地方消費税についてわかりやすく解説
はじめに
平成26年4月1日から、消費税の税率が8%に引き上げられました。実は、この8%の税率は、国税部分と地方税部分の2つに分けられ、8%のうち6.3%が国税部分、残る1.7%は地方消費税の税率です。ここでは、消費税に含まれる地方消費税について解説します。
1)地方消費税の意義
地方消費税とは何かを知るためには、まず消費税の仕組みについて理解する必要があります。消費税は、事業者が販売したモノやサービスの代金に上乗せして消費者に請求するという方式で、そのモノやサービスを購入した消費者が負担して、いったん事業者に支払うことになっています。
次に、事業者は消費者から預かった消費税を、消費者に代わって国の出先機関である税務署に納付します。
事業者が税務署に納付した消費税には、都道府県が収入するべき地方消費税も含まれていますが、この地方消費税部分は国がいったん預かったうえで、人口などの様々な統計数値にしたがって、各都道府県に分配されます。
2)地方消費税率の変遷
平成元年に3%で導入された消費税の税率は、平成9年4月1日に5%に引き上げられました。その際、5%のうち、国税部分は4%、地方税部分は1%と決められました。この時点では、地方消費税が消費税全体に占める割合は20%です。
平成9年の消費税率引き上げ後は、長らく5%の税率が維持されましたが、平成24年頃から政府が推進する「税と社会保障の一体改革」により、平成26年4月1日に消費税率が8%に引き上げられました。8%のうち、国税部分は6.3%、地方税部分は1.7%となりました。地方消費税が消費税全体に占める割合は21.25%となっています。
そして、消費税率は平成29年4月1日に、8%から10%へ引き上げられることが決定しています。もし予定通りに消費税率が引き上げられた場合には、10%のうち、国税部分は7.8%、地方税部分は2.2%です。この場合には、地方消費税が消費税全体に占める割合は22%です。したがって、地方消費税が消費税全体に占める割合は、わずかながら増加しているといえます。
3)地方消費税率引き上げの理由
消費税は導入当初には社会保障の拡充という名目で導入されましたが、その後の少子化・高齢化の進行により、社会保障費が増大したため、やむを得ず税率が引き上げられてきた経緯があります。
消費税率引き上げの際は、消費税率のうちに地方消費税率が占める割合を決定するにあたり、国と地方との間で財源をめぐる様々なやり取りがあります。社会保障費の増大に伴う地方の負担増に対して国が配慮する形で、地方消費税率の占める割合が増加してきた背景があります。
まとめ
・消費税率が5%、8%、10%と引き上げられるのと同時に、地方消費税率も1%、1.7%、2.2%と引き上げられている。
・消費税全体に占める地方消費税の割合も徐々に増している。
おわりに
少子高齢化に加えて、地方の過疎化がより深刻になれば、消費税率、地方消費税率ともに、さらなる引き上げが予想されます。