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2014年06月16日(月)

事業主の決算の進め方3項目

経営ハッカー編集部
事業主の決算の進め方3項目

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3月決算の会社はそろそろ年度決算も一段落して、次の年度に向けて走り続けている頃でしょう。

この「決算」ですが、そもそもなぜやる必要があるのか、そして具体的に何をやらなければいけないのかを考えてみませんか?

1,なぜ決算をやるのか

会社を経営していると、一年に一回訪れるのが「決算」です。よく聞く言葉ですが、そもそもこの「決算」、なんのためにやるのでしょうか?

法人が「決算」を行う目的は、大きく分けて三つあります。

1.会社の一年間の成績を確定するため 会社は継続して事業を行うわけですが、一年に一回以上のタイミングで自分の会社の「成績」を明らかにする必要があります。後に述べる「株主への報告」を一定のタイミングごとに行うために、会社の「成績」は「一年」という期間で区切って集計するルールになっています。

この「成績」は、大きく分けて

  • 「経営成績」(一年の間に獲得した収益やそれにかかった費用すべて)
  • 「財政状態」(年度末の段階で保有している財産すべて)

の二つに分かれます。

2.会社が払うべき税金を計算するため

さて、会社の「成績」のうち、「経営成績」は具体的に「利益」という数字によって確定します。利益を獲得した場合には、それに応じた税金を支払う義務があります。

法人の場合は「法人税法」という法令にもとづいて、「利益」をベースとして会社が支払う税金を計算する必要があるので、「決算」という作業が必要になるのです。

3.株主への報告など、情報開示に必要な資料を作るため

会社はもともと、「株主」が出資した一定の財産にもとづいて運営されます。株主にとっては、会社に預けた自分の財産が正しく使われているかどうかを判断するため、定期的なタイミングで会社の「成績」について報告を受けます。会社にとっては、このように預かった財産を正しく使う責任(受託責任といいます)と、その内容を報告する義務が生じるのです。 (なお中小企業の場合は「株主」=「経営者」であることも多いため、自分から自分に報告する形になります。少しわかりにくいですね。)

「決算」の内容は、会社が「株主」に対して説明するための数値(または非数値)の情報であり、これをもとに株主にとっての投資判断材料になります。そのため「決算」の内容は非常に重要なものとなるのです。

2,決算の具体的な作業はなにか、なにをすれば終わるのか

さて、決算をやらなければいけないとして、具体的にはどんなことをやるのでしょうか?

大きくわけて、決算の作業は次のように進めます。

・決算整理仕訳の作成

通常記録している仕訳に加えて、決算特有の仕訳を作成する作業です。

「減価償却費の計上」「年度をまたぐ費用や収益の振替」などがあります。

・決算書作成

決算整理仕訳を反映した帳簿をもとに、一定の書式で決算書類を作成する作業です。

「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「各種の注記」といった書類を作成します。

・法人税申告書作成

決算書をもとに、税金計算を行うための各種書類を作成する作業です。

「国税」「地方税」の種類ごとに、作成する書式が定められていますが、「国税」の場合は「法人税申告書別表」という各種様式にもとづいて税金が計算されます。

申告書の作成期限は「事業年度終了の日の翌日から2か月以内」です。3月決算の法人であれば5月31日までに提出します。

・税金の納付

法人税の申告書を作成して終わりではなく、計算された税金を納付(国や地方公共団体に納めること)も期限内に行う必要があります。期限を過ぎるとペナルティが課されますので注意しましょう。

・株主総会の開催

会社が株主に会社の「成績」を報告するのが「株主総会」です。定期的に実施される株主総会を「定時株主総会」と呼びますが、この定時株主総会は会社法では「毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」と定められています。(会社法296条)

また、事業年度期末日から3ヶ月を超えてはいけないというルールがあるため、事業年度終了日から3月以内に開催するのが普通です。3月決算であれば6月30日までに開催します。

3,決算をスムーズに終わらせよう

「決算」の作業はこのように非常に多岐にわたる作業ですが、これらのうちどこまで自社で行い、どこからアウトソースすればよいのでしょうか?

規模の小さい会社であればすべて自社で行うこともできますが、一般的には

  • 「決算整理仕訳の作成」→自社で行う
  • 「決算書作成」→自社で行う
  • 「法人税申告書作成」→会計事務所に委託する

などの線引きが考えられます。特に申告書の作成は専門知識が求められることもあり、会計事務所に委託するケースが多くなります。

上記の作業をすべて会計事務所に委託することもできますが、自分の会社の数字はできるだけ自分で把握しておくべきです。無理のない範囲で自社で行うようにしましょう。

(なお「税金の納付」「株主総会の開催」はアウトソースできません) 決算作業はできるだけ効率的に終わらせて、会社の本業に集中していきたいですね。

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