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2014年06月19日(木)

経営者が知っておきたいITを活用した会計の自計化メリットデメリット

経営ハッカー編集部
経営者が知っておきたいITを活用した会計の自計化メリットデメリット

電卓

 

平成14年4月1日施行の税理士法改正により、税理士会の"報酬規定"は廃止され、税理士が独自に決めた報酬規定を作るようになりました。現在は、税理士会が指導している状況です。その為、"世間相場"がなく、発注する会社側は、標準的な税理士報酬がいくらなのかわかりにくくなっています。

※この記事は「TabisLand」より一部抜粋しております。

税理士報酬の相場

(※税理士ドットコム資料より抜粋)

顧問税理士の仕事

税理士報酬を支払うことによって得られるサービスは以下になります。

・毎日の仕事

  • ①記帳代行:会社が提出した資料、伝票に基づき、帳簿の記帳を代行する。
  • ②帳簿の記帳、月次決算書の作成等に関して随時相談に応じ、指導を行う。
  • ③会社の顧問として、随時税務相談やアドバイスをする。

・決算時の仕事

  • ④試算表に基づき、決算書を作成する。
  • ⑤決算書に基づき、確定申告書を作成する。

さてここからが本題です。税理士が使う言葉の中に「自計化」というフレーズがあります。聞きなれない言葉なので説明しますと、「自計化」とは企業が自分で会計ソフトに必要データを入力することを指します。

企業にとっての自計化のメリット

  • ①今、儲かっているのか否か経営状況がタイムリーに把握できる。
  • ②企業が経理処理を行なうことにより、経理処理を覚え、熟練することでミスが減る。
  • ③会計事務所に記帳代行をお願いしない分、同じコストでより付加価値の高いサービスを受けることが可能。

  このように、経営を行なうにあたっての重要な要素である「スピード」「専門的なアドバイス」を求める企業にとっては、不可欠の要素であります。

しかし、デメリットもあります。

企業にとっての自計化のデメリット

  • ①「自計化」のやり方によっては、今までより作業量がかなり増える。
  • ②経理処理を行なうための専門的な知識を身につけるのに時間がかかる。
  • ③入力作業を自社で行なうのに顧問料が下がらない。もしくは付加価値の高いサービスが受けられない。
  • ④「自計化」を行なうにあたって新たな設備投資が必要になる場合がある。

  経営者の方は、一度や二度「自計化」の導入について打診を受けたこともあると思います。上記のような理由が導入への妨げになっているのではないでしょうか? お気づきの方もいらっしゃると思いますが、デメリットの②を除く①、③、④はあくまでも会計事務所側の理論で「自計化」を進めているからに他なりません。会計事務所にとって「自計化」のメリットは、なんといっても「起票および入力作業を企業に行なってもらうことにより、職員の作業が減少すること」にあります。もちろん全ての会計事務所がそのように考えているのではなく、優良な事務所は、メリットを十分に生かしてくれる「良い自計化」を指導してくれるところもあります。逆に言えば、「デメリットを打ち消して、メリットのみを享受できる自計化」を推進してくれる事務所は非常に良い事務所ということになります。具体的には、以下の3点をチェックしてください。

良い自計化のポイント

  • ①今までより経理担当者の作業時間が減る。
  • ②会計事務所の担当職員もしくは会計士・税理士がより高度な提案を行える(資金繰り提案など)。
  • ③トップや現場の経理担当者が、「自計化」の意味を納得していて進められる。

この3点が揃っていないと「自計化」は難しいといってよいでしょう。 「自計化」のメリットはとても大きいものです。しかし、あくまでも「自計化」の目的は、「会計処理したデータを経営に生かす」ことであり、そのために企業側の処理時間が増え、経理担当社員の負担があまりに大きくなってしまっては意味がありません。「自計化」する事が「経理業務の効率化」につながるようにしていきましょう。

中小企業が会計専門家に望むサービスは?

中小企業の経営者は、会計専門家に対し、会計処理や決算書類の作成だけでなく、作成した決算書類をもとに、経営に関わる具体的なアドバイスを望む傾向がうかがえる結果となっています。

  • 「決算書類等の分析、経営指導・助言等」56.9%
  • 「会計処理の指導等」22.5%
  • 「決算書類の作成」16.7%

  このような意味で、顧問先中小企業の要望に応えるためにも、改めて顧問先の「自計化」を考える必要があると思います。   「自計化」により、経営者は会計事務所に記帳代行をお願いしない分、社内の会計がより把握できるようになる。税理士側は、より付加価値の高いサービスを提供する事に専念できるようになる。IT化の時代においては、性能がアップしたパソコンや会計ソフトが手軽に入手できます。「自計化」は、もはや特別なことでも難しいことでもなく、会計事務所と中小企業は「自計化」に向け柔軟に意識を変え、業務向上を図る時期に来たのかもしれません。

 

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