消費税の軽減税率により、たばこ税大幅引き上げか
2017年4月の消費税増税に伴い、生鮮食品、加工食品に軽減税率を導入することで与党は大筋合意をしましたが、問題となるのは、軽減税率に伴う税収減の補てんとなります。現在政府や与党が検討しているのは、どうやらたばこ税の大幅引き上げのようです。今回は、たばこ税やその他の税についての動向を説明します。
1)与党がたばこ税大幅引き上げを検討
政府は、軽減税率の代替税源として、たばこ税の増税を検討しています。前回たばこ税が増税されたのは2010年の10月。この時は100円以上の値上げになりました。今回は、さらに1本あたり3円ほどの値上げを見込んでおり、一般的な20本入りのたばこであれば、60円程度の値上げが予想されます。
また、これとは別に、去年の税制改正大綱では、たばこ税が安くなる特例が廃止されることが決定しています。こちらは、来年の4月、再来年の4月に20円の引き上げ、さらに2018年4月には30円、2019年4月には59円の引き上げが予定されています。
2)たばこ税、大幅引き上げの問題点
このようなたばこ税の大幅引き上げですが、問題点もあります。今回の値上げにより見込まれる税収増は約4500億円とされていますが、過去の引き上げ例を見てみるとそれまでの効果は得られない可能性が高いです。2010年の大幅引き上げでは、大きな税収増が見込まれましたが結局禁煙に踏み切る人が多く出たこともあり、税収はほぼ横ばいとなっています。更なる引き上げによって、税収が減ってしまう可能性もあるでしょう。
3)税収以外の効果も期待される
世界保健機関(WHO)は、喫煙に起因する健康被害を減らすため、各国にたばこ税を販売価格の75%まで引き上げるように提言しています。たばこ税の大幅引き上げによって喫煙者数が減少すると、たしかに目先の税収は減少してしまいますが、医療費の削減になり、国にとっても最終的なメリットの方が大きくなることも期待できます。
まとめ
今回の税制改正大綱では盛り込まれませんでしたが、たばこ税の大幅引き上げだけでなく、ビール税の統一により、安価な発泡酒や「第3のビール」は値上げする方針も示されました。軽減税率によって生活に必要な物品の税率は抑えられますが、たばこのような嗜好品にかかる税率は高くなっていくのかもしれませんね。