ご存知ですか?個人事業税の納め方と計算方法について

個人事業税とはその名の通り、「個人が行っている事業」にかかる税金です。副業をしていないサラリーマンの方には縁がない税金と言えます。 各都道府県内に事務所・事業所を設けている、70種類の法定業種のいずれかを行っている方が対象になります。個人事業税は、ほとんどの個人事業主に関係することになります。
個人事業税は、国税として「税務署」に納付する所得税や消費税(消費税は一部地方税)とは別のもので、地方税として「都道府県税事務所」に納付する税金です。 個人事x業主の方は、国税である所得税と消費税(一部地方税)の他に、地方税である住民税と、個人事業税を納める必要があります。
個人事業税の納付時期は8月と11月
個人事業税は、通常8月と11月に納付することになります。個人事業税は、毎年3月15日までに行う確定申告をもとに計算されます。確定申告時には、申告書の「事業税に関する事項」欄に必要事項を記入するようにしましょう。
後日、第一期分(8月分)と第二期分(11月分)の納税通知書が郵送されるので、期限内に納めます。個人事業税を納めた場合、その金額は「租税公課」勘定で処理して事業の経費に計上するようにしましょう。
(※年の中途で事業を廃止した場合は、確定申告とは別に、廃業の日から1か月以内(死亡による場合は4か月以内)に個人の事業税の申告をしなければなりません。)
年間の事業所得が290万円以下の場合は、個人事業税は納付しなくてOK!個人事業税の計算方法と控除について
・計算方法 はじめに、個人事業税の計算式は簡単に示すと次の通りです。
課税所得金額(収入 − 必要経費 − 専従者給与等 − 各種控除)× 税率 = 個人事業税
不動産所得がある場合、その金額も含めます。また、家族従業員などの専従者がいる場合には、一定額を必要経費として控除します。 青色申告の場合は専従者への給与支払額、より簡易な白色申告の場合は、配偶者で86万円、その他は1人50万円までを控除することができます。
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個人事業税の税額は、「課税所得金額」から控除を差し引いたものに、税率を掛けた金額になります。 (※所得税で適応される青色申告特別控除は、個人事業税には適用されないので注意しましょう。)
・事業主控除 個人事業税では、1年間営業していれば一律で290万円が控除されます。1年未満の場合は、月割額を控除することができます。従って、事業所得(収入金額-必要経費)が290万円以下の場合は、個人事業税を納付する必要はありません。 つまり、計算の結果、納付する義務が発生しない場合もあるということです。
・繰越控除 繰越控除とは、青色申告者で赤字の場合、その損失を翌年以降3年間繰り越すことです。赤字の分だけ、各種税金の負担が軽くなります。 原則として、所得税、住民税、事業税の申告のいずれかを、毎年一定期限内に行っていることが条件となるので、きちんと申告をするようにしましょう。
個人事業税の税率について
個人事業税の税率は業種によって異なり、税率は3%〜5%となります。
第1種事業では、税率は5%です。第2~3種事業に該当しない37の業種がこれに該当します。例えば、物品販売や不動産業、飲食店などが該当します。
第2種事業は、畜産業・水産業・薪炭製造業の3業種で、税率は4%となります。
第3種事業では30業種あり、税率は3%~5%となります。あんまやマッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復などは3%です。 その他の業種については税率5%となります。5%税率の業種の一例を挙げると、医業や士業、デザイン業や理美容業(銭湯)などが挙げられます。
自分の業種の税率について、きちんと確認するようにしましょう。
個人事業税の計算例
ここでは、個人事業税の計算例について見ていきましょう。
・不動産貸付業を営んでいる個人事業主。 収入が1,500万円、経費が500万円、青色専従者給与50万円の場合。
収入1,500万円 ‐ 経費500万円 ‐ 青色専従者給与 50万円 − 事業主控除 290万円)× 5% = 33万円 従って、個人事業税は33万円となります。これを8月と11月の2回に分けて納付します。
まとめ
いかがでしょうか?個人事業税は、事業所得が290万円以上出ている個人事業主が、8月と11月の年に2回納める地方税です。 個人事業税を納付する頃に、納税通知書が届いていない場合は、営業届を出している都道府県の市役所または税務署に確認するようにしてください。納めた個人事業税については、租税公課勘定で経費計上するようにしましょう。