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2016年10月19日(水)

青色事業専従者給与とは?

経営ハッカー編集部
青色事業専従者給与とは?

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青色事業専従者給与とは

 個人で事業をされている個人事業主の場合、家族で事業をされているという場合が多くあります。その場合、配偶者又はその他の親族(以下「配偶者等」という。)へ給与を支払うことがありますが、一緒に生活をしている配偶者等への給与の支払いは、原則として必要経費とはなりません。

 しかしながら、青色申告という届出をしている青色申告者の場合には、一定の要件の下に実際に支払った給与の額を必要経費とする青色事業専従者給与の特例があります。

この青色事業専従者給与の支払いを受ける者を、「青色事業専従者」あるいは「青色専従者」又は単に「専従者」などと呼び、この制度又はその給与を、「青色事業専従者給与」あるいは「専従者給与」などと呼びます。

青色事業専従者給与の要件と判定フローチャート

 青色事業専従者給与として、配偶者等への給与の支払いが必要経費と認められるためには、まず青色申告者であることが必要となります。青色申告者となるためには、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までか、新たに事業を開始した年は、事業開始後2か月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要があります。

 なお、青色申告者でない白色申告であっても、配偶者等へ給与の支払いがある場合には、「事業専従者控除」を受けることができますが、最高で86万円(配偶者以外の親族は50万円)までの控除となります。

青色申告者は、青色事業専従者給与だけでなく、最高65万円の所得控除が受けられる「青色申告特別控除」など、様々な税制面のメリットがありますので、事業を開始した際は、忘れずに2ヶ月以内に青色申告の届出をしておきたいところです。   青色申告者であり、配偶者等への給与の支払いがある場合、青色事業専従者給与として認められる要件は、次のとおりです。

  1. 次の要件のいずれにも該当する青色事業専従者に支払われた給与であること。
    1. 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
    2. その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
    3. その年を通じて6月を超える期間(または2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
  2. 「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。  提出期限は、青色申告の届出書と同じく、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日までか、事業を開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内です。この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載することになっています。
  3. 上記の届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
  4. 青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。 過大とされる部分は必要経費とはなりません。

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(注1)「生計を一」とは、同一生計であるか、家計の支払いが同じであるかを意味するものですが、必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。 (注2)年齢が15歳以上であるかは、その年の12月31日現在で判定します。 (注3)原則として、その年を通じて6月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら従事していることが必要となります。専らとは、諸要素を勘案し、社会通念にしたがって判断すべきものとされており、画一的な判断をすることはできませんが、僅少な時間の従事だけでは認められず、納税者の事業に相応に従事していることが求められます。また、事業の中途開廃業や休業、事業に従事する者の婚姻や長期の病気等があった場合、6月超ではなく、事業に従事することができる期間の2分の1を越える期間で問題ありません。 (注4)給与の額が、一般的な労務の対価として妥当であることが求められます。実労働時間や業務内容と比較して不相当に高額な給与を支払っている場合には、過大とされる部分は必要経費とは認められません。勤務実態のない給与の支払いや、他の勤務者や、役員より高額な給与の支払いは認められませんので、合理的な範囲の給与額を設定し、日々の勤務時間や業務内容については記録を残しておくことが求められます。 (注5)この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額が上限となります。

青色事業専従者給与、白色事業専従者給与、配偶者控除、扶養控除の違い

 青色事業専従者給与は、給与の額を必要経費とすることができますが、配偶者控除や扶養控除を受けることはできなくなります。給与の額を低くし、年収ベースで103万円以下とすれば、青色事業専従者給与と配偶者控除、扶養控除を共に受けられると考えられている方もいますが、「青色事業専従者でないことが、配偶者控除&扶養控除の条件」とされておりますので、両制度を併用することはできません。

 また、白色事業専従者給与は配偶者控除、扶養控除より控除額は大きくなる可能性が高いですが、青色事業専従者給与と比較すると節税額は小さくなる可能性が高くなります。 image01 (注1)一般の控除対象配偶者とは、老人控除対象配偶者以外の控除対象配偶者をいいます。 (注2)老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。 (注3)一般の控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます。 (注4)特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人をいいます。 (注5)老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。 (注6)同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者又はその配偶者の直系の尊属(父母・祖父母など)で、納税者又はその配偶者と常に同居している人をいいます。

青色事業専従者給与を活用した節税方法と上限金額

 青色事業専従者給与は、白色事業専従者給与や、配偶者控除、扶養控除等とは異なり、届出書記載の範囲内で労務の対価として相当である限りは、必要経費となる金額に上限はなく大きな節税効果が期待できます。

 例えば、世帯主のご主人様が事業者で、配偶者の奥様は専業主婦をしているような場合、通常であれば、一般の控除対象配偶者として38万円の控除額となりますが、青色事業専従者として事業に従事し、月額8万円の給与を支払った場合には、96万円が必要経費と認められ、その差額58万円に税率を乗じた金額が節税額となります。事業所得が500万円であった場合は所得税・住民税等はおおよそ3割で計算できることから、この場合では約12万円の節税効果となります。

しかしながら、青色事業専従者の給与が月額8万8千円を超えると、専従者側で税金が発生してきます。そのため、節税効果の最も高い給与支払いを求めるためには、事業主、青色事業専従者それぞれの納税額を計算する必要がありますが、所得が高くなるほど、税率は高くなるため、ある程度の所得がある場合には、事業主、青色事業専従者の所得額が概ね等しくなる水準が最も節税効果の高い結果となることが多いと言えます。

ただし、支払給与が必要経費と認められるためには、労務の対価として相当であると認められることが大前提となることにご留意ください。

青色事業専従者給与の届出、源泉徴収、年末調整

 青色事業専従者給与の制度を利用するためには、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要なことは先に述べた通りですが、青色事業専従者がはじめての給与の支払いである場合には、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出が別途必要となります。この届出は、開設事実があった日から1か月以内に提出が必要となります。

また、アルバイトであっても正社員であっても、仕事をしてお給料を貰うときには、税金や社会保険の源泉徴収が行われた後の金額が支給され、年末には年末調整が行われることはご存知の通りかと思います。この源泉徴収、年末調整は、青色事業専従者給与であっても原則として必要となり、たとえ奥様への給料の支払いであっても源泉徴収義務が発生します。

源泉徴収を行った税金は、原則として給与を支払った翌月の10日までに事業者が納付をする必要がありますが、毎月の作業は煩雑であることから、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」を行うことにより、年2回(7月、1月)の納付とすることができます。

なお、月額8万8千円以下の給与の場合には所得税がかからないため、源泉徴収を行う必要がありません。そのため、トータルでの節税額を考慮しながら、源泉徴収や年末調整の手続きが煩雑である場合には、給与の支払いが月額8万8千円以下となるよう事業に従事すると良いでしょう。

また、源泉徴収の有無に関係なく、「給与支払報告書」については、年に一度、支給した者の1月1日に居住する市町村に提出する必要があります。これらの届出や手続きについては少々複雑なところもありますので、税務署や税理士、会計事務所へ相談されることをお勧めします。

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