お客様から受け取った消費税を、お店の事業者はどのように扱うことができるのか?
皆さんがコンビニで買い物をしたり、レストランで食事をしたりするときに必ず払っている『消費税』。
この消費税を「消費税を納税せず、会社の売り上げとして計上してしまうことがある」と言うと、酷い話に聞こえるかもしれませんが、実はこれ、当たり前のように行われており、また、税法的にも広く認められているのです。
つまり、アリかナシかで言うと、「場合によってはアリ」なのです。
どんな場合だと消費税を納めなくてもいいのか?
どういうことかと言いますと、前々事業年度(つまり2年前)の売上が1,000万円以下の事業者は、消費税を納める必要のない免税事業者になれるのです。(資本金1,000万円以上の法人は除く)
全国約380万の企業のうち、320万は小規模企業(※)ですが、この小規模企業の半分以上は売上1,000万円未満であることを考えると、全国の半分以上の企業は、免税事業者と考えられます。(※中小企業庁 中小企業白書2016 付属統計資料) では、このような免税事業者は消費税をお客様から受け取らないかというとそんなことはなく、ほとんどの事業者はしっかりとお客様から消費税を受け取っています。
この話だけを聞いてしまうと、多くの人が「不当に利益を得ている!」と思われてしまうでしょうが、決してそんなことはありません。ここでちょっと“消費税の仕組み”を考えてみましょう。
受け取った消費税より負担した金額が多い場合、還付を受けることも可能
そもそも消費税は、あくまでも最終消費者であるお客様が負担する税であり、サービスを提供する事業者が負担する税ではありません。ただ、お客様が買い物のたびにかかった消費税を計算して国に納めるのは極めて非効率ですので、事業者がお客様に替わって消費税を国に納めているのです。 ※消費税のように、税金を負担する人と実際に納める人が異なる税を『間接税』と呼びます。 さて、この消費税ですが、事業者はお客様から受け取った消費税をそのまま納めるかというとそうではありません。事業者もお客様から消費税を受け取るまでの過程において、色々な場面で消費税を負担しています。 飲食店を例にとると、まず食材の仕入に消費税がかかっています。また、店舗の家賃や水道光熱費等にも消費税の負担があります。 そのため事業者は、お客様から受け取った消費税をそのまま国に納めるのではなく、お客様にサービスを提供するまでの間に自身が負担した消費税を差し引いた金額を納めることになっています。
この際、もし事業者が赤字企業でお客様から受け取った消費税より、それ以前に自身が負担した消費税の方が多い場合は、納めすぎた消費税の還付を受けることも可能です。
※ただし、その事業者が免税事業者である場合は、納税義務が無い代わりに還付も受けられないのでご注意ください。
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まとめ
まとめると、もし事業者が免税事業者だったとしても、サービスを提供するまでの仕入等では消費税を支払っています。よって、お客様から消費税を受け取らなかったとすると、それまでに事業者が支払っていた消費税は、そのまま事業者の負担となってしまいます。加えて、消費税を納税しないということは還付も受けられないということであり、お店の事業者が美味しい思いをするということは実は殆どありません。
もちろん、それまでに支払っていた消費税以上の金額をお客様から消費税として受け取る事もありますが、そもそも売上が1,000万円以下の会社であるため、その金額は極めて限定的ではあります。そう考えると、免税事業者の制度は、極めて上手に作られていると言えるのではないでしょうか。