを理解すると、節税も理解できるので説明していきましょう。
相続税では、相続した財産の評価額を取得したときの時価で算出することになっています。しかし、土地の場合、財産の評価方法が、一般的な市場での取引価格を上回らないよう「評価の安全性」を重視するため、財産の評価額が時価よりも低くなることがあります。 <参考>知らなきゃ損する相続税の節税方法を税理士が解説
マンションは、敷地に対しての部屋の面積の割合によって評価額が決まるので、タワーマンションのような戸数が多い不動産では評価額が下がる傾向にあります。また、マンションの場合、高層階でも低層階でも面積を基準にするため、高層階は特に節税のメリットがあるとされています。
2)場合によっては7倍の開きも
こうしたタワーマンションを使った相続税の節税は、高層階の物件を購入することができる富裕層を中心に広がっていることもあり、かなり多くの節税効果があるとされています。国税庁の調査によると、評価額が3600万円の物件が1億円で売られたケースなどもあり、実際の評価額との開きはかなり大きく、7倍もの開きがある場合もあったそうです。
こうした評価額の開きが今回の課税の強化の通達に繋がったことは間違いないとみていいでしょう。
3)2015年から相続税は大増税
また、こうした節税の動きの背景には、2015年より改正された税制の影響もあると考えられます。改正により、相続税の基礎控除はそれまでの約6割まで縮小されました。そのため、国民の5%ほどしか適用されていなかった相続税ですが、適用される人がかなり多くなっています。
また、控除が縮小されたため、財産を効率よく残す手段も出てきており、その1つが今回のタワーマンションを購入することによる相続税の節税だったといえるのです。
まとめ
過度な相続税の節税は、国税庁からのチェックも厳しくなります。常識の範囲内・法律の範囲内で節税を行うようにすることが必要なようです。