福利厚生費とは | 福利厚生費の定義は曖昧?
「従業員のモチベーションアップのために社員旅行したんだけど…」 こんなときに使うのが福利厚生費です。 福利厚生費は、経費として扱われるので活用したいところですが、一方で様々なルールがあるので注意が必要です。
今回は、そんな福利厚生費の解説記事になります。 福利厚生費はデリケートな科目なので、きちんと抑えておきましょう。
*日本実業出版社の「経費で落ちるレシート・落ちないレシート」から抜粋・編集を行ったものです。
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福利厚生の定義は曖昧であることを抑えよう
税法上、福利厚生費に明確な定義はありません。 けれども一般的には、「全従業員のために支出した費用」を言います。
具体的にいうと、「会社がその従業員の生活向上と労働環境改善のために支出する費用のうち、給与、交際費以外のもの。そしてさらに、従業員の福利厚生のため、すべての従業員に公平であり、社会通念上妥当な金額までの費用」とされています。
そもそも、得意先や仕入れ先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用が、交際費です。 しかし、もっぱら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされるわけです。
なんだか曖昧な気がしませんか。国税庁のホームページを見てみても、はっきりと「コレとコレが福利厚生費」と細かく書いているわけではありません。福利厚生費は曖昧なのです。
経営者、事業主には福利厚生の概念はない
「社内の行事に際して支出される金額などで、次のようなものは福利厚生費となります(国税庁)」として、
①創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用
②従業員等(従業員等であった者を含みます)又はその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用(例えば、結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いなどがこれに当たります)
と書いてあるぐらい。
国税庁のホームページにはいろいろな解釈例も掲載されていますが、要するに曖昧でデリケートな経費ということです。「役員、事業主はダメ」と断定しているわけでもない。
しかし、そもそも法人税の考え方には「役員の慰安」というのはありません。あくまで福利厚生とは、雇用されている従業員に対するものであって、経営者、事業主には福利厚生の概念はないと考えるのが普通ですね。
先ほど話に出てきたスポーツクラブも、大企業などは法人会員になっていて、経営者も従業員も利用できるようなところもあります。 それならば個人企業やフリーランス、従業員がほとんど同族の零細企業ではむずかしいのか、ということになります。 しかしここは、個人企業は仕事とプライベートの区別がないから、福利厚生費は原則として認められないと解釈するのが妥当でしょう。税務署も、普通はそう考えてきます。
最後に
福利厚生費をはじめ、接待交際費、会議費等はデリケートな勘定科目です。 それだけに税務署も注意して見ているでしょう。しかもこれらの必要経費に限らないですが、必要経費になるかどうかの”認定基準”は、とくにデリケートです。
このような経費に関しては、すべて「仕事に役に経ったかどうか」を念頭においておきましょう。仕事のために使った経費はセーフ、家計や遊びなどに使った経費はアウト、と。これがいちばんシンプルです。
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