フリーランス・個人事業主必見!世界一わかりやすい持続化給付金の解説
COVID-19の感染拡大によって事業に大きな影響を受けている中小企業・個人事業主を対象に、事業全般に使える給付金を支給する持続化給付金制度。
幅広い事業者を対象にした給付金制度ですが申請にはいくつか条件があり、提出しなければならない書類も複数あります。
この記事では、持続化給付金を受け取りたいものの制度や手続きがわかりづらくて悩んでいるフリーランスや個人事業主の方々のために、持続化給付金の制度と申請方法、いくら給付を受けることができるかの試算方法を網羅します!
また、これを機に売上台帳などの帳簿をつけた方に向けて給付金受給後に帳簿をつけ続け、確定申告を行うことのメリットを解説します。
後述しますが、日々事業の帳簿をつけることは給付金などの緊急支援を受け取る際だけでなく、他にも様々なメリットがあります。ぜひ給付金を受け取って終わりではなく、今後も帳簿を付け続けて確定申告を行うことをおすすめします!
※この記事は個人事業主、フリーランスの方向けの記事です。同様に持続化給付金の対象となっている中小企業は申請方法などこの通りではないのでご注意ください。
持続化給付金とは
持続化給付金はCOVID-19の感染拡大によって、2020年の1月から12月の期間において、ある月の事業収入が2019年の同じ月の事業収入の50%を下回った事業者に、最大100万円が支給される制度です。
例えば、2019年の4月の事業収入が40万円だった場合、2020年の4月の事業収入が20万円以下であれば給付の対象になります。
※これはあくまで一例です。確定申告の状況などにより計算方法が異なります。後ほど詳しく説明するのでそちらをご確認ください。
持続化給付金は事業全般に広く使える給付金となっており,詳細な用途は定められていないので、受給後は固定費の支払いや新規設備の購入など自由に使用することができます。
注意点として、5月27日現在持続化給付金は課税対象となっています。今後対象が外れることも考えられますがその点はご留意ください。
給付の対象
それでは早速、持続化給付金の受給対象要件を確認していきます。持続化給付金の支給対象は、以下の2つの要件に当てはまる人です。
※ただし、宗教法人と性風俗は支給対象から除外されています。
⑴2019年以前から事業収入を得ており、今後も継続して事業を継続する意思がある
ここでは、事業収入という点が問題になります。フリーランスとして活動してきた実績があっても、雑所得や給与所得で申告を行っていた場合は支給対象になりません。
ただし、5月22日の経済産業省発表によると、今後雑所得や事業所得で申告していた個人事業主、フリーランスも給付金の支給対象になるとのことです。詳細は発表されていませんが、6月中旬をめどに申請が始まる見込みとなっています。
⑵2020年1月以降、コロナウィルス感染症によって事業収入が前年同月比50%以下に減少した月がある
先ほど述べたように、2019年の同じ月に比べて事業収入が50%以下になっている月があることが条件となっています。前年比50%以下の月が複数ある場合でも、支給は1回のみになります。
結局いくらもらえるの?給付金額の試算方法
続いて、給付金がいくらもらえるのかを試算する方法を説明します。確定申告の状況によって、申請できる月が異なるのでご注意ください。
⑴青色申告をしている事業者
2019年度の確定申告を青色申告で行っていた人は、2019年度の同じ月の事業収入に対して50%以上収入が減少した月を申請します。
給付金の支給額は、①【2019年の総事業収入】から、②【前年同月比50%以上事業収入が減少した月の収入×12ヶ月】を引いた金額になります。
イメージがしやすいように、架空の個人事業主Aさんの事例で考えてみましょう。
Aさんの事業収入
2019年(万円) | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 |
30 | 45 | 50 | 50 | 45 | 20 | 65 | 55 | 40 | 55 | 45 | 40 | 540 | |
2020年(万円) | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 |
35 | 30 | 30 | 25 |
Aさんは2019年の4月の事業収入が50万円でしたが、2020年の4月は25万円まで減少してしまいました。この場合、持続化給付金の支給条件に当てはまります。
Aさんの支給額の計算は、2019年の総事業収入が540万円なので
①¥5,400,000-②¥250,000×12ヶ月=¥2,400,000
となります。この場合は支給上限の100万円を超えているため、Aさんには上限の100万円が支給されます。
⑵白色申告をしている事業者
2019年度の確定申告を白色申告で行った人は、2019年の月平均事業収入に対して事業収入が50%以上減少した月を申請します。
給付金の支給額の計算方法は①【2019年の総事業収入】から、②【前年月平均事業収入比50%以上事業収入が減少した月の収入×12ヶ月】を引いた金額になります。
こちもAさんを例に考えていきましょう。Aさんの2019年の総事業収入は540万円なので、月平均事業収入は45万円となります。この場合、2020年の4月は前年同月比では50%以下に減少していますが月平均事業収入と比べると50%以上なので申請することができません。
2019年(万円) | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 |
30 | 45 | 50 | 50 | 45 | 20 | 65 | 55 | 40 | 55 | 45 | 40 | 540 | |
2020年(万円) | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 |
35 | 30 | 30 | 25 | 20 |
1ヶ月経ってAさんの5月の事業収入が確定しました。Aさんの5月の事業収入は20万円で、2019年の月平均事業収入の50%以下なので条件に当てはまります。
Aさんの支給額の計算は
①¥5,400,000-②¥200,000×12=¥3,000,000
となります。上限の100万円を超えているので100万円が支給されます。
青色申告をしている事業者は基本的に⑴をもとにしますが、所得税青色申告決算書を提出しない場合は⑵の方法で申請することもできます。
上の例では、⑵の方法だと4月の事業収入では申請できません。そのためすぐに給付金がほしい場合は青色申告決算書を提出して申告するのが有利になります。
一方で、事業収入の状況によっては⑵を選択した方が良い場合もあります。以下のBさんの例だと2020年3月と4月の事業収入は2019年の平均事業収入の50%以下ですが、同月比だと50%以上です。この場合、⑵の方法で申請しなければ支給されないので祖色申告決算書は提出しないほうが良くなります。
Bさんの事業収入
2019年(万円) | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 |
30 | 25 | 25 | 20 | 25 | 45 | 55 | 65 | 40 | 55 | 45 | 40 | 470 | |
2020年(万円) | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 |
35 | 30 | 20 | 15 |
青色申告を行っていれば自身の状況に応じて⑴と⑵のどちらかを選択することができますが、白色申告を行っている人は⑴を選択することはできません。
ただし、今年は確定申告の期限が延長されているため、今からでも昨年の確定申告を青色申告で提出することができます。既に白色申告を済ませてしまった方でも、課税額が変わる
場合は申請を訂正し、修正申告をすることができます。
コロナウィルスの影響で事業収入が減ったにもかかわらず⑵の方法では給付の対象にならない方でも、青色申告を行うことで給付金を受け取るチャンスがあります!
申請に必要な準備
持続化給付金を申請するには、以下の書類を揃えたうえで持続化給付金のホームページ(https://www.jizokuka-kyufu.jp/)から申請する必要があります。
⑴確定申告書類
- 確定申告第一表(1枚)
- 所得税青色申告決算書(2枚)※青色申告の場合のみ
前述したように青色申告決算書は任意での提出となりますので、確実に必要なのは確定申告第一表です。青色申告決算書を提出しない場合は、確定申告第一表に収受印が推されていることが条件となります。
収受印なしの場合や電子申告の場合は、受け取りメールの日付や税務署で発行できる納税証明書が押印の代用として認められるケースもあります。
⑵2020年の対象とする月の売上台帳
事業収入が前年同月比または前年月平均比50%以下の月で、申請の対象とする月の売上台帳の提出が必要です。
売上台帳とは取引の日付、取引先名、取引金額、日々の合計が記された帳簿です。レシートや請求書、給与明細では代用できません。面倒でも、正確に帳簿をつけて申請しましょう。
⑶通帳の写し
銀行名、支店番号、支店名、口座種別、口座番号、口座人名義が確認できる通帳の写しが必要です。
⑷本人確認書類
以下の書類が本人確認書類に該当します。申請時に有効期限が切れていないことが条件です。
①運転免許証(両面)(返納している場合は運転経歴証明書で代替可能)
②マイナンバーカード(表面)
②写真付き住民基本台帳カード(表面)
③在留カード、特別永住者証明書、外国人登録証明書(両面)
上記いずれも所有していない場合は、住民票の写しとパスポート、もしくは住民票の写しと健康保険証の2点を提出することでで代替できます。
給付後も帳簿は付け続けるのが正解!
ここまで、持続化給付金の詳細を説明してきました。
持続化給付金の申請において重要な点が2点あります。
①持続化給付金の給付において、青色申告が圧倒的に有利
②日々の帳簿が正確に付けられていることが条件
給付金の計算方法の説明でもあったように、青色申告を行っている人は2つの申請方法から選択できるのに対して、白色申告を行っている人は選べません。収入の状況によっては、給付金を受け取ることができない可能性があるのです。
また、申請に必要な売上台帳は日々の取引が正確に記入されている必要があります。ここに不備があると申請が通らないこともあります。
さらに青色申告や帳簿を継続して付けることには、持続化給付金以外にも様々なメリットがあります。以下にいくつかご紹介します。
①今後給付金や支援金の支給が決まったとき、有利になる可能性が高い
コロナウィルス感染症の第2波、第3波が到来した場合、今後新たに給付金が設定される可能性があります。コロナウィルス以外でも、地震や台風などの自然災害によって事業に深刻な被害が出た場合、給付金が設定されその対象になることもあるでしょう。
その際、今回の給付金と同様に青色申告を行っている事業者に有利な条件になる可能性が高いのです。
青色申告は白色申告に比べてやや面倒なので敬遠されがちですが、裏返せばより正確に手続きを踏んで申告しているため事業の状況が明確で信頼度が高いと考えられます。
そのため政府も青色申告を行っている事業者に有利な条件を設定していると考えられます。
現在は簡単な入力作業で帳簿付けから申告書類の作成まで行える会計ソフトがあるので、面倒を感じずに青色申告を行えます。ぜひ活用してみてください。
②青色申告は確定申告の際65万円が控除される
白色申告の控除額が10万円なのに対して、青色申告は65万円が控除されます。この55万円の差は非常に大きいため、会計ソフトなど有料のサービスを使ってでも青色申告をするメリットは大きいと言えるでしょう。
③経費として認められる幅が広い
白色申告でも家賃や光熱費は経費として申告できます。しかし制限があるためそれを超えた場合は経費として扱うことができません。一方青色申告なら事業に使用したことを証明することができればこれらを全て経費として申告することができます。
また、家族への給料を経費とすることができるのも青色申告のメリットです。
このように、持続化給付金を抜きにしても青色申告を行うメリットは大きいと言うことができます。
持続化給付金を機に青色申告を始めた人、帳簿付けを始めた人は今後も継続していくことをおススメします。それが今後フリーランス・個人事業主として事業を継続していくことに確実に役立ちます!
まとめ
- 持続化給付金は前年同月比または前年平均比収入が50%以下になった場合申請可能
- 確定申告の状況によって申請方法、可否が異なる
- 青色申告は持続化給付金の申請以外にも様々なメリットがある
以上、この記事が個人事業主やフリーランスの皆様のお役に立てば幸いです!