扶養手当と扶養控除の違いとは?2つの制度の違いを解説
「扶養手当」と「扶養控除」は言葉こそ似ていますがそれぞれ異なる制度です。
扶養家族がいる人にとって扶養関連の制度は大きな助けになるので、同じ扶養関連の制度でも「手当」と「控除」で何が違うのかについてしっかりと理解しておきましょう。
扶養手当とは
手当を支給するのは会社
扶養手当は別名だと家族手当とも呼ばれている手当で、支払い元は「会社」です。
扶養家族を持つ社員が会社から扶養手当の支給を受けるというもので、手当の金額に決まりはなく、手当を支給するかどうかも含めてそれぞれの会社が自社の裁量で決定します。
扶養手当を支給する会社が増えた理由
扶養手当が誕生したのは高度成長期と呼ばれた時代で、共働きが一般化している現代とは異なる価値観の中で出てきた発想です。
当時は結婚したら妻は専業主婦となって夫の扶養に入り、夫の収入で家族が生活するというのが一般的な家庭のあり方だったため、扶養手当が家族を持つ社員の経済的安定を支えて会社の安定にもつなげようという意味を持つ制度でした。
扶養手当の内容は会社によって異なる
扶養手当の詳細は会社ごとに決められており、すべての扶養家族を対象としているケースや対象年齢に該当する子どもの人数分だけ手当を支払うケースなどがあります。
公務員の扶養手当は、配偶者6,500円、子ども1万円、父母6,500円とされています。
扶養手当を受けるための条件
扶養家族の条件として参考にされているのが、税法上の扶養や社会保険の扶養のボーダーラインとされる年収103万円や130万円です。
あくまでも「扶養」している家族を対象に支払われる手当ということで、一定以上の所得がある家族は扶養対象外となります。
“パート収入が103万円以下でほかに所得がなければ、その方に所得税及び復興特別所得税はかからず、また、その方の配偶者は配偶者控除を受けることができます。”
<引用元>国税庁:家族と税
扶養手当の注意点
本来なら扶養家族ではない立場となっているのにもかかわらず、そのことを会社側に申告せず扶養手当を受け取り続けていたことが後に発覚した場合、扶養家族に該当しない期間に支払われた手当を返金するよう求められる場合があります。
扶養控除は税負担を減らす制度
扶養手当は「会社が支給してくれる現金」のことですが、扶養控除は「税負担を減らすための制度」です。
扶養控除は納税者に適用される制度であって、会社ごとに支給される金額が決められる扶養手当とは性質がまったく違います。
扶養控除は、納税者と同一生計の配偶者や子、父母など、3親等内の姻族および6親等内の血族などで年間所得が一定金額以下など、以下のような諸条件を満たしている人が被扶養者としてカウントされます。
一般の控除対象扶養親族:年間所得額は38万円以下で12月31日時点の年齢が16歳以上の扶養親族
特定扶養親族:年間所得63万円以下で12月31日時点の年齢が19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族
老人扶養親族(同居以外):年間所得48万円以下で12月31日時点の年齢が70歳以上の控除対象扶養親族
老人扶養親族(同居):年間所得58万円以下で納税者もしくはその配偶者直系の尊属
“扶養控除を適用するには、納税者に所得税法上の「控除対象扶養親族」となる親族がいなければなりません。”
<引用元>経営ハッカー:別居している家族でも大丈夫?扶養控除のポイント
児童扶養手当や特別児童扶養手当との違い
児童扶養手当は社会保障の一種で、「ひとり親に対して自治体から支払われる手当」として、子どもを扶養するひとり親の所得と扶養人数に応じた金額の手当が支給されます。
特別児童扶養手当は、「心身に障害を持つ20歳未満の子どもの保護者に対して国から支払われる手当」です。
まとめ
扶養という言葉が入る手当や制度がいくつかあると、どれも同じ基準で判断してしまいがちですが、会社から支給されるのは「扶養手当」のみで、それ以外にご紹介した制度は国や地方自治体の制度です。
本来ならば受けられる手当も申請しないとそのままになってしまうので、家族構成の変化等にすぐ対応できるよう制度について把握しておくようにしましょう。