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2016年08月30日(火)

個人事業主や小規模企業の経営者が“自分で”帳簿をつける意味

経営ハッカー編集部
個人事業主や小規模企業の経営者が“自分で”帳簿をつける意味

経営者の帳簿

1.個人事業主や小規模企業の経理の現状

税理士事務所で勤務しており、税務申告をはじめ、経理指導、年金相談などに従事していたのですが、当時担当していたクライアントさんは個人事業主や中小企業が多く、そのほとんどが1人もしくは2、3人で運営されていました。

そういったクライアントさんのほとんどは「帳簿をつける時間がないからすべておまかせします」、「帳簿をつける作業は面倒くさい」などとおっしゃって、税理士事務所に丸投げされるという感じでした。

「帳簿をつける時間がない」とか「面倒くさい」という経営者の忙しさはよくわかります。自営業をやるようになってなおいっそう彼らの気持ちがわかるようになりましたが、帳簿付けの作業は毎日しています。帳簿をつける目的は税金の計算をするためと言われる方がいます。まんざら間違いではありませんが、本来の目的は「お金の流れを把握し、経費のムダがないか確認する」ことです。

2.経営者自ら帳簿をつけることで見えるモノがある

最近の経理ソフトは仕訳がわからなくても大丈夫になっていますが、きっちり仕訳できるようにならなければいけないというわけではありません。おおまかで結構なのです。自分で帳簿をつけることを心がけましょう。

専門的なことこそ税理士事務所に任せればよいでしょう。ただ、どういった費用が必要経費になるのかなどは、事業を行うにあたって知識として入れておかなければなりません。実際に支出がなされてから事業経費にはなりませんということでは困ります。 

先ほどの話に戻します。自分で帳簿をつけることを勧める理由は、現金や預金が増えたもしくは減った「原因を探る」ことにあります。これはとても大事なことです。通常の業務が終わってから帳簿つけをして1日の仕事を終了させるというように、毎日の作業に組み込むことを勧めます。

毎日帳簿をつけているのであればこういった事務作業は10~20分で終わります。現金や預金が増えた、もしくは減った理由は業種にもよりますが、だいたいある程度決まっています。

例えば「売上により預金が増えた」とか、「仕入れにより預金が減った」、「人との付き合いで現金が減った」などわかってきます。そうするとなぜ増えたの?なぜ減ったの?という事になりますね。原因分析はそこから始まります。

税理士事務所側の立場で言うと、頂いた資料の範囲内ではどういった原因で売上や仕入、その他の費用の増減はわかります。ただし詳細については税理士事務所側では把握できません。税理士事務所は他人であって、クライアント様の事業のすべてを理解できるわけではありません。

3.支出をどうにか減らせませんか?

売上の増加がなかなか見えてこないときこそ支出をどこで抑えるかが大切です。売上を増やすのはお客様の共感を集める必要があります。その点、支出を減らすのは自社だけでどうにかなる話ですから、売上を増やすことよりは簡単です。

分析の仕方としては先述しましたが、まずどういった支出があるか把握しましょう。一般的には電気代、ガス代、水道代、ネットなどの通信費、保険料、交際費といったところでしょう。

それができるようになったら毎月の変動を見ていきます。ある程度月ごとの集計ができるようになると「なんでこの月だけこの支出が多いんだ?」、「そもそもこれに支払う必要があったの?」など考えるための素地ができます。

実際は水道光熱費や通信費、保険料などについては契約の見直しなどの相談をして支出を削減していくということも考慮する必要があるでしょう。そのように自社にお金を残すための方法を考える素地を作ることができるわけです。

4.節税対策として気をつけなければならないこと

 売上も上々で経費の支出を抑えられるようになれば、自然と利益がたくさん出るようになります。そうなると確定申告の時期が迫ってきた時に、税金を減らす目的で「30万円未満の備品を購入されても良いでしょう」というアドバイスをされる税理士(or 監査担当者)の方もいらっしゃいます。しかし、このアドバイスを受けた時はちょっと注意が必要です。この節税について丁寧に解説してくれるならいいのですが、節税の効果だけ説明されるという話を昔はよく聞きました。   この場合の判断の仕方としては、実際に事業用として必要な物があるというのであれば決算日を迎える前に購入される方がいいです。節税対策として費用を作るということです。すなわち利益を減らすことで税金を減らすことができるということです。

もし、特に買う予定がないのであればこの節税方法は受け入れないほうがいいです。そのまま税金を払うほうが手元にお金は残ります。

備品購入資金 > 節税対策により払わなくて良い金額

という関係があるからです。税金を払うとなんだか損した気分になると言われることもあります。それもわかりますが、必要のない支出をして運転資金を減らすことのほうが問題です。

節税になることが全ていいということではありません。こればかりは税理士事務所の方とコミュニケーションを取って知識を入れていくことが必要になります。それこそ自分で帳簿をつけていると具体的な話もできるわけですね。

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