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2018年06月12日(火)

未納NGな「国民年金保険料」のおトクな払い方

経営ハッカー編集部
未納NGな「国民年金保険料」のおトクな払い方

フリーライター(元東京国税局職員)の小林義崇です。

フリーランスなどの個人事業主には、「国民年金保険料」を支払う義務がありますが、サラリーマンのように給与天引きされませんので未納になりがち。

しかし、未納のままで放置していると、様々な問題が起きてしまいます。そこで今回は、未納による影響を説明し、国民年金保険料をおトクに納付する方法を紹介します。

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国民年金保険料を支払わないとどうなる?

フリーランスなど、個人事業を営んでいる個人は、「国民年金第1号の被保険者」という扱いになり、毎月16,340円(平成30年度)の国民年金保険料を納付しなくてはなりません。国民年金保険料は、税金と同様に納付義務があるため支払わないと「未納」となり、年金事務所から支払いを求められることになります。

さらに未納のまま放置していると、年金事務所による財産調査や差押えなどの強制徴収が行われるケースもありますから、できる限り期限内に納付しておきたいところです。毎月現金で納付すると失念しがちですから、口座振替の手続きをしておくと安心でしょう。 また、国民年金保険料の未納は、将来の問題にもつながります。未納のままでいると、将来受け取る年金が減らされるのはもちろん、最悪のケースはまったく受け取れなくなる可能性があります。

老後(現在の制度では65歳以降)に年金を受け取るには、「受給資格期間」が最低10年間必要なのですが、未納期間は受給資格期間にカウントされないからです。たとえば、国民年金を8年間支払っていて、残りの期間は未納だとすると、8年間納付した保険料は無駄になってしまうということです。

国民年金保険料を払う余裕がなければ、「保険料免除・納付猶予」

それでは、収入が足りずに納付できないのであれば、どうすれば良いのでしょうか? その場合には、「保険料免除」(以下「免除制度」)の手続きを取るようにしましょう。

免除制度は、所得が少ない場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが難しいと年金事務所が認める場合、国民年金保険料の一部が免除されるというもの。

所得金額に応じて、「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4種類があります。たとえば、全額免除になる所得基準は、以下のとおりです。

前年所得≦(扶養親族等の数+1)✕35万円+22万円

免除制度を受けた期間は、さきほど説明した「受給資格期間」にカウントされるうえ、将来年金を受取る際にも、満額ではありませんが一部支給されます。以下の具体例を見てください。

【40年間全額納付した場合】
受取年金額:779,300円(年額)

【40年間全額免除を受けた場合】
受取年金額:389,700円(年額)

このように、国民年金保険料を納付していなくとも、免除制度の手続きを取ってさえいれば、満額に対して約2分の1の年金を受け取ることができます。もし未納のまま40年間放置していると、将来の年金受取額はゼロですから、きちんと手続きをしておいたほうが良いでしょう。

ちなみに、国民年金にはこのほかに「法定免除」という制度があります。対象者は生活保護を受けている方や、障害年金を受けている方など、ごく限られたケースですが、国民年金保険料が全額免除されます。法定免除を受けた場合も、免除制度と同様、満額の約2分の1の年金を将来受け取ることができます。

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日本年金機構ホームページより引用>

また、いったん免除制度を受けていたとしても、いずれ経済的なゆとりができれば、後から「追納」することも可能です。年金事務所で追納の申し込みをして、過去に免除制度を受けていた期間の分を納付すると、将来の年金受取額を満額にすることができます

ただし、追納ができるのは、過去10年以内のものに限られており、昔のものであればあるほど、「追納加算額」という追加支払いが発生しますので、できるだけ早めに追納すると良いでしょう。

免除制度の手続きは、年金事務所にて行います。免除をできる期間は、申請書を提出した月から2年1ヶ月前から、翌年6月分(1月〜6月に申請する場合は、その年の6月分)までであり、過去の未納分もある程度カバーできます。

国民年金保険料は“早めに”、“多めに”支払うのがおトク

一方、もし収入に余裕があるのであれば、国民年金保険料の前払いである「前納」をすることで、納付額を抑えることができます。前納には、「半年前納」「1年前納」「2年前納」があり、それぞれ以下のとおり保険料が割引されます。

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日本年金機構ホームページより引用>

もっとも割安になるのは「2年前納」であり、2年分のトータルで約15,000円割安になります。前納をする場合は、「現金払い」「クレジットカード払い」「口座振替」によって手続きが異なるため、最寄りの年金事務所にて必要な書類を提出してください。

最後にご紹介するのが、「国民年金の付加保険料」についてです。この制度は、毎月納める国民年金保険料に月額400円を多めに支払うことで、将来の受取額を増やすことができるというもの。いったんは負担額が増えるものの、将来の年金受取額に与える影響が大きく、支払いが可能であればぜひ利用したい制度です。

【付加保険料に関する計算式】
支払額:毎月400円
受取額:200円✕付加保険料納付月数(年額)

それでは、具体的にどれくらいメリットがあるのか、仮に40年間付加保険料を納付したとして検証してみましょう。

支払額:400円✕480月=192,000円(総額)
受取額:200円✕480月=96,000円(年額)

この受取額は年額のため、たとえば85歳まで生存したとすると、65歳から年金を20年間受け取れますので、トータルで増える年金額は1,920,000円。元金が10倍まで増えています

付加保険料は、年金受取開始から2年以上生存すれば元を取れる計算ですから、リスクも極めて少ないです。そして長生きすればするだけメリットも増えていくので、非常に有利な制度だと言えるでしょう。

ちなみに、私の場合は、「2年前納」+「付加保険料」というフルセットにしています。2018年5月1日が引落とし日だったのですが、夫婦合わせて773,140円との通知があり、慌てて引落し口座に資金を集めることに……。口座引落しの場合、残高不足だと未納になってしまうので、危ないところでした。

1981年生まれ、福岡県北九州市出身。埼玉県八潮市在住のフリーライター 西南学院大学商学部卒。 2004年に東京国税局の国税専門官として採用。以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事する。2014年に上阪徹氏による「ブックライター塾」第1期を受講したことを機に、ライターを目指すことに。2017年7月、東京国税局を辞職し、ライターとして開業。
twitter:小林義崇

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