知っておきたい請求書の保存期間 法人と個人事業主の違いとは
ビジネスで溜まってしまいがちなのが領収書。領収書は大量になってしまうことも多いため、保存に頭を悩ませることも多いですが、独自の判断で捨ててしまってもいいのでしょうか。ここでは、請求書の保存期間について、法人と個人事業主に分けて説明します。
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1)請求書の保存期間は法律で定められている
請求書や見積書、納品書を合わせて「証憑類」といいます。これらの書類は一定期間、保存しておかなければいけないことが決まっています。保存期間は、法人税法、所得税法、消費税法などで定められています。ですから、決算や確定申告が終わったからといって、勝手に捨ててしまってはいけません。これらの証憑類は、欠損金の繰越控除の適用とも関係があり、税務調査が入った場合などにも必要になります。
2)請求書の保存期間について(法人の場合)
法人の場合、請求書は、原則として、7年間の保存が義務付けられています。この保存期間のカウントの方法は、請求書の発行日ではなく、その決算期の税務申告の期限から7年間なので注意が必要です。例えば3月末が決算の法人では、5月末が申告期限になります。その場合、5月末から起算して7年間の保存が必要です。
2011年から、法人の欠損金の繰越控除が9年に延長されています。それに伴って、2008年4月1日以降に終了した事業年度で欠損金が発生した場合は、9年間にわたって保管する必要があります。
3)請求書の保存期間について(個人事業主の場合)
個人事業主の請求書の保存期間は5年間です。青色申告の申請をしている方も、白色申告でも同じ5年間の保存が必要です。以前は、事業所得が300万円以下の白色申告の場合、帳簿や書類の保管義務はありませんでしたが、2014年以降は保管が義務付けられたので、新たに対象となった方も忘れずに保管するようにしましょう。
個人事業主も法人と同じように、請求書の保管期限は確定申告の申告期限日から5年間です。個人事業主は暦年で課税されるので、毎年の3月15日が申告期限日ですが、その日からカウントして5年間の保管義務があります。個人事業主の請求書の保管期間は法人より短いですが、帳簿は7年間保管する必要があります。請求書などの証憑類も7年間保管するようにすれば間違いがありません。もし、税務調査に入られて証憑がなかった場合、保管義務のある書類等がないと青色申告を取り消されてしまう恐れがあります。
4)消費税の納税義務者になったら7年間の保管が必要
所得税における個人事業主の請求書の保存期間は5年間ですが、消費税法では7年間の保管が義務づけられています。2つの法律で期間に違いがありますが、このような時は期間の長い方が適用されます。売り上げが伸びて、消費税の課税事業者になったら、請求書などの証憑類は7年間保管しましょう。
まとめ
請求書などの証憑類や帳簿は、さまざまな法律によって保存期間が定められています。そのため、もう必要ないからと言って勝手に捨ててしまうと、後で困った事態を招きかねません。大量の書類は保管場所に困ることもありますが、期間を守ってきちんと保管しておきましょう。