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2018年02月05日(月)

税務署長などの処分に異議あり!「不服申立手続き」のステップとは?

経営ハッカー編集部
税務署長などの処分に異議あり!「不服申立手続き」のステップとは?

税務署長等が行った更正などの課税処分や、差し押えなどの滞納処分に不服があるときは、「再調査の請求」として、処分を行った税務署長等に不服を申し立てることができます。

しかし、それはいかなる場合でも「不服申立」ができるのでしょうか?また、できない場合や例外事項はあるのでしょうか?

今回は、「不服申立手続き」の具体的なステップについて詳しく説明します。

更正処分とは何か?

納税者が提出した申告書に対し、税務署による独自の調査結果が異なっていた場合や、税額、所得金額などが法律に則ってきちんと計算がされていなかった場合に、税務署が提出されている内容を直すことを「更正」といいます。

更正の場合、請求書、領収書、納品書などの書類や帳簿をすべて国税局や税務署の担当者が預かり、本来納めるべきだった納税額を「決定」して通知します。

一方、「修正」という場合もあります。これは、調査官が調べた内容をもとに、顧問の税理士を交えて対象者の意見も聞きながら、本来申告すべきだった税額を算出していくというものです。 修正申告の場合はいろいろと意見を聞いてもらえますが、更正の場合は「決定」されてしまうため、それを覆すには自ら証拠を集めて「証明」しなくてはなりません。

不服申立の対象範囲は?

国税局や税務署から以下のような処分を受けた場合、納税者は「再調査の請求」と「審査請求」という2通りの方法で不服申立をすることができます。

  • 納税額を増やす更正
  • 申告を怠った場合の税額の決定
  • 無申告加算税や過少申告加算税など、ペナルティーを受けた場合の罰金の決定
  • 更正の請求をしたにも関わらず、その内容の一部もしくは全部が認められない場合
  • 税金を滞納していた場合の差し押さえ処分など
  • 青色申告の承認を取り消し

これは、納税者が不利益を被った場合に対する救済制度なので、「納税額を減らす」「還付金が増える」などのプラスにつながる処分に対する不服申立はできません。また、確定申告で申告額を間違えてしまった場合も、申告を間違えただけで「処分」されてはいないので、申立はできません。

(出典:国税庁「No.7210「不服申立て」ができる場合、できない場合」

「再調査の請求」と「審査請求」の違い

「再調査の請求」とは、国税局や税務署から下された更正や決定、滞納処分などに不服があるとき、これらの処分を行った税務署長又は国税局長に対して再調査を求めることです。

一方、「審査請求」は、税務署長や国税局長などが行った処分に不服がある場合に、その処分の取消しや変更を求めて、国税不服審判所長に対して不服を申し立てる制度です。

再調査の請求:処分の通知を受けた日の翌日から3ヶ月以内に再調査の請求書を作成し、所轄の税務署長もしくは国税局長に提出する

審査請求:「再審査の請求」の結果が届いてから請求する方法と、再調査の請求を経ずにそのまま審査請求する方法があります。再調査の請求をした場合は1ヶ月以内、直接審査請求する場合は3ヶ月以内に、審査請求書を作成して近くの国税不服審判所の支部もしくは支所に提出します。

どちらも、国税庁のホームページに請求書のフォーマットがあります。

(出典:国税庁「税務署長又は国税局長が行った更正や決定、滞納処分などに不服があるときの再調査の請求手続」 ) (出典:国税庁「国税庁長官に対する審査請求手続(処分用)」

再調査の請求や審査請求を経て、なお結果が不服だった場合は、訴訟手続きをとることができます。

2016年4月から国税不服申立制度が改正

2016年4月に国税不服申立制度が見直され、納税者は税務署等の処分に対して、異議申立て(再調査の請求)を行わずとも、第三者機関である国税不服審判所に「直接審査請求」ができるようになりました。

それまでは、税務署長などによる処分を不服とする場合、以下の2段階方式となっていました。

  1. 2ヶ月以内に税務署長等へ「異議申立」を行う
  2. 異議決定後の処分がさらに不服な場合は、国税不服審判所に「審査請求」を行う

この場合、処分を不服として異議申立をしても、担当者こそ違うものの、同じ税務署で同じ税務署長が判断を下すため、納税者の主張が受け入れられるケースはほとんどありませんでした。それが、今回の改正で異議申立(再調査の請求)をせずに直接国税不服審判所に駆け込めるようになったのです。これにより、2016年度の再調査請求は1,674件と、前年度の3,191件から大幅に減少しています。

一方、審査請求の件数は前年度の2,098件から2,488件に増加しています。審査請求の処理件数は1,959件で、うち納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数は、前年度比4.3ポイント増の241件となっています。納税者が税務署との「再対決」を避けて、直接審査請求するようになったことで、納税者の主張が受け入れられるケースが増えたと言えます。

(出典:国税庁「平成28年度における再調査の請求の概要」

改正後の「再審査の請求」はムダ?

今回の改正で、納税者は再審査の請求をせずとも、国税不服審判所に直接審査請求できるようになりました。

一見、再審査の請求は無駄のように思えるかもしれません。しかし、もし更正を受けた根拠があいまいに感じたり、税務調査時に自身の主張を伝えきれていなかったりした場合、再審査の請求によってお互いの論点を整理することで、その後審査請求した際の戦い方が変わる可能性もあるのです。

直接審査請求した場合よりも、再審査の請求の方が簡易で迅速に審理手続きが進むので、それほど複雑なケースでなければ、再審査の請求から進めても良いでしょう。

処分に納得できなければ不服申立を

更正処分をしてしまうと多くの納税者が不服申立をするため、税務署内の事務作業が煩雑化するという「事情」もあると言われています。そのため、税務調査官は修正申告で済ませたがる傾向にあるのです。

しかし、あくまで修正申告は「納税者が納得して提出するもの」なので、納得できない内容にまで従う必要はありません。ただし、不服申立をしない限りは、処分に従わなくてはならないわけです。

いざという時のために、「不服申立ができる」ということを頭に入れておきましょう。

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