所得税の非課税所得について
「所得税法上の所得」とは、1年間(1月1日~12月31日)に区切って把握できる、個人の経済力の増加といえます。そして、原則的にはすべての所得に課税がされます。
しかしながら、所得の内容によっては、課税するのが適当でないと考えられる場合があります。それを「非課税所得」といいます。
1)非課税所得の根拠はどこにあるの?
非課税所得は各種法律で定めているものに限定されます。ですので、法律の規定がなく非課税になるものはありません。所得税や租税特別措置法、雇用保険法、生活保護法などに規定があります。
ここで注意が必要な点は、法律が変わると非課税から除外される可能性があるということです。
2)非課税所得の種類
それでは、実際に非課税所得にはどのような種類があるのかを見ていきましょう。
①宝くじなど
・国内宝くじの当せん金・スポーツ振興投票券(toto)の払戻金 ただし、外国の宝くじ当選金は課税になりますのでご注意ください。
②オリンピック表彰など
・オリンピック競技大会における成績優秀者を表彰するものとして交付される金品は非課税となります。
もちろん2020年東京オリンピックでの表彰金品も非課税のままでしょう。
③公益目的のもの
・ノーベル賞の賞金、文化功労者年金、学術又は芸術奨励として交付される金品等
近年は、すばらしいことに日本人ノーベル賞受賞者が続いておりますが、賞金は非課税です。人類への貢献がはかりしれない事に対する賞ですからね。
⑤いわゆる実費弁済的なもの
・給与所得者の出張旅費等及び通勤手当(通勤手当は月100,000円までの部分) あくまでも、給与所得がある方にのみ適用されますのでご注意ください。
⑥政策的配慮のためもの
・遺族年金 ・雇用保険、健康保険、国民健康保険、生活保護等の給付 ・家具、衣服など不要な生活用品(生活必需品)の譲渡による所得
ここで注意が必要なことは、貴金属、宝石、書画、骨董、高級外車等で1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税になることです。また、もちろん事業で使用している自動車などの資産の譲渡による所得も課税になります。
・心身に加えられた損害などに対して受ける損害保険金、損害賠償金、見舞金等
店舗に損害を生じた場合の、収益の補償となる休業補償金や商品焼失に対する火災保険金など収入金額の性質のある損害賠償金等は課税対象になります。
⑦障がい者等の税負担の軽減
・障がい者等の少額預金で各元本が350万円までに係る利子所得等
この申告書を提出する際には、年金証書や障がい者手帳などの確認書類を提示する必要があります。
⑧貯蓄を奨励するためのもの
・勤労者財産形成住宅貯蓄の利子所得等
例えば、マイホームの取得目的などで行なう貯蓄を指します。しかし、目的外の払い出しの場合には過去に遡って課税されます。
まとめ
以上のような、さまざまな趣旨により各種の非課税所得があることをしっかりと把握して、不必要な所得を計上してしまうことのないように処理をしましょう。