外国税額控除についてわかりやすく解説
1)外国税額控除とは?
日本は、居住地国課税を採用しており、居住者は、所得の生じた場所が国内であるか、国外であるかを問わず、全ての所得について日本で課税されます。一方で、国外で生じた所得について外国の法令で外国所得税の課税対象とされる場合、日本及びその外国の双方で二重に所得税が課税されることになり、これを「源泉地課税」といいます。
上記のように、同一の所得に対して居住地国課税と源泉地課税が発生すると、二重課税が生じます。このような国際的な二重課税を調整するために、一定額を所得税額(一定の場合には、所得税の額及び復興特別所得税の額)から差し引くことができ、これを「外国税額控除」といいます。
2)外国税額控除の計算方法
外国税額控除額の計算は、外国所得税の額、下記の計算式により計算した所得税の控除限度額を超えるか否かによって異なります。
所得税の控除限度額=その年分の所得税の額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)
上に示した計算式は、その年分の所得総額(=全世界所得)のうち、国外所得の割合しか控除できないことを意味しています。
3)外国税額控除の繰越控除制度
外国税額控除は、3年間の繰越制度があります。繰越制度には下記2つのケースがありますが、いずれにしてもそれぞれ3年間繰り越すことができる制度になっております。
1.外国所得税の額が控除限度額(所得税の控除限度額及び復興特別所得税の控除限度額と地方税控除限度額の合計額)を超える場合
その年の前年以前から3年以内の各年の所得税控除限度額のうち「繰越控除限度額」があるときは、その繰越控除限度額を限度として、その超える部分の金額をその年分の所得税の額から差し引くことができます。
2.外国所得税の額が控除限度額(所得税の控除限度額及び復興特別所得税の控除限度額と地方税控除限度額の合計額)に満たない場合
その年の前年以前から3年以内の各年において、納付することとなった外国所得税の額で控除限度超過額があるときは、「繰越外国所得税額」を一定の範囲内でその年分の所得税の額から差し引くことができます。
4)外国税額控除を受けるための手続
外国税額控除を受けるためには、下記書類等の添付が必要になります。
1.外国税額控除に関する明細書等
2.外国所得税を課されたことを証明する書類
3.国外所得総額の計算に関する明細書
また、3)外国税額控除の繰越制度を適用する場合は、下記書類等の添付が必要になります。
1.「繰越控除限度額」や「繰越外国所得税額」が生じた年のうち、最も古い年分以後の各年分について、その各年の控除限度額や納付することになった外国所得税の額を記載した書類
2.外国税額控除に関する明細書等
3.外国所得税を課されたことを証する書類
5)まとめ
上記の外国税額控除の解説から、外国税額控除をうまく活用するためのポイントは、外国税額控除の控除限度額の枠を有効活用すること、源泉地国で課税される税金を最小化することが重要となるのがわかります。
そのため、外国税額控除の控除限度額の枠を有効活用するためのタックスプランニングを作成すること、租税条約における減免規定を利用したりすることで、源泉地国において課税される税金を最小化することが重要となることがわかります。